我が青春の作家たち
なんて気恥ずかしいタイトルだろう……。
先に言っておくと、梶井基次郎/堀辰雄の両名である。
そこにあるのは何もかもが未決定な、それから……
―止めよう。感想の名のもとにポエムを読まされる読者のことを考えると涙を禁じ得ない。
まあとにかく、何もかもが本当には起きないゆえにいくらでも夢が見られる、そんな世界観がこの両名にはある(気がする)。
昔、梶井基次郎「蒼穹」の、この文章にときめいた。
共感が得られるか甚だしく疑問なのだが、この「その地球に面した側に」の言葉選びにときめくのだ。
なんというか、こう、「絶対お前普通に生きてたらこんなこと考えんやろ」という、過剰な感じがここにはある。それがいい。
誰だったか、「梶井基次郎は気取っててイヤ」なんてことを言っていたやつがいたが、すごく分かる。
でも、その「気取り」がいい。青春の傲慢。特権的な気取り。それは美しい―実に困ったことに。
翻訳者の柴田元幸氏が「この本読んでるやつキライ」(本当はもっとマイルドな言い方であります)と言っていたそのラインナップが面白い。
星の王子様
人間失格
ライ麦畑で捕まえて
個人的にはここに「ノルウェイの森」と三島由紀夫作品全般を加えてもいい―一応言っておくが「作品」への文句ではなく、「作品が好きな人たち」への文句である。ニーチェとキリスト教の関係みたいなものだ。
そういう意味で言うなら、梶井基次郎/堀辰雄もだいぶ危ない。
「一発アウト」とまでは言わないが、「ちょっと臭う」。
「くんくん、おや、ここから文学青年の香ばしい匂いがするぞ」
ということで筆者におすすめの香水を1ダースほど贈ってくださると幸甚です。
それでも、これを読んでくれよ。
青空と闇が意識のなかで混ざるのだ……なんてことだろう。
―以上文学青年のたわごとをお送りしました―
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