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日本に原発は必要? それとも必要でない?

原発にはメリットとデメリットの両方があります。
電力の安定供給の重要性、原発事故の再発の危険性、地球温暖化対策の有効性など、さまざまな要素を比較検討し、日本の原発の将来について考えてみましょう。 

原発事故後の日本の原発稼働状況の推移は?

2011年に発生した東京電力福島第一原発事故によって、原子力発電所の安全性が大きくゆらぎ、原発安全神話に対する疑念が高まりました。
日本原子力文化財団が作成した「電源別発受電電力量の推移」によれば、2010年に日本の総電力量の25%を占めていた原発は、原発事故を受けて順次運転を停止し、4年後の2014年には日本の原発の電力量は0(全基停止)になりました。
しかし翌2015年から順次再稼働させて増加傾向となり、現在政府は原発の割合を少なくとも原発事故以前の水準まで増大させる意向を示しています。

「電源別発受電電力量の推移」一般財団法人日本原子力文化財団「エネ百科」より(※1)

原発事故後の世界のエネルギー政策は?

一方、海外では、日本で起きた原発事故を深刻に受け止め、ドイツや台湾などの国では、原発事故の危険性を重要視し、脱原発に大きく方針転換することを表明。それぞれの国の事情に応じて、段階的に原発を停止し、最終的に原発を廃止するロードマップを作成し公表しました。
他方、原発は脱炭素社会を実現するための主力電源として世界から注目を集めています。
2015年にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)では多くの国に温室効果ガスの排出抑制を求めるパリ協定が結ばれました。
これを受けてアメリカは、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を0にするカーボンニュートラルを目指すと宣言。また、中国もカーボンニュートラルを目指すとし、そのため発電時にCO2を排出しない原発を拡充する方針を表明しています。(※2.3)

地球温暖化の防止と原発事故の危惧

原発には、電源としてのメリットとデメリットの双方があります。
まずメリットとしては、エネルギーの安定供給や地球温暖化の防止を実現するために、原発は欠くことができない主力電源と位置づけられることなどが挙げられます。
その反対に、デメリットとしては、原発事故が再発する危険性を未だ払拭することができず、また原発から排出される放射性廃棄物を最終処理(ガラス固化)し数万年単位で長期保存できる技術と条件を求めることは、現時点において不可能であることなどが挙げられます。(※4.5)

原発は必要であると考える場合の主な理由(原発のメリット)

1.原発は電力の安定的供給に最も適した電源の一つに位置づけることができる。
2.原発は温室効果ガスを排出しないことから、地球温暖化を抑止し、脱炭素社会を実現するための主電源になり得る。
3.原発の保持は将来の核保有が比較的容易であることから、安全保障上の観点において核抑止の効果が期待できる。

原発は必要ではないと考える場合の主な理由(原発のデメリット)

1.地震大国の日本において、第二の福島第一原発事故を未然に防ぐことは技術的に不可能である。
2.日本は石油やウランなどの資源は乏しい反面、太陽光や風力、地熱などの資源は豊富にあり、固有の資源を有効活用することによって、日本のエネルギー自給率の向上に貢献できる。
3.原発は有事の際の攻撃対象となり得るため、安全保障上の大きな弱点になる。

これまで見てきた通り、原発にはメリットとデメリットがあり、これからの原発を考えるためにはエネルギーの安定供給や自給率、地球環境、安全保障など、さまざまな問題を総合的に考慮する必要があります。
「日本に原発が必要か、あるいは必要ではないか」、貴方の選択とそう思う理由を教えてください。

【投票選択肢】
・日本に原発は絶対に必要だと思う
・日本に原発はどちらかと言えば必要だと思う
・日本に原発はどちらかと言えば必要ないと思う
・日本に原発は絶対に必要ないと思う
・どちらとも言えない
・その他
・わからない

▲「日本に原発は必要? 必要でない?」上山明博(https://surfvote.com/issues/c14lreh52rmf)

参考にした資料
(※1)「電源別発受電電力量の推移」日本原子力文化財団
(※2)「世界の原発利用の歴史と今」経済産業省資源エネルギー庁
(※3)「今後の原子力政策について」経済産業省資源エネルギー庁
(※4)「放射性廃棄物の適切な処分の実現に向けて」経済産業省資源エネルギー庁
(※5)「高レベル放射性廃棄物の地層処分」電気事業連合会

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