見出し画像

カフェのカウンター席

2021.2.11 祝日。快晴。

お洒落なカレー屋さんに行ってカレーを食べた。

いつものカフェに行ってコーヒーを飲んだ。

女子3人でたくさんお喋りした。

とっても楽しくて良い時間だった。

だけど。


楽しい1日を過ごしても

今私の頭の中を埋め尽くしているのは

カフェの外から数秒眺めた

カウンター席に座る「大切だった人」の後ろ姿だった。

-------------------------------------

ランチをしたあと、カフェに行くことになった。

3人ともよく行く、街中のカフェ。

店員さんとも仲良しで、気軽におしゃべりできる空間だった。

1階はカウンター席のみだが、カフェの外には階段があり、2階は暖炉のあるゆったりとした空間だ。普段はカウンター席に座るが、3人で話すならと今日は2階のテーブル席に座って、コーヒーを飲みながらおしゃべりしていた。

-------------------------------------

夕方5時になる頃。
私はソワソワしていた。

一階のカウンター席に、「大切だった人」が来る可能性が高かったからだ。

7ヶ月間の遠距離恋愛、それも日本と海外での距離を乗り越え、昨年日本に戻ってきた人。

いろんなことがあって、2ヶ月前にお別れした人。

彼もまた、そのカフェの常連さんだった。

-------------------------------------

わたしは5時頃、どうしてもトイレに行きたくなった。

だが、カフェのトイレは1階にしかない。

恐る恐る階段を降り、カウンター席に目をやった


...いた。


やっぱりいた。

見覚えのある後ろ姿。

黒いニット帽を被ったいつもの背中がカウンター席の1番左端の席に。見えた。


いつもの背中。

少し猫背で、少し大きくて。

優しい背中。

大好きだった後ろ姿。

見えた時間は数秒。

それでもわたしはなんだか
嬉しかった。

わたしはカフェ内のトイレを諦め、走って近くのコンビニまで行った。

トイレにはどうしても行きたかったが

そこで彼と顔を合わせる勇気が、わたしにはなかった。

-------------------------------------

2ヶ月経った今でも、思い出す。

今隣にいられたら。今話すことができたらと。


会いに行くことはいつでもできる。

でも今の私にはそれが出来ない。

その勇気がない。


でもその結果、今日みたいな形で

彼の後ろ姿を見て、わたしは改めて彼を想う。

こころの奥にある「スキ」の感情が

動き出す。


恋愛はたくさんしてきたほうだ。

20代の前半に、辛い失恋も経験した。

30代に突入したわたしは、きっと20代の頃よりも、強く生きることができている。

それでも

恋愛したときの心を支配するこの感情は

何度経験したって

今感じるものすべてが、今までのどんな時よりも特別だと感じるものである。


大好きなカレーやコーヒーの味よりもずっと

あの後ろ姿を、数時間経つ今も尚、味わっている。

ぼんやりとしか思い出せないけれどそれでも

私の頭の中から離れない。



「ひとなつの恋」から始まったわたしの恋。

ありきたりな物語かもしれないけど

わたしにとっては、宝物みたいにキラキラした時間。

これからその物語をここに

少しずつ書いていこうかな、と思っている。

今ある心の声に従って

表現することに意味がある。

アマゾンプライムの"modern love"みたいに

どこか知らないだれかの心に

届いたら。



それは

暑い8月の夜に始まって

寒い12月の夜にそっと消えてしまった

優しい恋だった。















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?