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#GLEAT 飯塚優さんの成長と意地に極めきれず不完全燃焼 大会の作り込みに喰らわされました

GLEAT TDCホール大会 応援ありがとうございました。
大会終了後に小雨の中、自転車で1時間かけて帰宅しました。まさかの雨、まさかの20分フルタイムドロー、まさかのメインイベントで伊東貴則さんが王座を明け渡す伊東貴則さんらしさ全開のまさか尽くしでした。バッドコンディションの中で1時間かけて帰宅した自分を褒めたいです。橋本千紘さんが今日もかっこよかったとか、TーHawkさんが今日も完全無欠だったとか、色々あるんだけど、伊東貴則さんの王座陥落で全部飛んじゃった気がします。なんだか僕が悔しいというか、釈然としないというか、モヤモヤした感じです。強かったんだけどなあ。伊東貴則。まあそれはそれとして。

TDCホールに満員のお客様の前での試合は筆舌に尽くし難い幸福感があります。GLEATの開場してお客様を迎え入れてから、最後にお客様を送り出すところまで、解像度高く作り込んでいるのは頭が下がりました。最後に所属選手が送り出しに向かったのには、最後の最後まで作り込む姿勢に頭が下がりました。僕としては選手が送り出しに向かう後ろ姿を見て、大事なものを改めて教えられた気がして、一人喰らわされました。大事なのはこういうところだと思います。

僕の試合は不完全燃焼ではありますが、不協和音が生じることを覚悟で組まれた試合だと思うので、不完全燃焼はそれはそれでよしだろうし、いつ焼け木杭に火がつくかは誰にもわからないので、今日のところはよしとします。

僕は昨年の同じ日に飯塚優さんを相手にGLEATデビューさせて頂いたのですが、一年の間を開けてリング上で対峙した飯塚優さんは、昨年よりも厚く強くなっていて、極めきれなかった自分を悔しく思う以上に彼の成長に驚き妙な嬉しさを感じました。飯塚さんはいつまでも踊り場にいる器でもないと僕は思うので、さっさと自信をつけて、面倒なおじさん連中を踏み潰さないよう丁寧に飛び越えて行ってください。いつまでおどおどしてんだ。まあそれはそれとして。

1試合目からメインまで質の良いプロレスが並んでいて、だからこそ僕の歪さと粗さが目立って、それがまたアクセントになっていたように感じています。荒削りとか、歪さとか、粗さはネガティブに捉えがちだが、開き直ってみると魅力になったりするから面白いです。自分自身のパフォーマンスには満足もしていないし、プロレスラーとして優秀だとは思っていませんから、もちろん練り上げていけるように努めていきます。しかしこれはこれで現時点ではアクセントになっているのだと省みております。プロレスは解釈が多様で、正解がないからこその面白味で、だからこそ僕は完璧や正解ではなく、歪さとか粗さとか揺らぎを大切にしていきたいと思っています。

僕はプロレスを始めてから気がついたら8年となっていて、プロレスラーとしてどこかに所属して巡業に回っているわけではなく、格闘技の選手活動をしつつ、その中で月に数試合しているレスラー生活なので、キャリア8年とは言っても専業プロレスラーのそれとはまったく違うものです。誰よりも僕がおもしろいものを創っている自負はあるけれど、プロレスが上手いとはまったく思っていません。

特異なキャリアだからこそ僕には歪さと粗さが残っているように思うし、満遍なく整えられたものばかりの中で、歪さは魅力だと考えて、出来る限り歪さを残すようにしてきました。僕はプロレスでも格闘技でも何でも消費されないことを大事にしていて、慣れ合ったり上手くなったりを運営に支障をきたさないギリギリのところで歪さ粗さを残すようにしています。

表現をする上で当たり障りのないものより、賛否や好き嫌いが分かれたとしても自らが表現したい個性があるほうが大事だと僕は思っています。自分自身を「ブランド」だと考えたときに「青木真也でなければいけない理由」が大事だし、それが「ファンがいること」に繋がって、価値になると思っています。ブランドというと大勢の人に支持されているものだと思うかもしれませんが、「これじゃなければダメ」と思えるファンがいるものがブランドだと僕は思っているので、数の問題ではないと思っています。1000人いて950人が好きではないけれど、50人は熱狂的に好きというのが僕が大事にしていることです。よって価格設定は大事だけれど、価格競争には乗らないのです。最初のお客様を送り出す選手の姿に僕が感銘を受けたのは繋がりを強くして「ブランド」にしようとしていると感じたからです。失礼しました。話が逸れました。話を戻します。

格闘技もプロレスも仕事も同じだと思うのですが、技術が練られてくることで満遍なく仕上がってくると仕上がっているが故の面白味がなくなってきて、創り手としては飛び出すような強みを出して、魅力を出していく、その繰り返しだと思います。格闘技で言えばグランドが飛び抜けて良ければ、グランドを活かすために打撃やレスリングを伸ばしていくと、いつしか満遍なく出来るトータルファイターとなっていくと頭打ちになるから、そこでまた飛び抜ける何かを伸ばしていく作業の繰り返しです。僕自身もキャリア初期から中期の粗さや未熟さからくる大胆な攻めを見ては歪さは大事だなと昔を羨むことは多々あります。

格闘技選手としての完成度は今の方が上でも、昔の粗くて未熟だからこその歪な魅力を羨ましく思うのです。僕の格闘技は今でも組み技に偏った歪さはありますが、それも昔に比べたら慣らされてきているので、いい意味での歪さを取り戻すべく日々試行錯誤しています。格闘技とは試行錯誤の繰り返しであり、破壊と創造とはよく言ったものだと思います。

プロレスラーとしての青木真也はプロレスを学ぶことが大事な時期に来ていることもわかっていて、プロレスを学ぶことで歪さが取れて魅力が薄れていくときもあるだろうけど、それでも隠しきれないものが個性として出てくるような取り組みが必要なのだと思います。どこまで行ってもその繰り返しではあるとは思うのですが、今はまた基本を学ぶ時期なような気がしていて、その意味ではUWFルールだけでなく、プロレスルールでの参戦もあるといいなと思っています。

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