「あたらしい」を受けいれてもらう方法

「私たちは一番目はもちろん二番目もイヤです。最後から二番目くらいの施策がやりたいです」

むかし、とある自治体にプロモーション提案をしたときのこと。公示された題目に対し、すこしアレンジした提案をしたときに言われた言葉です。フリースタイルと対極を成す強烈なパンチライン

最後から二番目くらいだと通しやすいんです。「みんなやってます!」って言えるし(お母さんの「みんなって誰よ」にも答えられる)。「しかも最後になるのはイヤですよね!」と展開するわけです。ブービーロジック。

はじめまして。キャディ株式会社でプロダクトマネージャーをしている安部と申します。

やっぱ、あたらしいことってそう簡単には受け入れられないですよね? 自分も腰が重いときあります。今回は先日の社内イベントを機に、あたらしいものを受け入れていく土台づくりの興味深い話を思い出したので共有していきたいと思います。すごく社内報です。

この記事はキャディ株式会社のアドベントカレンダー15日目にエントリーしています。一番でも二番でも、最後の方でもないポジショニングです。

400年前の「あたらしい」話

さかのぼること400年。産業革命に向かいつつある頃のイギリスでは「project」という言葉が流行っていたそうです。政府だけでは解決できない様々な社会問題をビジネスを通じて解決しようという動きが起きていたんですね。現在に似ています。

しかし市民からすると、そのprojectが信頼できるのか分からない。もちろんインターネットもないし、そもそも当時のイギリスは市民の識字率も低かったそう。いきなり新しいprojectがどうとか言われても、どうにも信頼できない。

その信頼醸成に一役買っていたのが、シェイクスピアらや劇作家だったそうです。そう、あのシェイクスピアが作中でprojectに触れるのです。それどんな広告枠ですか。きっと「私はお金を一切いただきません。自分の判断でしか掲載を決めません」といったポリシーとかもあったのでしょう。

あたらしいprojectを戯曲に混ぜ込むことで、その戯曲について市民が議論するプロセスでprojectのことも話し合ってもらう。これによって市民のリテラシー向上に役立ち、あたらしいものに不要に構えてしまうのを避けることに寄与していたそう。悪質なProjectに近づかないことにも役立っていたとか。

このあたりのお話は、すこし前の記事ですがこちらをご覧ください。

往々にしてproject(スタートアップ)が向き合うのは誰も解決していない課題であり、解決の不確実性がたかいもの。まず知ってもらい、社会を巻き込んで議論を起こす装置にのせる。リテラシーを社会全体で獲得していきながら、気運を作っていく。まさにDXと叫ばれて久しい2020年末に振り返りたいお話です。

我々にとってのシェイクスピアはだれか

私が働くキャディは、製造業における多重下請け構造を、加工会社の強みに基づいたフラットな受発注構造に変革することを目指しているスタートアップです。

そんな我々にとってのシェイクスピアはだれなのか。三谷幸喜氏、野田秀樹氏でしょうか。できることなら作品を書いて欲しいものですが、きっと違います。そうである必要はありません。

やはりキャディにとってのシェイクスピアは、案件を発注いただくお客様メーカーであり、製作を依頼するパートナー加工会社であってほしい。あたらしい産業構造に変わっていく道程には、ともに大きくなる企業がいるもの。それが一番のストーリーです。

先日、おもに社内向けにパートナー企業の社長にスピーチいただく機会がありました。その方は、キャディが掲げる「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」になぞらえて「ポテンシャルを一番解放してもらっているのは私(たち)です」と仰っていました。ビジョンストーリーの一端を垣間見ることができ、リモート拝聴ながら胸がとても熱くなりました。

幸いにもキャディには、ビジョンに共感してくださっているステークホルダーが数多くいらっしゃいます。間違いなくイノベーターやアーリーアダプターにあたる皆さまにキャディを使い倒していただき、サクセスストーリーをご一緒させていただく。そのひとつひとつから産業全体に前向きな議論を、そして産業全体を動かしていく気運を作る醍醐味が、これからのキャディにはあります

(あれ、ここまで書いてふと思ったんですが、現代のシェイクスピアって、もしかしてミルクボーイなのでは? あの「ほなキャディと違うかぁ」フォーマットは高度に議論を起こす「戯曲」なのでは...? )

最後に宣伝

そんな醍醐味満点のキャディ、採用ページがリニューアルして超絶いい感じになったので最後に紹介いたします!もし興味があればご連絡ください!


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