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しゅたいって?

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「しゅたいって?」は同名のトークセッションのために用意されたマガジンです。 2023年3月16日19時より、西小山にて「主体」あるいは「主体性」をテーマに5名の大学生によるトー…
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#主体性

傷としての主体性 ——トークセッション「しゅたいって?」の振り返りとして

 本記事は「しゅたいって?」と題されたトークセッションの振り返りであり、内容的には以下の記事の続編にあたります。トークセッションに参加されていなくてもお読みいただけますが、以下の記事には先に目を通していただけると本記事も理解しやすいかと思います。 関係性と傷傷つくこと・傷つけられること  「語り部が深く傷ついているとき、聞き手は主体になることができるのか?というもやもやを持ちました」 トークセッションに対して参加者から寄せられたコメントの中にこのようなものがあった。この「

グラフィックレコードから読み解く「しゅたいって?」

はじめにはじめまして。野月そよかと申します。 トークセッション「しゅたいって?」のグラレコを担当しました。 この文章はトークセッションのまとめではありません。あくまで私が登壇者五名の対話をグラフィックレコードを眺めながら再解釈し、少しだけ感想を加えたものです。ぜひグラフィックレコードをなぞりながら、皆さまとの解釈のズレや、セッションの聞こえ方の違いを楽しんでいただければと思います。特に登壇者のみなさま、もし私の認識が著しく誤っていた場合は、どうかご指摘ください。 第1部を

関係人口と呼ばれて―地域とその主体

「あなたは葛尾村の関係人口だ」 そう言われ続けて早5年が経過した。「関係人口」という言葉を初めて知ったとき、その言葉を異物のように感じた記憶がある。それからあまりにこの言葉に触れすぎて慣れてしまったが、今もそこはかとない違和感を持ち続けている。 「関係人口」という言葉は、「ソトコト」編集長である指出一正氏や「東北食べる通信」編集長である高橋博之を中心に2016年頃から使われ始め、その後に総務省や国土交通省が管轄する政策でも頻繫に使われるようになった言葉だ。総務省は「関係人

要請される主体性:逃げ場としての書店

「主体的に動けているよね。」 「自ら取り組んでいてすごい。」 「僕らにはそんなにできない。」 そう言われることがある。 ただその一方で、 「無理していない感じがするよね。」 「なんだか自然体だよね。」 「肩肘張っていないイメージがある。」 そう言われることもある。 前者のコメントをもらったとき私は返答に困り、 「いやいや、、、別に、、」とぼそぼそ言うことが多い。 反対に後者のコメントをもらったときは特に返答に困らない。自分が持っている感覚としては後者のほうが強いからだ。

相互的な主体性 ——対話における主体性を考える

「主体性」ということば  近年、「主体」や「主体性」という語は大きな注目を浴びている。2020年度(小学校)から実施されている学習指導要領では「主体的で対話的な深い学び」が目指され、教育における「主体性」の養成が重視されるようになった。また、厚生労働省は誰もが「主体的なキャリア形成」をできる社会の実現を目指し、キャリアコンサルティングなどの政策に取り組んでいる。個人から団体へとピントをずらすならば、地域でまちづくりに貢献している多様な主体やSGDsに取り組んでいる多様な主体