シッターのマッチングビジネスの限界
ベビーシッターマッチングサービス大手のキッズライン社に登録していた男性ベビーシッターが強制わいせつ罪で逮捕されました。
それに伴い、キッズライン社の対応が物議を醸しています。
男性シッターによるサポート一時停止のお知らせ
本日2020年6月4日14時から、男性シッターによる新規予約受付を一時停止いたしますので、お知らせいたします。(以下略)
https://kidsline.me/contents/news_detail/605
言いたいことは分からんわけではないけど、まず着手すべきところはここではありません。
正直、この対応は顎が外れそうになりました。
男性シッターの排除 ≠ 性犯罪の排除
確かにキッズライン社が訴えるように、統計上は性犯罪加害者は男性の方が圧倒的に比率として高いです。
性犯罪受刑者(有罪判決確定済) は懲役刑になった受刑者1791人のうち
男性は99.8%(1788人)に対して女性は0.2%(3人)
平成27年度版「犯罪白書」より
本質的な問題は、こうした犯罪者予備軍が現場に紛れ込むことを防ぐチェック機能が働きにくい仕組みになってしまっていることです。
このリリースは自分たちの審査システムの不備に対しての施策を打ち出さず、統計的データを元に差別します。と言っているに等しいです。
ましてや、LGBTといった既存の性概念が変わりつつある今の時代に、男性・女性という2軸で判断をした点について、いくら緊急避難的といってあまりにも稚拙で乱暴ではないかと思います。
少なくとも上場を目指す会社がやって良い対応ではないです。
利用者が求めているのは、シッターの信頼性の向上と「担保」であり、その企業としてすべきは統計データに基づく一律の排除ではありません。
マッチングビジネスの限界
ただ一方で、正直なところ、キッズライン社の対応を見ていて、これがマッチングビジネスの限界だと思います。
「我々はプラットフォームであくまでマッチングの場所提供です。ですから、マッチングした後は当事者同士の問題です。」というビジネスモデルを続ける以上、この方向での解決手法だともぐら叩きだと思います。
若いシッターが犯罪を犯したら、次は年齢制限をする。
国籍、住んでいる地域、学歴 などなど
統計データをもとに制限をしていく対応をするしかなくなります。
いくら、面接をしていたり研修を施したとしても、結局のところキッズライン社が契約関係に関与していなければ、責任から逃げることができます。
また、そこがこの事業のミソなんだと思いますが。
まずは、すべての責任の所在を自社に持ってくる。
最低でも「業務委託」理想を言えば「雇用(理想は無期雇用、最低でも日雇い雇用契約)」として、保護者との契約主体をベビーシッター会社自身に持ってくる。
その上で、ベビーシッター業界として「犯罪スクリーニングの仕組み導入」に取り組んでいく。その声がけ・旗振り役になる。
ベビーシッター業界に限らず、一定の子どもをターゲットにした性犯罪予備軍は保育園・幼稚園・小学校・中学校など子どもに関わる業界に紛れ込みます。
そうした人を「子どもに関わる事業に関わらせない」仕組みを国をあげて作っていく必要があります。
これだけの影響力のある会社で社長自身が志高い人であることを知っているからこそ、安きに流れずにリスクテイクをしてもらいたいと本気で思います。
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