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「取材」という名の広告営業

取材商法ってご存知ですか?

簡単に言うと、創業したての会社や地域の中小企業に片っ端から電話をかけて、「取材をさせて欲しい」と依頼をしてきます。

口説き文句はだいたいこんな感じかな

「地域で頑張る企業を応援する雑誌を発行している」
「今回、●●地区を重点的に取り上げることになって、御社を是非取材させて掲載させてもらいたい」
「インタビューアーとして●●さん(そう言えば聞いたことがあるな、くらいの昔有名だった芸能人が多いです)が同席します」


「お〜創業間もない当社に取材の依頼がかかるなんて、見てる人は見てくれているんだ!」
「うちに声をかけてくれるなんて、うちも捨てたもんじゃない」

と喜ぶのは早いです。
落ち着いてよく考えてみましょう。


そもそも、1年間に新しくできる法人って何社か知ってますか?

だいたい10〜20万社です。
その中で、「わざわざ」ポッと出の全国的にどころか、所在している市町村の中でも知名度がほぼゼロの自分の会社になぜ声がかかるのでしょうか?

うまい話には裏が必ずあります。


で、だいたい話を進めていくと、終盤になってお金の話になります。
私も思い出すと恥ずかしくはなりますが、創業当初のやり取りを思い出すとこんな感じの会話をした覚えがあります。

営業
「それで、インタビューアーさんの足代とか機材費等で7万円(会社によっては5万とかもある)かかりますが、よろしいでしょうか?」


「え? 取材って普通お金取りませんよね?」

営業
「色々と諸経費が係ってしまいますので、”取材費”ということで各社様にご協力いただいております。」
「今回、御社を担当させていただくのは●●さんです」


「うーん、●●さんか。。。お会いできるのは魅力的だなぁ。。。ちょっと考えさせてくさい。。。」

※一瞬でも悩んでしまったのは懐かしい思い出です。今、考えると恥ずかしいですけどね。(結局は断りましたよ)

※会社名はgoogle先生に「取材商法」と入れて検索すればポロポロ出てきますので各自でどうぞ。。。


社長の心をくすぐる商品設計

この取材商法ですが、なかなか巧妙だなぁと思うのが、創業間もない会社でもちょっと頑張れば出せる額というところです。(大体5万〜10万とかです。)

実際、中小企業ならこのくらいの価格は出せるし、芸能人や著名人と小一時間お話できるなら「安い」と思う人もいるとは思います。

ましてや、昔ファンだった芸能人と、1対1で会ってお話できるならなおさらです。
私も、大ファンだった和久井映見さんとかが来るんだったら払っちゃったかもしれません(笑


また、「取材」という表現を使っており、実際に媒体が発行されてそこに掲載されるというところもポイントです。

よほど積極的にメディアリリースやIRを仕掛けていかない限り、そういったメディアに掲載される機会はないですから。

実際の媒体に、往年の有名人と対談をしている自分の写真が載っている。それだけでも、喜んでしまう社長さんはいるとは思います。

そういう意味で、中小企業の社長をうまく突いた商品設計になっていると思います。

なので、「こういった話が来たんだけど、どう思う?」と私は相談を受けたときは、「芸能人にあってお話して握手・写真を撮影する費用だと思えば安いんじゃない?」と答えるようにしています。

まぁ、私はやりませんけど。

とりあえず、創業間もないときに、聞いたことのない媒体から「取材」の連絡があったら「費用はいくらかかりますか?」と聞いたらいいです。まともなマスメディアが「取材」をするのに、取材先から金を取るなんてことは聞いたことがありませんので。


余談ですが、実際に取材を受けて掲載された社長さんと話をしたことがありますが、取材に来たときにその営業から「せっかくなので、20万出してバーンと大きく掲載しませんか?」といった追加営業を受けるそうです。(笑


しかしまぁ、いろいろな商品を考えるものだと逆にその発想には感心した覚えがあります。

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