プロットを膨らませる<小説の書き方>
今日も、私の執筆作業のご紹介をしようと思います。
実は、つい最近までうんうん唸って、ようやくまとめかけた新作ミステリのプロットを、いったん棚上げにしました。
とても魅力的なストーリーなのですが、私が今一番書きたいミステリの手法には合わない。と言うか、このプロットのストーリーだと、私の書きたいミステリの手法が活かしきれない、と思いました。
(大げさに書きましたが、たとえば、密室トリックなのに群像劇にするのはあまり効果的でない、というようなことです)
もったいないですが、いつか別のミステリで使おうと思います。
(そういうストックが溜まっていく……)
ということで、またイチからですが、使いたい手法に馴染みそうなストーリーを考案しています。
<プロット><執筆><推敲>の<プロット>、さらにその始まりのステップに戻りました。
<プロット>は私の場合、『シーン表』というフォーマットに落とし込む作業がメインですが、順番としては
<アイディアメモ><企画書><シーン表><あらすじ>
こんな順番で進めていきます。
興味のある方はこちらをどうぞ。
今日は<アイディアメモ>と<企画書>の間のあたりの作業をしていますので、そのことを書きます。
一応、アイディアの核のようなものは見つかっていて、それをどうやって
面白いストーリーに膨らませていくか、その段階です。
アイディアはPCやスマホのメモなどに書いていくことが多いのですが、
こんがらがってきたときは、紙に殴り書きのようにすることが多いです。
その方が自由なので。
しかしその殴り書きのままだと、翌日には何がなんだかわからなくなるので、使えそうなものからエクセルにまとめていきます。
そのエクセルの表の一部を見ていただいて、実際に何をしているか、ご説明します。
真相1 実際に何が起きたのかを図にしたものです。数人の登場人物がどんな行動をしたか、わかるようにします。
(本当に基本の出来事なので、ごくごくシンプルです)
行動と関係性さえ決めれば、あとは頭の中で考えます。
「殺す」とか「騙す」とか物騒な言葉が並びますが、ミステリなので。
読者 読み手の立場で、「今、何が起きていると思うか」を書いたものです。誰が誰に対してどんな行動をしているか、です。
真相1とはまったく違いますね。
ミステリは実際に起きている真相を、どう隠すか、どうミスリードさせるかが鍵だと思っています。
小説では 読者に真相を隠すために小説ではどう書くか、ということです。視点を変えたり、時差をつけたり、様々な方法を考えます。
また登場人物自身が、真相を知っているとは限りません。謎を解明する最中だったり、騙されているかもしれません。その場合、登場人物はセリフなどで真相とは異なることを言います(言わせます)。
現時点で上記がある程度固まりました。これで次の段階の<企画書>を書き始めても良いのですが、これまでの経験だと、もう一ひねり、二ひねりが必要になるのです。そこで真相2 です。
真相2~ それまで考えていたことをゼロにして、まったく別の構図を考えます。犯人が別人、探偵が犯人、被害者が犯人、共犯者が裏切り者……そんな感じで、「それはないだろう」ということを考えます。
なので真相は10個近く考えることにしています。
(もちろん実際に採用するのは、その一部です)
無駄なこともある一方で時折ですが、発想ががらりと変わる新しい視点が下りてくることがあるのです。それをうまく捕まえてストーリーに組み込めれば、間違いなく、より奥行きの深い小説になると思います。
私は思うのですが、世の人気作家さんたちが、一番、頭と時間を使っているのはこのステップではないでしょうか。
色んな新しい発想を思い浮かべるだけではありません。むしろその発想を可能にするために、どういう設定を考えるか、どう辻褄を合わせるか、風呂敷をたたむかに悩むのです。
逆に言えば、このステップを踏まないと、読者を驚かすような奇抜なストーリーは生まれないのではないでしょうか。
と言うことで、今、真相4くらいまで考えています。
「これはすごい!」「いや、それでは矛盾してしまう」という繰り返しです。でも、
読者に驚いてもらうためには、まず作者が驚かないと。
そう思っています。
以上です。
なお、今日のプロット作業の『シーン表』については、まとめた小冊子を
来月の文学フリマ東京にて販売する予定です。
よかったらお買い求めくださいませ。ブース名は
【わんにゃん堂】
です。
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