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忘れられない「はじめて」のこと

10代最後の夏だった。

あのときはきっと、強くなりたくて、どこへでも行ける自由がほしかった。
もう、今は戻ることができない、もう二度と経験できないはじめての一人旅の話。

組んだ予定はマレー半島の縦断。シンガポールから北上してマレーシア、タイを旅することにした。なぜだったかはもう忘れてしまったけど、なんとなく縦断とかそういう響きが好きだった。ゲストハウスに泊まって世界を旅する旅人と出会って、楽しくわいわい過ごすことを思い描いていた。

シンガポールは友達と一緒に4人で旅をして、その後私はみんなと別れて北上した。
みんなが帰った夜、シンガポールで”ゲストハウス”というものにはじめて泊まった。たしか、水のでるシャワーしかなくて凍える思いをしたっけ。二段ベットの下に知らない人が寝ているのも、わかっていたけどぎこちなかった。

はじめて国境を超えるバスに乗り、
暗くなり始める夜の街を緊張して歩き、
盗まれまいといろんなものを隠すようにして、
なんだか異国のものが喉を通らなくてケンタッキーに駆け込んで。

寂しかった。シーズンも良くなかったのかゲストハウスでもいい出会いがなかった。ずっと日本にいる友達とラインをしていた。

そして、シンガポールからバスに乗り、マレーシアのマラッカという港町に着いた日のことだった、夕日の名所といわれるような高台の古い教会跡で、陽が落ちるのを待った。

そうしているうちに、「なんでこんなことをしているんだろう?」
という気持ちが湧いてきた。知らない国でただひとり夕日を見ながら何してるんだろう、みんなに会いたいなあ、と。

そこに、日本人らしき女性がやってきた。
なにやらひとりで旅をしているようだった、夕日を見ながらCAMPUSノートに何かを書き綴ると、いそいそとこの場所を後にするようだった。

その一部始終を見ているうちに、私はもう反射的にその女性に話しかけていた。
そして、10秒後にはぽろぽろ泣いていた。
「寂しいんです。。。」と。

2年も3年も旅をしているというその人は、ちんちくりんの私をなぐさめてくれた。「いきなり泣いてすいません。。。」なんて言いながら、一緒に夕飯を食べた。

今思い出せば、そんな自分がいたことも驚きだ。
寂しくて泣いてしまう自分なんてもう捨ててしまった。
異国の地にひとりでいることが寂しかったし、怖かった。
なんでこんなことしにきたのかわからなかった。


次の日も、ひとりだった。
カラフルな町並みと、照りつける太陽の中を歩きながら、背中にオランウータンのロゴが入ったTシャツを買ったりなんかして。
行ってみたかったマラッカの夕日のきれいなモスクにも、意を決して行くことにした。でもお金に余裕がないから一人でタクシーに乗ることもできず、40分ぐらいとぼとぼと歩いただろうか。人気のない道で、開発途中のままときが止まってしまったような誰もいない工事現場や、海沿いの怪しげな雰囲気も怖かった。
でも、その日見た夕日は特別美しかった。少し曇っていたからラッキーでもなかった。
きっとこれからも忘れられないのはあの日みた夕日だ。

まだ写真なんて不慣れだったときの写真を添えてみた。
今日のnoteはぽんずさんが書いたノートを参考にしてみた。ほんとにネタないなあという感じだったのでかなり助かったーー!!

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