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日本語学校は留学生私塾に勝てないの?

みなさん、こんばんは~。ぱんだです。サタデーナイトをいかがお過ごしですか。大学・大学院の入学試験真っ盛りで留学生たちもピリピリではないでしょうか。そんな進学のために日本に来た留学生って、だいたい塾に通っていませんか?先生方の学校ではいかがでしょう。そして、だいたい、塾通いの学生に決まった問題がありませんか。

・学校の授業中に塾の宿題をする。
・塾の先生と約束があるので授業早退・遅刻・欠席
・「塾で勉強したんで大丈夫です。」
・「志望理由書・研究計画書見てください、日本語の文法だけ!」
・「進学内容大丈夫です。塾の先生が教えてくれます。」

などなど!完全に日本語学校<塾状態で悩んでらっしゃる先生も多いのではないでしょうか。塾で補ってくれてるならいいです、できているなら100歩譲っていいです。ですが!できてないんです。だから、問題なんです。塾では問題解けているのかもしれません、でも話せないんです。
過去には、「進学指導は安心して。塾の先生が教えてくれる。」と言っていた大学院志望の学生が、塾の先生が募集要項を理解できていないがために入試書類や教授のアポが間に合わず受験できないことがありました。それがあっても学生の信頼は塾の方が高かったように思います。

日本語学校の先生方も肌で感じてらっしゃる思いますが、どうして中国系私塾はあそこまで学生を魅了できているのか。。私自身、本当にいつも不思議でした。完璧に日本語学校へビザをとりにきてるだけ状態です。勉強していないわけではないですが、授業は片手間です。もうなめてます!笑)
ここからは完全に私のエゴになってしまいますが、結局問題は解けても日本語は使えていないんです。日本語学校でクラスメイトや、日本語ネイティブの先生達と生きた日本語を使って習得してほしいんです。ですが、結局は学生が必要としているものを塾が提供できているから、学生はそちらを優先しているんですよね。つまり日本語学校は魅力負けしてるんですよね、学生のニーズを提供できてない。
なので、「塾がどんだけいいもんなんじゃ!!!やってること見てやろうじゃないか!!!見させてもらおうじゃないか!!!」ということで、大手私塾M校に通う学生を通して、見学に行かせていただきました。

中国系大手私塾M校見学

私が見学に行ったのは、高田馬場にあるあのマンモス塾です。M校に通っている学生約1,900人。あそこの社長ってまだ若いんですよね。2009年に法人登録されてから今では東京だけでなく、関西にもあり、都内の日本語教育の1/3と提携してるんですから、本当にすごいと思います。

施設の感想
・駅近ビルで、外観の特徴はなし(学生数の割にエレベーター小さいな。)
・外観からは想像できないくらいフロアは開放感があって綺麗
・壁一面には歴代合格者の掲示がずらり(国立だけで何十人いるんだ・・・)
・教室はガラス張りで、先生の事務デスクから授業風景丸見え
・ロビーにはお洒落な椅子&デスク

ちょうど私が見学に行った時間に、JLPT聴解の対策の授業があったので、授業も見学させていただきました。日本語教師の先生方は塾の授業がどのようなイメージがありますか。私は媒介語で教師がずっと説明するだけで学生のアウトプットの時間はないんだろ。と思ってました。が、
まさにその通りでした。聴解音声を通しで流し、その後先生が答え合わせ。途中で少し説明を挟んでいる程度で、学生が発言する場面は一度もありませんでした。ましてや、広い教室(おそらく50名は学生がいました。)学生が発言できるような雰囲気もありませんでした。先生がCDを流し、答えを言い、学生はノートにとるだけ、、授業を見た率直の感想は「これ、、、自習でできるよね。。」なのに、学生は必死で机に目を落としていました。携帯をいじったり内職したりしている学生も見かけませんでした。

授業を見学させていただいた後に担当の職員の方と、仲介してくれた学生と3人で話をさせていただきました。

中国留学生のニーズとは

最初は職員の方が、塾の説明をしてくださり、そこからは私の日本語学校での学生の姿勢や、塾に対しての失礼な質問タイム。「日本語を使うことはありますか、アクティブラーニングののようなことはしますか、そもそも発話のタイミングはありますか、問題を解いているだけですか。学生は学校でも塾のことを優先しています、魅力ってなんなんでしょう。」と本当に失礼なことを言っていたにも関わらず、私の真意を汲んでくださっていたのか、笑いながら対応してくださいました。

・現在の中国では英語ができない子が日本語を選ぶ
・中国国内のトップの学校への進学、英語圏に留学できない子はいいところへは就職難しい。
・中国内でいいところへ就職した人に早稲田族が多い
・日本の早慶レベル(せめてGMARCH)のネームバリューだけでドヤれる。
・圧倒的早稲田人気
・日本より学歴社会
・中国では小学生から塾行くのは普通
・教育にお金をかける(かけれる)人が増えた

というように、日本の大学で何を学びたいのではなく、学歴が必要なんです。いきたい会社があるわけではなく、年収のいいネームバリューのある大手企業に就職するためには、学歴が必要なんです。(日本もそうだったのですか?)そのためには、EJUでいい点数を取らなければいけないのです。そのノウハウを持っているのが、有名大学に何百人も進学させデータを持っている中国系塾なのです。職員の方もM塾の卒業生で慶応卒でした。ちなみに職員の方はほとんどが早慶以上だと思われます。そんな自分の志望校の先輩達が身近にいていつも質問し放題、そして、問題を教えてくれるのですから信頼の度合いが違うのは納得です。現在の日本語学校でそんな卒業生を輩出させた学校があるでしょうか。実績と説得力の差が違いすぎます。もし、私が留学生なら塾に言われたことをやるでしょう。

仲介してくれた学生も塾生としてたくさん意見をくれました。「塾ではクイズ感覚、あれだけ毎日問題を解いているから、解けるようになってレベルアップした感覚になります。しかも中国語で聞けるし、日本語が解ける感覚もありますし、外部試験でも結果が出ます。スコアや資格が取れるんです。」そうですよね、認めたくはないですが、JLPT合格者や、EJU高得点は塾へ通っている学生が占めています。学生の希望・ニーズを叶えられているのは、今のところ塾なのではないかなと思います。実績が違いすぎます。

じゃあ、日本語学校の立場って、、、

日本語学校の強みってなんでしょうか。それは、先生がネイティブなこと、それに尽きるんじゃないかなと思います。
今の中国留学生って「楽しい学校生活」ってあまり望んでないですよね、進学命ですから。だから、楽しいクラス活動とかニーズに合ってないなとは感じています。
だから結局、アウトプット(面接や作文指導)に学生達が頼ってくるのはわかります。塾の先生が添削したところで変な作文てたくさんありますもんね。学生達はちゃんといいとこ取りして賢いと思います。学生自身も「学校と塾では求めているベクトルが違います。日本人のやり取り、話し方、文法の使い分け、そういった自然とできるものは先生たちからしか学べません。」この学生は内職もせず真面目で仲の良い学生だったので日本語学校の肩を持つような発言もしてくれました。(笑)学生が言った内容は、塾ではカバーできませんよね。日本語のプロの私たちが与えられるところだと思います。
よく日本人の「大丈夫です。」の真意が分からないということを聞きます。例えば、「箸はおつけしますか。」「大丈夫です。」のような使い方です。私たちからすれば「必要ない」という意味で言っているというのはもちろんわかるのですが、留学生にはしっくりこないこともあるようです。

学生たちがわざわざ留学しているのです。母国との差って単純にネイティブの言葉を聞けるに尽きると思います。正直、塾を優先させていることって悪いことじゃないと思います。学生達の目標達成のために正しい判断をしているのかもしれません。ただ、それは知識が溜まっているだけで、実用できていないよと。持っているだけじゃ意味がなくて、使ってはじめて価値があるんだよということを知って欲しいです。
「進学は先生のおかげです。」と言われなかったとしても、「先生のおかげで日本がさらに好きになりました、日本語は面白いです。」と言われればそれだけでも十分に価値があるんではないでしょうか。

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