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租税貨幣論が示すとある真理〜受け入れ難い理由がここにある〜

一つ前の記事で租税貨幣論(国定信用貨幣論)について解説しました。その記事のコメントで租税貨幣論を否定しているブログの記事を紹介して頂きました。詳しくは一つ前の記事を参照願います。その否定記事では貨幣が負債である事に違和感を持っていました。曰く、負債ならば誰の負債なのか?誰に返済するんだ?という風にです。
通貨である日本銀行券は借用証書になります。しかし、この借用証書を持って日銀に行った所で何か別の物が出てくるわけではありません。ちなみに兌換紙幣時代は金(ゴールド)と引き換える事が出来ましたが、今はそうではありません。もしかしたらピン札に交換してくれるかもしれません(笑)このように負債と言いつつ何かと弁済されるわけではない貨幣を負債と呼ぶことに違和感を覚えてしまうのです。なので、人によっては前述ののような租税貨幣論の否定だったり、負債ではない資産だ!みたいな言い方をされる方もいます。ちなみに私としてはやはり成り立ちを考えると通貨というのは負債であると考えます。と同時に実質は資産(通貨発行)と同義であると考えます。とは言え、通貨というのは非常に特殊な状態になっており、混乱を招きやすいです。なぜこうなってしまうのかというと通貨の実態を表す言葉が…

この世に存在しないから!

と考えます。負債であり資産であるというように、まるで量子力学で言う所の重ね合わせのような概念について、的確な言葉で言い表すことは相当に難しいでしょう。少なくとも私には上手い表現が見当たりません。ただ、これを比較的上手く説明出来ているのはMMTで使われる…

負債のピラミッド

の考え方になると思います。これは簡単に言えば下位の負債はより上位の負債で弁済出来るという考えです。例えば個人間の物の貸借りの弁済は貸した物以外でもより上位の負債である預金振込で弁済しても許されたりします(変えの効く物ならば)なんならそれ以外の価値ある物だったり、場合によっては感謝の念だけでも良かったりもします。しかし、預金(預金は銀行から見たら負債)から現金紙幣の引き出しを要求された場合は必ず現金紙幣を渡さなければなりません。先ほどのように預金振込や価値ある物では通用しません。このように同じ負債と言っても上下があり、上の負債は下の負債を弁済する事が可能であるが、逆は出来ないのが負債のピラミッドになります。
この最上位の負債が通貨になります。この最上位の負債は負債の体を取っていますが、実質的には負債ではありません。それどころか通貨を持っている人はこれを持って何かに弁済しようとは考えません。ここがゴールになります。

ではなぜこのような事が許されるのか?はたまたなぜそういう仕組みになっているのか?それは…

国家権力という強大なパワーが存在するから!

に他なりません。そして、そこを理解すると受け入れ難い真理が待ち受けています。それは…

通貨とは国家権力によるマッチポンプの産物!

となります。どういうことか?通貨には政府による徴税権を解消することができます。言い換えると…

通貨は税を納めないと起きる罰則という負債を弁済することが出来る!

という事になります。これが示すことは…

国民は税を納めなくてはならない。納めないと罰則がある。最初から負債を抱えた状態である。それを弁済出来るのはこの貨幣だ!これを納税日が来たらそれを使いなさい!

と言うことになります。悪い言い方をすれば権力者によって本来は存在しない原罪を強いておきながら、まるで助け舟を出しているかのように権力者が制定した貨幣を渡す…つまり通貨というのは…

権力者が国民を支配するためのツールに過ぎない!

という事になります。そして、租税貨幣論というのは…

その構造を炙り出してしまった!

事になります。この部分が主流派の経済学者や租税貨幣論を知った方が…

受け入れたく無い根本理由になると考えます!

理屈で考えたら主流派の商品貨幣論より圧倒的に論理的です。それでも認められないのは…

自由意思を否定されていると言う所が非常に大きいと考えます!

しかしです。これを持って悲観する必要や自由を奪われている!というような感情を抱くのは少し早計です。一つ前の記事で書きましたが、租税貨幣論を成り立たせるための条件として…

定めた貨幣があれば必ず需要を満足させるだけの供給能力

が必要になります。これを成り立たせるにはどうすれば良いか?それは…

国民の力が必要!

になります。モノやサービスを生産しているのは国民です。決して権力者ではありません。権力者は命令してモノを作らせたり、サービスを実行させたりする事は出来ますが、自らで作る事は出来ません。もし需要を満たせないのであれば、それは通貨として機能しません。制定された貨幣での納税を強制されてもそれで生活出来なければ誰も使おうとしません。未納税者を捕まえる警察だって機能しなくなるでしょう。現に通貨の価値の弱い国では警察が賄賂を要求するなど不正が罷り通っている国が存在します。つまりです。この権力者によるマッチポンプは…

国民の生産能力と表裏一体である!

決して一方的にやられているものではありません。我々がしっかりしなければこの通貨を使った権力構造は成り立ちません!
そういう意味でいかなる政治体制であろうが、権力者は…

常に国民の幸福を考えねばなりません!

さもなくばそれは…

権力者自らも崩壊してしまうからです!

このように通貨というのは確かに国民を縛る道具かもしれませんが、同時に権力者も自らを縛っています。なので、租税貨幣論を知ったことで…

悲観する事でも無ければ過剰に反応するものでもありません!

以上になります。最後まで読んで頂きありがとうございます!


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