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『新版 20週俳句入門』を村上春樹とかけ合わせて読む 第16-20週
第16週 あるレベルに達した
事実のみにこだわっていたら、名句はそうそうできるものではない。過去の体験をあれこれよびさまして状況設定をよりよくして、「ありうべき」嘘をつく。そして現実感を一層高めることを、考えて下さい。
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本当のリアリティっていうのは、リアリティを超えたものなんです。事実をリアルに書いただけでは、本当のリアリティにはならない。もう一段差し込みのあるリアリティにしなくちゃいけない。それがフィクションです。
以前の季語考察記事でも同じ言葉を引用したが、そうだよなあと思う。
使い古された形容です。こうした日常よく使われる既成の表現を安易に取り込むと、俳句はずいぶん俗っぽくなるんですよ。そういった言葉を、(中略)手垢でギラギラしたものと考えて頂きたい。要は「自分の言葉で」です。
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スコットフィッツジェラルドが娘にあてた手紙に「人と違うことを語りたければ、人と違う言葉で語りなさい」と書いています。これは僕の座右の銘になっています。
人と違うことを詠みたければ、人と違う言葉で詠みなさい。
第17週 「俳句は切字響きけり」
「はつあらし」という季語と「佐渡より味噌のとゞきけり」というフレーズのあいだには、表面的にはなんの脈絡もない。(中略)が、そうは言うものの、この両者のあいだにはかすかなひびき合いが感じられる。初嵐は秋の到来を思わせるが、これからさわやかな季節になれば、味噌汁や味噌を用いた食べものも、またうまくなるだろうという期待感も生まれる。そんな目に見えぬ糸が二つのあいだにピンと張って、ひびいているのである。(中略)一読してわからなくても、再読三読するうちに、そのかすかな糸のひびきが聞こえてくると思う。
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さっき言った比喩と同じで、一番適当なものがすっと来てくれないとしょうがないですよね。というか、呼び寄せないといけないんです、いろんなことを。ものを書くっていうのは、とにかくこっちにものごとを呼び寄せることだから。 イタコなんかと同じで、集中していると、いろんなものがこっちの身体にぴたぴたくっついてくるんです。磁石が鉄片を集めるみたいに。その磁力=集中力をどれだけ持続できるかというのが勝負になります。
集中して糸を手繰り寄せたい。
第18週 俳句を上手に作る法
季語のほうを見て作句するな。季語のこころでほかのものを見よ。
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自分自身について書くのは不可能ではあっても、たとえば牡蠣フライについて原稿用紙4枚以内で書くことは可能ですよね。だったら牡蠣フライについて書かれてみてはいかがでしょうか。あなたが牡蠣フライを書くことで、そこにはあなたと牡蠣フライとのあいだの相関関係や距離感が、自動的に表現されることになります。それはすなわち、突き詰めていけば、あなた自身について書くことでもあります。それが僕のいわゆる『牡蠣フライ理論』です。
季語「で」表現したい。
第19週 「をり」「なり」「たり」
迷ったときは、こうして四とおりの句を書いて机上におき、朝夕暗唱すればおのずから自分の意にかなった下五が選べる。それを手抜きして、「まあこのへんで」となどと妥協してしまったら、いい句はのぞめないし、何よりも自分が可哀そうでしょう。俳句は韻文である、リズムがあると言って、私が朗誦を重んずるゆえんは、こういうところにあるのです。
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新しい書き手が出てきて、この人は残るか、あるいは遠からず消えていくのかというのは、その人の書く文章にリズム感があるかどうかで、だいたい見分けられます。言葉、センテンス、パラグラフ、硬軟・軽重、均衡と不均衡、句読点、トーンの組み合わせによってリズムが出てきます。音楽と同じです。
俳句のリズムは、あらゆる面のバランスによって生み出されるところがありそうだ。
第20週 これからの勉強法
なるべく短期間に「俳句を作る」実技に馴染んでもらい、そのよろこびを知り、ひとりでも多くの人が、俳句とともに生きるたのしさを知って欲しいと思ってきた。
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僕は文章を書くのが好きなんです、結局。いつも文章のことを考えている。いつも何かしらの文章を書いている。いつもいろんなことを少しずつ試している。文章というツールが自分の手の中にあるだけですごくハッピーだし、そのツールのいろんな可能性を試してみたいんです。せっかくそういうものを手に入れたんだから。
俳句というツールのいろんな可能性をハッピーに試そう。
以上、『新版 20週俳句入門』× 村上春樹でした!
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