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ジョリーフォニックスのお話 4 〜単語の中の音を聞き分ける(セグメンテーション)〜

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前回のブレンディングは「読む」につなげるためのものでしたが、このセグメンティングは「書く」につなげるためのものです。単語を聞いたらその綴りを書けるように、その単語を構成している音を聞き分ける練習をします。単語の中の音を聞き分ける、これはセグメンティングと呼ばれ、ブレンディングとは逆の作業になります。

聞いた単語を音素に分解することは、英語を母語とする子どもたちにとってもなかなか難しいことです。想像力を働かせて何度も練習する必要があります。また、子どもたちがしっかりと使えるようになるまでには、かなりの回数を繰り返す必要があります。ですから、現地の学校ではブレンディングとともにセグメンティングの練習もしっかり行われます。

ジョリーフォニックスの場合、ターゲットの文字の音と形を学習した後、その習った音が使われているかどうか、いろいろな単語を聞いてターゲットの音を聞き取ります。ターゲットの音が単語の中で使われている場合、それが単語の最初なのか、真ん中なのか、最後なのかを聞き取ります。この位置を聞き分ける練習から始めます。

例えば、s の音を学習した後、sun という単語を聞きます。まずは s という音がこの単語に入っているかどうかを判断します。次に、s という音がどの位置にあるか、この場合は単語の最初に使えわれていることを確認します。

セグメンティングの練習は、jet や hot などの簡単な3文字の単語から始めます。まずは jet と単語を丸ごと言って、次に j, e, t とその音を分解します。この時にただ口で言うだけで練習するのではなく、手を使って体感的に単語の中の音を数えると効果的です。

分解するときにタップをしたり指を折って数えて、この単語がいくつの音でできているのか、音の数を確認します。この場合は3回タップしますので3つの音でできている単語であることを確認します。そして、その音を表す文字がわかれば、その音の位置に文字を書いていきます。

上の動画のようにカードを使ったり、サウンドボタンと呼ばれる丸い図形で視覚的に音の数を示したりするのも効果的です。このとき、2文字で1音を作るダイグラフは1音と数えます。例えば、fishという単語は4文字ですが、f-i-shという3つの音であることを確認します。

一つずつの音素に分解するのが難しい場合、もう少し大きな音の単位で練習することもあります。音の足し算と引き算です。例えば、inkの頭にpをつけると何になるでしょう? というようなクイズで、pink はp + ink で構成されていることを気がつかせます。逆に、pinkからpを取り除くと何になりますか? というクイズで、pink - p = ink というように練習することもあります。

英語を母語とする地域では、フォニックスの指導の前にこのように文を単語に分割し、単語をさらに音の足し算や引き算を使って分解するといったように、耳と口と手を使って音の操作をあそびながら学んでいきます。このような練習は音韻認識と呼ばれ、本来はフォニックスの指導の前に十分練習していることが望ましいとされています。

なぜセグメンティングが重要なのかというと、冒頭でも書いた通り、音素分割は書く能力を身につけるために不可欠だからです。単語を書くためのステップは次の通りです。

1:単語の音を聞いて、単語を構成する音に分解する
2:それらの音を表す文字を選択する
3:音の位置に合わせて文字を書く

ゆくゆくは単語を丸ごと聞いて、その単語に含まれている音をそれぞれ分割し、文字に書き起こすことができるのが狙いです。セグメンティングは「英語を書く」ためのスキル習得を支える大切な練習です。

「segmentation phonics」や「phoneme segmentation」で検索すると、英語で書かれたたくさんの実践例や練習のヒントが見つかります(Google翻訳やDeepLなどの機械翻訳を使って、日本語に訳して読める記事もたくさんあります)。つまり、そのくらい現地の先生も指導を工夫している、英語を母語とする人たちでも絶対に欠かすことができない練習でもあるのです。

フォニックスで新しい音を習ったら、その音を表す文字の形を練習し、すでに習った音とつなぎ合わせて読むブレンディング、そして単語を聞いて音の数を確認し、すでに習った音の文字を当てはめていくセグメンティング、この一連の練習を全て行って、ジョリーフォニックスの1回のレッスンは終了します。


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