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観客として2時間興業を見た話 久々に観客で観たリング上は神々しかった

Sareee対橋本千紘戦が気になって、新宿FACEまでプロレス興業を観てきました。格闘技とプロレスを通じて、「客」として客席で興業を観るのは2020年1月の新日本プロレス後楽園大会以来です。客側(Customer)の立ち位置や求めるものを知るためにも、客として大会観戦する機会をもう少し増やさないといかんなと思いました。いつの間にか創り手側が胡座をかくような状況になるのを避けるためにも客側の視点を常に持ち続けるのは大事なことだと思いました。

19時開始で21時には終了。間に15分の休憩があるので実質1時間45分。映画と同じくらいの時間で楽しめるのはありがたいです。切符代以上に時間のほうが貴重なところがあって、格闘技大会のように4時間から6時間興業時間があると、集中力以前に時間の都合が難しいです。たくさんの選手を出すことで切符に繋げる構造もわからなくもないですが、最近の格闘技は最初から最後までパッケージで観戦するようにデザインされていないように思うので、試合数と試合時間を見ると観に行こうと思うのは難しいです。視聴数を考えれば大会時間が長ければ長いほど数は稼げるし、手売りを考えたら選手が多ければ多いほど券売に繋がる構造は会場でパッケージとして楽しむものとは溝ができるような気がします。

現場で観戦すると否応なく集中します。配信で見ると他のことに気を取られてしまうので、現場で集中せざるを得ない状況で試合を観戦するのは大事だと思いました。時間効率や快適さで言えば配信で家で見るのが賢い選択ですが、効率を求めすぎることで結果として非効率に繋がったり、効率を求めないことによって生まれるものは絶対にあると僕は思います。その意味では全てを効率化すれば良いとは思わないし、非効率や理不尽もそれなりに大事なんじゃないかなと僕は思います。

橋本千紘さんの試合は「考えられていないことがない状態」に仕上がっていて、相変わらずの取り組みの高さを見せつけられました。序盤のレスリング、場外から戻るところ、フィニッシュと考えられていないことがない状態にまで練り上げていて、プロとして人前に立つとはこういうことだよなと改めて教えられました。相変わらず圧倒的努力をしているんだろうと思うと身が引き締まります。髪も毎回しっかり色をいれてくるし、退場して見えなくなるまで、最初から最後まで「考えられていないことがない状態」なのがすごいです。好き嫌いはあるけど、正解不正解はないからこそ、解像度をとことんまで上げて世に出すのが大事だと僕は思うのですよね。

それで言うと自分の表現を「考えられていないことがない状態」にまで仕上げているのであれば、そこから人にどれだけ支持されるかは創り手側がそこまで気にする必要ないことなのかもしれません。メジャーになってたくさん売れるのもやり方の一つだけれど、自分が練り上げて仕上げたものが一定数のファンに支持されて成り立つのもやり方の一つで、大事なのは創り手自身が豊かであることだと思います。自分の表現を曲げてまで売上を考えると結局は失うものが大きいと僕は思います。

第一試合からメインまで客席で客としてリングを見ているとリング上で闘うすべてのレスラーは神々しく見えました。リング上は神々しく華やかな空間で神聖な場所に見えました。その場所に自分も立っているんだと思うと自分のやっていることは価値があることだと思えたのです。格闘技でプロレスで青木真也はあの場所で闘って、人々に何かを伝えていると思うと急に自分が誇らしくなりました。日々の苦悩や辛い状況には折れてしまうことは誰にでもあるだろうけど、試合を観させてもらったあとは「ワシも闘おう」と思えているのだから、十分に価値のある仕事で社会に有益なものだと思いました。胸を張ってください。おつかれさまでした。

あの場所に立って、自分の思想信念主義主張を持って闘うのだから、日々の練習を懸命にやることが大事だと思って、今日の練習も全力で取り組みました。リング上は特別な空間であの場所に立つには日々を懸けて向き合っていかないと失礼に当たると思いました。練習と生活を徹底して整えていかないといかんです。いいものを観させてもらって自分達のやっていることの価値を再確認したって話でした。

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