病児保育に対しての様々な考えかた
当社では2012年より病児保育を地域に提供してきていますが、病児保育に関する考え方は人それぞれあります。それは、私自身が子ども子育て会議の審議委員として会議に出ているときも感じることです。
例えば、流山市の総合計画における市民アンケートでは、「病児保育について知っているが利用しようとは思わない」という割合は全体の6割近くになっています。
直接聞いた声やアンケートなどの答えからそうした方の考え方としては次の4点に大体は集約されます。
1)病気のとき位は親が側についていられるようにしたい。
2)他人に病気のときの子どもを預けて何かあったときに心配。
3)そもそも病児保育がよくわからない。
こういった回答は、病児保育を実際にサービスとして提供している側としてもよく分かります。
ここではこうした質問が出てくる背景は何か?を少し掘り下げて考えてみたいと思います。
1.子どもが病気の進行ステップについて
一言で「病気」といっても、その症状・程度・時期は一人ひとり大きく異なります。
病気の進行は大まかに言うと(言葉の使い方は医学的用語ではないのでご容赦ください)
1)感染期:ウィルスや細菌が体内に入る時期
2)増殖期:ウィルスや細菌が体内で増殖する時期
3)体調悪化期:身体がウィルス・細菌の増殖を感知して体温変更を行う時期
4)悪寒・発熱期:悪寒・発熱といった症状が現れ身体の中でウィルス・細菌と戦う時期
5)回復期:解熱に向かい、体調も回復する時期
6)全快期:解熱した状態に戻る時期
のおおよそ6段階で症状が進みます。なお、病児保育においては1)〜3)と4)の初期段階を急性期と呼ぶことが多いです。
病児保育に対して積極的でない方が気にされているのはこの1)〜4)の時期にあえて病児保育を使ってまで仕事をしなくてもいいんじゃないだろうか?というではないでしょうか?
確かに、悪寒でガクガク震えていたり、熱でグッタリして食欲もなく寝転がっている場合、病児保育を使ってまで働きたくはない、というのが働く親としての本心だと思います。私もそれは一人の親として十分分かります。
これは「病児保育で預かる子どもの状態」がうまく伝わっていないのではないかなぁと思います。
2.病児保育に対する警戒感
この質問者が病児保育にネガティブに感じているものとして、2つの理由があると思います。
1)病児保育というもの自体がそもそも理解されていない
→認知・理解の問題
2)認知、理解はしているが、その内容に対して懐疑的である
→信用の問題
一つ目の認知・理解の問題については、病児保育に関わる事業者が自らの事業内容をもっとオープンにして行く必要があるのではと感じています。
当社が運営している、病児保育室では利用前に必ず登録説明や聞き取りなどに来ていただく必要があります。
実際に預からせていただく場所やスタッフと直接話をしてもらうことで、「あぁなるほど」「安心しました」と言っていただけますし、ご利用者からも「使う前は不安だったけど、今は安心して使ってます」という声をもらうことが多いです。
ただ、一方で今まで使ったこともない人、初めて耳にする人にとって、「病気の子どもを預かる」という行為は想像ができないのではないかと思います。
だからこそ、「そんなよく分からないものを利用しないで、親が自分で面倒をみれば」ということになるのではないかと思います。
次に、認知・理解はしているが内容に懐疑的というのは「信用」の問題です。
病児保育の歴史は長いものの、今まで日陰の存在だった時期が長いです。
かつての日本では「母親が子育てに専念すべき」という風潮が主流であり、「子どもを預けて働くなんて母親失格」という人もいたくらいですから。
今、病児保育とはまさに黎明期を脱して社会的インフラとして必要性が増してくる時代になってきています。
事業者が一丸となって病児保育というものがどういうものなのかを説明する責任を果たして行くべきと考えます。
例えば、保育園と異なりどれだけ手厚い保育体制になっているか?なども積極的に発信すべきです。
保育園は保育士1名に対して3〜20名と複数保育が普通ですが、病児保育は保育士1名で看る児童は1〜2名と非常に手厚い保育になっています。
こうした実態はなかなか保護者には伝わりにくく、内情も含めて、事業者と行政が情報発信を積極的にしていく必要があると感じています。
3.子育てにおける「多様性」という視点
子育てに正解はありませんし、時代が変われば子育ての仕方というものも変わっていってよいと思います。
ですので、「病児保育なんかに預けて仕事をするのは親として後ろめたい」といった考えだけでなく、「病児保育をもっと広げるべき」という考え方についても親の意見・要望としては「あり」だと思います。
それを、「子育てはこうあるべきだ」と法や制度で決めてしまう、ということは避けるべきだと思うのです。
私は行政サイドの役割は、そうした「多様性を認め促進していく環境を整える」ことに尽きると思います。
そのために、必要なところには資金面での補助も出す一方、多様な事業者が子育てに関与できるように促していくべきだと思います。
株式会社マザープラネット(https://motherplanet.co.jp)
株式会社つむぐ(https://tsumugu-corp.co.jp)
オハナゆめ保育園グループサイト(https://ohana-yume.jp)
認可病児保育室キッズケアブルーム(https://kidscare-bloem.com)
会員制病児保育オハナ☆キッズケア(https://ohana-kidscare.com)
子育て支援フロア「チコル」(https://cicol.jp)
リクルートサイト(https://recruit.motherplanet.co.jp)
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