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未経験から専任教師になれますか?というお話。~後半~

みなさん、お元気ですかー?ぱんだです。前半に続きこちらもご覧頂きありがとうございます。前半では、専任業務の愚痴を聞いていただいたわけですが。(笑)

後半では、じゃあ未経験の方が専任になれるのか(雇われるのか)についてぱんだ的に書かせていただきます。


未経験でも専任採用される

先生採用の日本語学校合同説明会に参加しても、未経験で採用されますか?専任になるの確約してくれますか?という質問は多いです。

結論だけでいうと、大丈夫です。事例もあります。

この大丈夫というのは大丈夫な学校もあります。ということでそういった学校数は少ないと思います。

未経験でも採用させる背景として、理由とはしては前半でもお話した専任不足があげられます。一般的な道でいうと、未経験の方は週2.3日の非常勤→授業に慣れてきてから、(だいたい3〜6ヶ月でしょうか。)→専任という形が多いですが、インターンや新卒採用など日本語教師の入口の幅を広げる取り組みをされている学校さんも増えてきました。私はこれ賛成です。未経験の方も積極的に参加していただき、ご自身の才能を見出してほしいです。ただ、この意見は日本語業界だと少数派だと思います。


なんで未経験は採用されにくいのか

・顧客(留学生)に十分な質のサービスを提供・保証できない可能性が高い
・日本語のプロとしての資質・能力・実績に信用性がない
といったところが表向きで、現場的に言えば
・即戦力にならず、手間が増える可能性がある
・未経験の方がつぶれる、離職率高い
といった本音もあるかと思います。(これ全てぱんだ的見解です。異論お待ちしてます。笑)

入りたての頃って1回分の教案作成に10時間以上はかかると言われてます。もっとかかる方もいるんじゃないでしょうか。

これから専任を目指される方にうかがいます。その作業を週に5回分と、その他の業務ができますか?留学生が支払ってくれる高い学費分の価値のある授業を展開できますか?

それを採用時の模擬授業で拝見させていただくわけですが、その15分の模擬授業はクリアされたとしましょう。その準備に何分時間を要しましたか。その質を継続的に20時間提供できますか。それを保証できますか。
非常勤を数ヶ月経験された方であれば、実績があるので信用性があります。授業への余裕や引き出しの数も違います。

また、現場的な意見でいってしまえば単純に仕事が増えます。新任の方の教案チェック、実習、フォロー。また、授業でいえば、多くの新任の方が養成講座の「みん日」のスキルが使える初級クラスのみを主に担当。新任の先生に配慮する分、しわ寄せは他の先生にいくわけです。現場の常勤も余裕がないため、最初は厳しかった教案チェックや新任のケアも怠られていきます。
新任の方も手探りの授業の中でOKかどうかも分からないのに、授業や業務だけは増えていく。学生の質問にもとっさに答えられない。分からないことばかりで授業が怖くなっていく。問題点をどう解決したらいいか分からない。

去年、私の学校では未経験の方が3名専任として採用されました。みなさんの模擬授業拝見しましたが、どの方も未経験とは思えないとてもテンポの良い授業でした。ですが、4ヶ月以内で3名中2名が退職されました。
退職理由は「休日もずっと授業のことを考えているのに追いつきません。一生懸命準備しているのに、聞いてくれない学生もいます。日本語を教えたかったのに、それのスキルが伸びていくように思えません。こんな大変だと思いませんでした。周りの先生にも迷惑をかけて、私にはできません。」もう、この理由に未経験が専任応募しないほうがいい内容がつまってます。
私達も新任の方への配慮や研修にはたくさんの時間をかけました。ですが、こう感じさせてしまった既存の常勤や、経営体制には落ち度があったとしか言えません。もうlose-loseです。

ただ、この退職理由って日本語教師ならどこかのタイミングでぶち当たる壁です。もしこれが非常勤からのスタートであれば、授業の問題点のみを一つずつ解決していけたと思いますが、その余白をなくしてしまうぐらい専任という立場がその方々をつぶしていってしまったのでしょう。

また、お金大好き経営陣からすると、「できないことが少ない中投資(採用)してやったのにさっさと辞めてお金の無駄だった!」なんて言うすんごいやつもいるので、未経験採用には消極的にならざるを得ません。誰もハッピーになりませんから。学生も、学校も、そしてご本人も。


未経験者のメリット

その中でも私はもっと、未経験の方を専任採用してほしいと思ってます。また、そう考えている日本語学校も増えてきているということは前述しました。それは未経験の方にしかもってないものがあるからです。

・授業への圧倒的な情熱
・フレッシュさ
・他の学校で染まっていないフラットな考え方
・伸びしろ

授業準備にしろ学生対応にしろ、初めてのときって本当に一生懸命です。
経験が増えていくと、学生の問題点パターンも分かってきて、その場でぱっと答えてしまったり、なんかこなれちゃうんですよね。ですが、新人のときって学生の質問1つでも、その場の答え方だけじゃ満足できず、家にも持ち帰って考えて、特製プリント作って渡したりしちゃって、でもって学生は質問したこと忘れてたりしちゃって(笑)できることが少ない分、できるところを一生懸命やる、このオーラって新人の方からしか出ない大事なものだと思います。この情熱オーラって学生にも伝わります。学生と一緒に新任の先生も悩み、学び、一緒に成長していけるんです。こなれてきちゃうとこのオーラって減っていってしまうもんだと思います。


フレッシュさは言うまでもないですが、新任の先生に学生は興奮します。(笑)また、フラットな考え方はこれからどのようにも成長していける可能性・のびしろがあります。経験を積んだベテランの先生は頭が固くなっていき、柔軟な発想・対応ができなくなるデメリットありますが、新人の先生は吸収力もこなれ既存教師とは段違いです。また、経営者目線からいえば、前の学校のやり方を引き出したりしないで従ってくれるってこともあると思います。(笑)
もちろんベテランの先生も一生懸命情熱を持って接してくださっているわけですが、新人の情熱オーラは出せません。


経験値は「かけ算にならない」

未経験採用には消極的。だけど、参入してきてほしい。

最後は私が一番言いたいことを書きたいと思います。

未経験の方はできることが少ないから、実績・経験積んでから余裕持って専任に望みましょう。という学校が多いですが、経験があるベテランの先生がすごいのか?わかりやすいのか?って言ったら絶対そんなことはありません。

経験が浅くても、学生の満足度が高い面白い授業ができる先生を何人も見ました。経験がある先生より、分かりやすい授業をされてる新任の先生も見ました。未経験の模擬授業の時点でもベテランの方と変わらないんじゃない?という方もいました。

もちろん、ベテランの先生にしかできないこともたくさんあります。授業への余裕さや知識量、引き出し、学生対応のテクニック、そして、この(ブラックな)業界を長年続けれられいるというメンタルと経験値。ベテランの先生からの安心オーラは何にも変えられません。


ただ、経験値は足し算でしか加点されません。絶対かけ算にはなりません。


日本語教師に必要なスキル・資質って本当に多岐に渡ると思います。

・言語伝達な不十分な相手との会話を成り立たせるコミュニケーション能力
・クラスをまとめるマネジメント能力
・学生の進学・将来を一緒に考えられるコンサル能力
・面白い魅力的な授業を展開する演技力・役者能力
・留学生の日本での親代わりになる母性
その他、事務のようなofficeスキル、生活指導など本当に様々です。

この上記のそれぞれの能力を人間力とします。

私は、この人間力が日本語教師として一番大事だと思ってます。

人間力内の能力はかけ算できますが、経験値はちょっとした加点になるだけです。

例えば、進学情報や、文法解説の知識量はあるが、留学生の言いたいことを汲み取ろうとしない経験者の先生がいるとします。
  →人間力(進学指導力10×授業の役者能力5×コミュ力0)+経験値10

この方の日本語教師としての魅力は経験値のポイントだけです。

ですが、経験はないけれど、留学生の言いたいことを一生懸命に汲み取ろうとし、学生の問題などにも親身に接する、授業のテンポは少し悪いけれど、授業を面白くしようと教材準備やオーバーリアクションなど心がけている。
  →人間力(コミュ力5×母性×5役者能力×5)+経験値0

「何言ってんだ?こいつ???その計算式なんだ、その配点はなんだ」というクレームは心の中にしまってください(笑)先生方なりに汲み取ってください。(笑)

私が伝えたいのは、人間力が大事だということ。経験値はそりゃあったらいいよね!ってことです。

未経験の方の中でも、魅力的な先生はたくさんいます。経験がないからなんて卑下する必要はまったくありません。絶対早いうちから専任に揉まれて修行してほしいです。専任の業務は確かに大変です。でも、死ぬ気で半年やれば必ず力がつきます。あ、ただ、専任だけが日本語教師のキャリアだと思わないでください。非常勤やフリーランス、コーディネーターからボランティアまで、日本語が大好きなら関われるところはいくらでもあります。

あともうひとつ、最初から「専任になるの確約してくれますか?」というこんな質問してくる安定思考の方は絶対に専任でやっていけませんので、ご注意ください。


この業界で生きていく!日本語教育を愛してる!といった方は是非経験値を気にしないで何事にも挑戦していってほしいです。模擬授業や面接で絶対にその情熱や人柄は採用担当に響きます。その先には可愛い学生達がたくさん待ってますよ。

ただ、無理はされないように。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。

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