国境を超える列車の窓から
私にとって知らなかった景色を見ることってなんだろう。
今や誰でもどこへでも、スマホでチケットを買えば飛べる。
じゃあ私がこの景色を見る、見なければいけない理由はなんだろう?
そんなことを毎回、行き先から行き先への移動中に考える。答えは突然にして出て来た。
移動しながらあれこれ考える、暇(いとま)なこの時間こそが旅の愛おしさなのだ
とやっと気づいた。
バスや電車、飛行機で窓の外に広がる景色を眺めながら、
ああ、この先の未来、日本に帰ったら何をしよう…
あのひとに会いたいなあ…
心は静かで、座っている。でも私自身は乗り物に乗せられて次の目的地へ進んでいるその不思議な瞬間。
雪が積もった町にすかーーっと晴れた水色の空
あたたかな日差し
うっすらと残る飛行機雲
真っ白な雪の平野にある小さな小屋から林へ、ぽこぽことのびる足跡
人の気配
スンとのびる針葉樹たち
遠くにそびえるアルプス
突如あらわれる溶けかけた氷の浮かぶ湖
そうして車窓を眺めていると、ひとつひとつの家の中に、1人、2人、、、5人が住んでいて、それぞれの人にそれぞれの人生があるなんて、なんて世界は広いんだ、すてきなんだ。って
だんだんと心が洗われて、爽やかな風を感じる。
「車窓は、旅人の心の窓。」
ある写真家のことば。
これからへの焦りも、高揚も、いろんなものが投影され、自分の心が見えてくる。
これを書いたのは、ウィーンからミュンヘンへ向かう特急列車。
ちょっと字面も響きもおしゃれすぎて、秘密にしたいぐらいだよね?気取ってるよね?
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