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永遠の眠気、特発性過眠症

寝ても覚めても、眠気。これが普通ではないなんて知らなかった。

みぞおちを殴り、身体中を深紫色になるまでツネった。
コーヒーは、気持ち悪くなるまで大量に飲んでいた。

それでも、睡魔に毎日殺されていた。

お偉いさんとの会議で、上司との営業訪問で、テレアポで、出勤の電車では終点まで乗り過ごすのも珍しくなかった。

最初は優しかった上司も「新卒が、何舐めて弛んでいる態度とっているんだ。仕事は遊びじゃないからな」と叱られた。そして、呆れられた。

「どうして眠くなるの、8時間も寝ているのに。」
僕は自分を疑い、次第に憎むようになり、デスクワーク中の自傷にも近い目覚めの行為は激しくなっていった。

そんな姿を観て、上司もただ事ではないと思ったのだろう「お前のやる気は伝わった。けど、多分病気だと思う。専門の病院で調べてみろ。」と言われて知った、そんな病気があることを。

その後、人事の人に相談して勧められた睡眠外来に通院しはじめた。

はじめは、ヒアリング。自分で一か月の生活行動と睡眠時間を記録する。ある程度のデータが取れたら、入院検査を受ける。

睡眠中の妨げ、歯軋り・無呼吸睡眠・その他諸々、睡眠の質を下げる症状はないかという入院検査だ。脳波を測り、睡眠が深いか浅いかを計測するために、頭皮をジェルまみれにしてケーブルを着けられる。

ぬるぬるしていて恐ろしく気持ち悪かった。ケーブルが睡魔中にズレないように、漫画みたいに包帯まみれにされる。

違和感の塊で、寝れないよと思った。心配は無用だった、すぐに寝れてしまった。

↓参考までの僕の画像。

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翌日、いつも通りのクソッタレな朝が来る。

そして、引き続き検査は続く、日中の眠気の調査だ。。同じく上の写真の状態で、脳波を測りながら寝る。すぐに眠りにつき、少ししたら起こされる。

目を覚まして1時間後。また同じように寝て。起こされ、1時間後を繰り返す。

健常者の人は、普通そんなに何回も寝れない。僕は寝て、起こされ、寝てを繰り返し出来てしまった。そして、全てが深い睡眠。つまり何時間寝ても、僕の睡眠欲は満たされることがないのだ。

ここに来て僕は気づいた、僕の眠気は相当おかしい。
結果、「特発性過眠症」と診断された。

特発性過眠症とは、持続的に日中の過度の眠気の発作を主な症状とする睡眠障害の一種のことをいいます。 一般的な知名度が低く、また、専門家も少ないうえに、原因が判明しておらず、なぞの多い睡眠障害です。 症状としては、文字通り日中に耐え難い眠気に襲われる発作や、朝の目覚めが悪く、めまい等を伴うなど、様々です。

聞き慣れない病名に呆然としていた。医者は続けて言う、現代の医療では完治はない。

薬はあるが、依存率が高く、内臓などの臓器がボロボロになると説明された。そして先生は言った「私はあなたのような若い人には処方したくない。多くの人が依存症や精神病を抱えてしまう。仕事を変えるのをおすすめします。」と医者は、僕の目を見つめながら述べた。

なんだよ、それ。思考が止まり、サーっと血の気が引いた。完治がない?この現代にそんな病気があるのかよ。

どうにか帰宅して、家族にも伝えたが理解はされなかった。

翌日に結果を上司に伝え、これからどのように仕事をするか話し合った。とりあえずは様子を見つつ営業補佐をすることに、つまりは事務方にまわった。

データ記入や資料作りなどの単純な作業を、何度もこなす。分かっていたが、まぁ酷い眠気が襲う。

今までと違うのは、眠くなってしまう精神力で申し訳ないから。病気持ちで申し訳ないに変わったこと。周りの目線が気になる。自分が不良品だと、会社の不良債権だと、己でレッテルを貼ってしまった。

そんな呪いは強いストレスとして襲いかかる。そして、僕はストレス性胃腸炎を患った。

朝、両親に起こしてもらい電車に乗り、腹痛。遅刻が増える。遅刻に対して、自己嫌悪。

必死に目を開けて、眠気に対してストレスで腹痛。そんな僕に、会社の人は優しく「顔洗ってきな」「大丈夫?」と言ってくれ、少し眠気が飛ぶ。だけど、10分くらいで眠気は戻ってくる。そして、より強い自己嫌悪がストレスに。

どうしようもできない負のスパイラルが完成していた。

腹痛は何度も何度もくる。もう出るものもなくなり、ひどい下痢で動けずトイレに篭ることが多くなる。生まれて初めて、自分の身体と神を本気で憎んだ。

現実逃避するように、週末は明るく振る舞い深酒。夜中には情緒不安定で涙を流すの繰り返し。今思うと、鬱病だったと思う。

医者に言われる「このままだと身体を壊し、もっと悲惨なことになってしまうかもしれない。」精神も身体も限界だった僕は、退職を選んだ。

就活を本気で頑張り、第一志望だった企業に入社できた。配属先の部署の人々は、良い人ばかり。やるからにはとことんと野望もあり、長らく働く覚悟があった。

僕の人生は、一度リセットされた。夢なんてない、あるのは闇に近い感情だけ。

学生生活を振り返ると、好きな授業以外ほとんど寝ていた。
先生にも、寝るなと何回も叱られた。成績表にも何回も書かれた。
スノボーに行って、リフトで寝てしまうことも。風呂場で寝落ちすることも。一般受験の日々、毎日ウトウトと寝てしまった。何よりも入試試験中にもウトウトしてしまったこと。真面目に取り組もうとすればするほど、眠くなってしまう。

それでも、遅めの成長期から、成長期だから仕方ないと思っていた。どんだけポジティブだったんだよと呆れる。今思えば、よく大学卒業して就職出来たなと少し笑ってしまう。

その後、服が好きという理由でアパレル勤務を始める。

本来、人と話す事が好き洋服も好き。何よりも、立ち仕事で好きな事なら起きてられそう。簡単な理由だった。

会社にも、病気について話して週4での勤務が始まった。全てが、新鮮。眠くなることもほとんどない。

しかし、特発性過眠症は脳裏から離れない。

半年くらいして、アトピーが出るようになる。前々から乾燥肌ではあったが、生まれて初めてのアトピー。

徐々に広まり、悪化した。24歳になって、痒みとの葛藤。

夜は痒みで寝れなくなる。しかし、強い眠気も襲う。慣れないアトピーで、人からの目も気になる。いつも、傷だらけでフケまみれ。

アトピーと闘病し始めて約2年。

毎日が辛い。眠い。痒い。睡眠は浅い日がほとんど。寝起きがいい日なんてない。寝ている間に掻きこわして、起きたら涙がでる。

自律神経は壊れ始めて、酷い寝汗、突然の動悸。

脳内が思考がクリアになる事が減っていく。そんな状態で、出勤も厳しくなる。電車の寝過ごし。勤務中も呆然としてしまう。朝起きて、顔中が掻き傷で目が開かない、黒い服はフケが目立つから着れない、大好きなジーパンも履けない。

唯一の救いは、漫画、小説、映画が楽しめること。

至極当然に思えるかもしれないけど、多くの特発性過眠症患者はすぐに眠気を感じてしまう人が多いらしい。

物語は僕に眠気を忘れさせてくれる。


完治する事がない、特発性過眠症。完治が難しいアトピー。ボロボロになってきた身体と心。

短所は長所。いつの日か、笑って心の底からそう言える日が来れるように努力したい。悲劇を喜劇に。

第一歩として、自分のアウトプットとして書きました。僕は、このネガティブ要素をプラスにするために文章を綴ろうと思います。

また、世の中にはこんな病気の人もいるんだ。と頭の片隅に小さくでいいので置いといてくださると嬉しいです。

長くて面白みのない文章、読んでくださってありがとうございます。
ボクはライターになります。

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