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ジョリーフォニックスのおはなし 1 〜文字の音を学ぶ〜

前回は、ジョリーフォニックとの出会いについて書きました。

今回はJolly Phonics(ジョリーフォニックス)についてもう少し詳しく書きたいと思います。

英語のリテラシーの学習

英語の読み書きに関わる学習には基本的に2つの段階があります。

フォニックス(文字と音の繋がり):読み書きの基本的な能力を身につける
グラマー(文のルール):コミュニケーションを円滑に行うための幅広いスキルを身につける

ジョリーフォニックスでは、この2つの段階を、小学校・中学校で楽しく学ぶことを目的に作られました。

第1段階のフォニックスでは、文字の音を楽しく、多感覚的に学びます。この「多感覚」がジョリーフォニックスの特徴の一つでもあります。絵本、ジェスチャー、見る、聞く、手を使って文字を書く、歌といった様々なアクティビティの中で様々な感覚を刺激しながら、文字の音を使って単語を読んだり書いたりする方法を学びます。

第2段階のグラマーでは、英語の言語構造を学びます。これには、品詞、綴り、句読点などが含まれます。子どもたちは、自分自身を正確かつ上手に表現する方法を学びます。

5つの基本

ジョリーフォニックスはシンセティック・フォニックス方式を採用しています。
シンセティック=合成→2つ以上のものを合わせて一つの状態にすること。例えば、ブロック遊びを思い浮かべてください。一つ一つのブロックがフォニックス(音)です。それを組み合わせて家やロボット、車(単語)を作る、というイメージです。シンセティック・フォニックスは、まず文字の音を単独で教え、次に音を組み合わせて単語を言うように指導します。

読み書きのための基本的なスキル、5つの基本は以下の通りです。

1. 文字の音 
2. 文字の形
3. 文字の音の合成(ブレンディング)
4. 単語の中の音を識別する(セグメンティング) 
5. フォニックスのルールが当てはまらない重要な単語の綴り

1. 文字の音を学ぶ

ジョリーフォニックスでは、英語の主要な42音を学びます。
英語のアルファベットは26文字、でも学習する音は42音。

おや、音の数に対して、アルファベットの文字が足りません。足りないからといって、新しい文字を持ってくるわけにはいかない。

そこで、アルファベットの2文字を組み合わせ、それぞれの字が持っていない新しい1つの音を作り出す、digraph(ダイグラフ)のルールが生まれました。下の表で2文字で構成されているものが、ダイグラフです。

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ooとthは、book(短く切る音)とmoon(長く伸びる音)、that(有声音)とthree(無声音)のように、2つの異なる音を出します。これらの2つの音を区別するために、上の表では幅の広さが違う2つの形で表されます。ジョリーフォニックスでは42音を7つのグループに分けています。

なぜ a ではなく s から始まるのかというと、この並び方は英単語の中で出現率が高い音から学ぶという理念が反映されています(英国のナショナル・カリキュラム:リンク先の資料48ページ目でも、文字指導は a からではなく s から始まっています)。つまり、頻出度が高い音から学ぶことで、早くたくさんの単語を扱えるような工夫がされています。

特にGroup 1 の音 s, a, t, i, p, n は非常によく使われる音であり、それらを組み合わせることで、かなりな数の簡単な単語を読んだり書いたりすることができます。もし、アルファベット順に学習していたら、頻出度が高い s や t の学習がだいぶ後になりますので、なかなか単語を作ることはできません。

レッスンでは、ターゲットの音を表す文字を覚えるためのストーリー(絵本)・ジェスチャーともに教えられます。例えば、「s」という音の場合、「散歩に行ってヘビに遭遇」というストーリーを絵本を見ながら聞き、そのヘビになったつもりで手を振り、「sss」という音を導入します。

それぞれの文字を名前ではなく、「音」で覚えていきます。例えば、aという文字は「エィ」ではなく、/a/(antのa)と習います。同様に、nという文字は「エヌ」ではなく、n(netのn)です。それぞれ文字の名前を学習するのはずっと後です。

また、大文字よりも小文字を先に教えます。理由は英国の子どもたちにとって、小文字の方が目にする機会が多いからです(日本では大文字から指導されることが多いですが、日本では小文字よりも大文字の方が目にする機会が多く、これは地域による特性だと思っています)。

bとdは、英語ネイティブの子どもたちでも混乱します。その混乱を避けるために、これらの文字は間を開けて、別のグループで紹介されています。同音異綴り(同じ音でも書き方が複数ある)は、最初は1つの形を教えます。例えば、/ai/ (rainのai)という音を最初に教え、その後、a-e(gate)やay(day)という音を教えます。

長くなってしまったので、「2. 文字の形を学ぶ」は次回書こうと思います。

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