拝啓 チャットモンチー様

昨今はこぞって、
エモいエモいと皆が言うのだ。
デジタルに溢れた世の中で、利便性に溢れた現代で、スマホ一つでなんでもできてしまう中で、

我々はリアルな感情を、
エモさを求めてる、と言ってもよいのだろうか。

エモいとは何か、
誰しも説明ができるようで、実際の所はよく分からないものでもある。

だがしかし、私は気づいてしまった。

元祖エモい音は
このチャットモンチーが鳴らしていたのかもしれないと。

いや、エモいなんていう
陳腐な言葉で彼女達の素晴らしさを
言い表したくない。

序文はここまでにして、
チャットモンチーの事を続けよう。

チャットモンチー、
それは、
日本のロック史に名を残す、
素晴らしいスリーピースバンド。

特に2010年代から出てきた日本のバンドにおいて、彼女達の影響を受けていないロックバンドなんて、果たしているのだろうかとすら思えてしまう。
彼女たちの音楽は、
バンドマンの耳に知らず知らずのうちに
取り込まれていることであろう。
それくらい、彼女達が鳴らしていたサウンドは後陣のバンドマンにとって影響が大きいものではあるまいか。

かつて我々の世代が、くるり、スーパーカー、ナンバーガール、この辺りの影響を受けていない人がいないのと同じように。

私より少し上の世代が、Hi-Standardやブルーハーツの影響を受けていない人がいないように。

チャットモンチーは間違いなく、
世界に通じうるレベルで、質の高いロック・サウンドを鳴らしていたバンドであった。

スリーピースバンドのサウンドは必要最低限の音の集合体、バンド編成だともいえるが、

彼女たちが凄いのは
それが極めて「奇跡的な完成度」で、
鳴っていることがある。
当時三人編成の時のライブ動画を見返していると、この奇跡的な完成度が保たれている瞬間が
「実に多いこと」である。
リアルタイムでは分からなくて、
今更ながらそれに気づいて、
私はただひたすらに項垂れている。

音楽を少しでもやっていた人であれば、
わかりはしないだろうか。
ガッツリ三人で取っ組み合って相撲してる感じ。
彼女達の奏でる音に全く隙はなく、まさに鉄壁なのだ。
当時は分からなかったが、改めて聞き返すと、
こんなに上手いバンドだとは思わなかった。
ガールズバンドなんて形容詞は不要で、
純然たるスリーピース・ロックバンドだ。

音の根底にはいわゆるリズム隊の素晴らしさ、タイトにキープオンし続けながら多角的に音が鳴っているドラムと、しっかりとした格好良すぎるベースの存在が大きいものと思ったが、
とにかくメンバー三人の間に絶大な信頼感があるのが伝わってくる。

この3人で繰り広げられる骨太なロックサウンドの中に、
類稀なポップスセンスが散りばめられており、
それが彼女達が影響を受けたであろう、
オルタナテイストのフレーバーをともなって、
エモーショナルに耳にから心へと
ダイレクトに響いていく。

これはもうぐうの音も出ない。
当時彼女達がメジャーになる前に
見出した人達の喜びたるや、想像に難くない。
ありそうで、なかった。

チャットモンチー前と、チャットモンチー後、
2000年以降の日本のロック史は間違いなくここで分け隔てられるだろう。

ミュージシャンからの人気が高いことからも
それは伺えるが、


等身大の女性が、等身大のままで変に着飾る事なく、されど彼女達にしかない鋭利なエッジを武器にしたままで、心にグサグサと突き刺してくるこの感じ。

唯一無二で、彼女たちの登場以前に、
ありそうでなかったものなのである。

日本のスリーピースバンド、
いや日本ロック史の一つの到達点である。
彼女達の音は時代を経過する毎に尚も
光り輝いていくことであろう。

※3人編成から1人抜けた後もまた素晴らしいのだが、音源などについてはしっかりまとめて聴けていない事もあり、またの機会とします



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