努力で手にしたアメリカ留学が『絶望』の始まりだった。

『ぼくたち、別れる約束でしょう。』

渡米より1か月前

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*この記事はLGBTQの内容を含みます。


なんと、ぼくの渡米よりも先に、カレが東京から大阪に転勤した。


もちろんカレは上司に直接そういわれたわけではない。でも理由は明白だったそうだ。『独身だと転勤させやすいから』


カレは3年同棲している僕のパートナーである。


そしてカレもまた会社でカミングアウトしてない。

女性の多い職場で、結婚も妊娠もないカレは転勤することになった。

大丈夫。ぼくもすぐにアメリカ行くから、東京も大阪もあまり変わらないかった。むしろぼくが留学しなくても、結局、遠距離になるだなんて、なんだか不思議。


カレが引っ越したあと、ぼくは大阪へいった。

カレは新しい土地で疲れていた。友達もいない知らない土地で、今までとは異なる業務に疲弊していた。まるで、未来のアメリカにいるぼくを見てるようだった。

その日の夜に、指輪を渡した。

安物ではない。別れる前に結婚指輪を買った。

でもカレはもう何をしても喜ばなかった。

そして、その日に別れた。

なんで、指輪を渡したのかは自分でもわからなかった。


渡米より1年前

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『ねぇ、留学いくの?』

どき。

『いやぁ、まだ決まってないけど、もし行く先があればいきたいなぁ、なんて。でもなんで?』

『〇〇から聞いた』

ふてくされるのも無理はない。まだ付き合って1年半ちょっと。留学先からもまだ返事をもらってないのに、不安にさせたくなかった。


カレが怒ってる理由は2つ

1つ目は、留学について言わなかったこと。

2つ目は、カレより先に、お互いの共通の友達が、ぼくの留学のこと知ってること。

『ごめんね』

けど、内心、もし反対でもされて、ぼくの未来を左右されてしまったら、とヒヤヒヤしていた。


数年前から留学いくことを決めていた。

アメリカに研究留学をしたいから、仕事をしながら大学院に入っていた。必死に研究して、貯金もし、土日も働き、夜まで実験もしていた。博士号を取るためだった。

そして、何も言わずに、そこにカレを置き去りにしてしまった。

今、思えば、本当に申し訳ないと思った。


そして、本当に一緒に海外に行くことを考えていた。

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本当に色々調べたのだ。
もうその段階では調べ尽くしていたのだ。

どうやったら、一緒に海外に来れるか。

どうやったら、法的に認められて一緒に海外に住めるのか。

どうやったら、帰国後も無事にお互い幸せに暮らせるのかも。

ずっと調べていたのだ。



そして結論は、そんな未来はない、ということだった。



ゲイのカップルはどんなことをしても、配偶者ビザが取れない。ビザが取れないなら、カレは日本に置いていかなければならない。理由なく海外にきて、2,3年今の職場からいなくなったら、カレは無職なのだ。

同性婚がない日本を憎いと思った。
こんなに苦しいなんて思わなかった。

それまで考えたこともなかった。
同性婚がなんで必要なのかもわからなかった。

そう。全員が必要なわけではないのだ。
でも、どこかに「必要な人がいるのだ」


この数か月後、お互いに話し合って、

「渡米前に別れましょう」と約束した。


今現在

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結婚や出産をあきらめなければならない人生だったけど、特に結婚したいとも、子供がほしいとも思わなかった。

もしかしたら、中学生の頃から「すべてあきらめろ」と心で唱えていたからかもしれない。本当はしたかったのかどうかも、今ではもう分からない。

でも、好きな人といられればそれで十分だと思った。それ以上望むことはしない。

だからこそ、配偶者のビザが取れないことが、こんなにも自分を苦しめたのだ。結婚できないことを初めてつらいと感じた。

好きな人とすら、一緒に居れる選択肢すらないだなんて。



でもビザが取れても、カレは来なかったと思う。

それでも、選択肢に欲しいと思った。

何かが違ってきたと思う。

どこかの過去を変えられたかもしれない。



最後に、これは個人的な後悔だけれども
必ず別れるなら思い出をもっと沢山作って、
留学について真剣に話し合うべきだった。

結論をひとりで出すべきではなかった。


今もたまにカレと連絡をしている。
カレは最近、大阪に慣れてきたらしい。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
同性婚制度を認めろ、なんて言われても、
本当に必要?なんて言われるかもしれない。

でも、LGBTQの全員が全員必要ではないと思ってます。


ただ中には「必要な人」がいることを知ってほしいんです。
本当にまずは知るだけでいいので、
読んでくださって、本当にありがとうございます。

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6月はLGBTQ月間です。知ってました?
アメリカで同性に対する暴動が起きたのが6月だったことが由来です。ブラックへのデモも最近6月にあって、6月は変化の時期なのかな。






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