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私もおばあちゃんになったら誰彼構わず話すようになるのか


母方の祖母と暮らしている。

数年前に比べると足腰は悪くなってきているが、
それでも本当によく食べてよくしゃべる。

同じ年齢のおばあちゃんよりも元気だと思う。

私はじいちゃん子で、
10代の頃の祖母に対する私の態度は、
客観視するのもやめたいくらい
ひどいものだった。

最近は少し変わった。
健康で居てほしい、と
ぼけてほしくない。



祖母は、おしゃべりだ。

ずっと何かしゃべっている。
だけど、筋道立てて話すのは苦手だ。

国語のテストで、
下の語群を並べ替えて文章にせよ。の
語群を順番に読み上げるみたいに
ぐちゃぐちゃに話す。

話したいことを考えずに話して、
返事しても聞いていない。無茶苦茶だ。

ここでタイトルの
「誰彼構わず」の部分。

先日、ネットの工事のお兄ちゃんがきた。

「何かあったら声かけてください。」
私はそう言って、
三階の部屋で過ごす。

すると、外で作業しているお兄ちゃんに
話しかける祖母の声が三階の私の部屋に届く。

「今日は気温-1℃よ!
おばあちゃんが若い頃はな〜…」

三階の窓から覗く。
工事の作業をするために
車のドアに手をかけて、
話す祖母に相槌を打ち、
作業できずにいる姿が見えた。

寒い日。当然窓は閉めている。
三階の部屋に声が届くとは、
どれだけ声がでかいのか。

帰りにはくず湯を無理やり飲ませていた。



今日、前回の続きのネットの工事に
別のお兄ちゃんがきた。

今回も前回同様、外で作業してもらい、
私は三階の部屋に居た。

今日も聴こえてくる。

「今日また寒くなったなあ。
暦上ではもう春よ!」

きっとこの声は、
お隣の家や、
お向かいにも届いているであろう。



病院の先生や、
ドラッグストアやスーパーの店員さん

必要以上の会話をしようとする。

本当の祖母のこの姿の凄さは、
文章には書ききれない。
読み手の想像を超える異常さを
伝える力がないが、
想像より遥かにしゃべりかけている。


その姿を見ると、
血が繋がっているから、
私もいずれこうなるのかな。

祖母が若い頃からこうだったのか、
年を重ねてこうなったのか。

何がこうさせるのか。
おばあちゃんになったら、無敵になるのか。

いろいろ考える。

私はどんなおばあちゃんになるんだろう。



祖母について、もう一つ。
ファッションセンスがすごい。

もともと無頓着だからこうなるのか、
無頓着になるのか。

暖かくできたら何着てもいいと言って
柄も色も気にせず重ね着している。


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