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『新版 20週俳句入門』を村上春樹とかけ合わせて読む 第6-10週

第6週 季語のはたらき

こういうのを「季語を説明している」というのだが、こうなるとかえって季語の連想力はしぼんでしまって、本来のゆたかさを失ってしまうのです。だから、季語の説明はいっさいやめて、季語はそのまま、なんの手も加えず一句の中に置くようにする。

藤田 湘子『新版 20週俳句入門』(角川学芸出版、2010年)p.75

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僕がいつも言うことだけど、優れたパーカッショニストは、一番大事な音を叩かない。それはすごく大事なことです。(中略)どうしても、ああいう話は、いちいち説明されるとつまんなくなっちゃうんだよね。

川上 未映子、村上 春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社、2017年)p.36

季語は説明しない。優れたパーカッショニストは大事な音を叩かない。

第7週 切字の効果

切字はそうした凛たる姿と、朗々と誦するにふさわしいリズムを俳句にあたえてくれるもの。大切に、有効に用いることを心がけなければならない、俳句の武器と言うべきものである。

藤田 湘子『新版 20週俳句入門』(角川学芸出版、2010年)p.88

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(読後に深く残り、書き手に再現してみたいという思いをかき立てるとき)
要するにそこでは、小説のボイスと読者のボイスが、呼応しているんだと思う。そこにはもちろんリズムがあり、響きがあり、呼応があります。

川上 未映子、村上 春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社、2017年)p.46

切れ字でリズムを与えると、万人と呼応しやすくなるのかも。

第8週 作句へスタート

(取り合わせについて)この作り方は二物衝撃とも言われ、二つのものがぶつかり合って、幅広い連想を呼び出す仕組みとなっている

藤田 湘子『新版 20週俳句入門』(角川学芸出版、2010年)p.96

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比喩っていうのは、意味性を浮き彫りにするための落差であると。だからその落差のあるべき幅を、自分の中で感覚的にいったん設定しちゃえば、ここにこれがあってここから落差を逆算していって、だいたいこのへんだなっていうのが、目分量でわかります。逆算するのがコツなんです。ここですとんとうまく落差を与えておけば、読者ははっとして目が覚めるだろうと。読者を眠らせるわけにはいきませんから。

川上 未映子、村上 春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社、2017年)p.24

経験を積んで、取り合わせの「落差」の感覚をつかめるようになれたらレベルアップできそう。

第9週 第一作をどう詠んだか

「俳句は一千句ぐらい作ると、どうやら身についた感じになる。早く一千句作ることです」

一ヶ月三十句とすれば一年では三百六十句。一千句までは三年足らずで達成できる。

藤田 湘子『新版 20週俳句入門』(角川学芸出版、2010年)p.116

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忙しいからといって手を抜いたり、やめたりするわけにはいかない。もし忙しいからというだけで走るのをやめたら、間違いなく一生走れなくなってしまう。走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはあるからだ。 僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。暇をみつけては、せっせとくまなく磨き続けること。

村上 春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋 、2007年)p.102-103

「ほんの少しの理由」を、大事に磨いて詠み続けよう。

第10週 基本から応用へ

「一句できた」と言っても、それを読んだとき、でれでれしたり、ぐじぐじしたり、もたもたしたり、ごたごたしたりしていたら、まだ韻文としての風姿がととのっていないと思えばいい。

藤田 湘子『新版 20週俳句入門』(角川学芸出版、2010年)p.123

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何度も何度も書き直して、磨いていって、ほとんどこのまま永遠に手を入れ続けるんじゃないかと心配になるくらい手を入れていくうちに、だんだん自分のリズムというか、うまく響き合うボイスになっていくんです。目よりは主に耳を使って書き直していきます。

川上 未映子、村上 春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社、2017年)p.46

徹底的に書き直して、韻文として整えることが重要そうである。


過去分

第1-5週


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