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ジュークボックス(ジュー箱)の隅っこ

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あまり知らないようなレコードの雑文です。 音源はYoutube https://www.youtube.com/@record-mania にアップされています。 個人のコレク…
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#大滝詠一

「ブルージーンのヴィーナス」

「ブルージーンのヴィーナス」

Venus In Blue Jean - Jimmy Clanton
https://youtu.be/blBKa_Lz354

ナイヤガラーの間では、「風立ちぬ」の元ネタとされている曲。
ジミー・クラントンは「スワンプ系R&Bティーンエイジアイドル」という複雑系なシンガー。1958年にヒットした「Just a Dream」は100万枚売れたそう。ちなみに松田聖子の「風立ちぬ」は54万枚。というか

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Pap Pi とアヴァロンとDC5

Pap Pi とアヴァロンとDC5

夜中の3時過ぎにレコードをかける。Dave Clark Five の『American Tour』。まだ聴いていなかった1枚だ。
「おっ! Because はこのアルバムに入っていたのか!?」というくらい、DC5初心者の私だが、4曲目が始まると私の "大滝アンテナ(笑)" に反応があった。それもそのはずで、Aメロがスローなテンポながら「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba 物語」なのだ(まあY

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はっぴいえんどは税関を通してカリフォルニア・サウンドを持ち帰った。

はっぴいえんどは税関を通してカリフォルニア・サウンドを持ち帰った。

Van Dyke Parks - Claig of The Yankee Reaper / Discover America

CM Specialを聴いてて、どこかヴァン・ダイク・パークスの匂いがするといろいろひっぱり出してみたものの、ピンとこない。けど聴きながら文献を漁っていると、例の「さよならアメリカ、さよならニッポン」は大滝さんがギターを爪弾いているのを聞いたVDPが「これはいい、俺にアレ

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カナリア諸島のキャロル・キング

カナリア諸島のキャロル・キング

達郎「ほんとに “キャロル・キング” だな、って」
詠一「好きなんだ、って?」
達郎「好きなんだなって」
詠一「は~」
達郎「ロンバケ聞いて、1曲2曲3曲目聞いて。あ、大瀧さんてほんとにキャロル・キングが好きなんだなって、あんとき初めてわかったの」
……
上のやりとりは2002年の新春放談から。ここではこんな発言も。
……
達郎「こないだ “キャロル・キング特集” を自分で3週間やってみて何が一番

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A面はリヴァプール

A面はリヴァプール

「A面で恋をして」〜「59番街橋の歌」〜「Try Too Hard」〜「1969年のドラッグ・レース」〜「Iko Iko」

大滝サウンドには「「リヴァプール・ライン」と呼べる曲群がある。J.D.サウザーの「You're Only Lonely」にインスパイアされたロンバケに続く「Each Time」はブリティッシュ・ポップを頭に置いたものだったけれど、この流れを作ったのが「ナイアガラ・トライアン

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幸せの青い空

幸せの青い空

なんか、こうやって大滝さん関連の音源を巡っていると、お遍路でもしているような気分になる。
今回は6月の歌(間に合ったw)「青空のように」から。
この曲、1977年シリア・ポールのソロに収録した「夢で逢えたら」が軸になっている。この曲を男性(自分だが)が歌えるように作ったのが「青空のように」。そのため、両方の曲は同じコード進行で構成されている。
「夢で〜」はウォール・オブ・サウンドの王道、ロネッツの

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シャックリ ママさん〜リバプールのバディ・ホリー

シャックリ ママさん〜リバプールのバディ・ホリー

1959年2月3日、バディ・ホリー、リッチー・​ヴァレンス、J.P."ビッグ・ボッパー" リチャードソンを載せた飛行機がアイオワ州クリアレイク近郊に墜落した。この日は「ロックンロールが死んだ日」と呼ばれる。
ビートルズをはじめ多くのロックミュージシャンに影響を与えた(ビートルズの名前は彼のバックバンド "クリケッツ" にちなんで昆虫名にした)バディ・ホリーは、大滝さんも意識的にリスペクトしている。

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恋するカレン - マン=ウェイルと歌謡曲

恋するカレン - マン=ウェイルと歌謡曲

ロンバケ(A Long Vacation)が40年経っても色褪せないのは、このアルバムが日本人の琴線に触れる歌謡曲集であることが理由かも知れない。大滝さんご本人も、このアルバムを「青春歌謡」と呼んでいる。
「80年代、これまでやってなかったところの歌謡をやってみたんだけれども。その時に何なんだろうと思ったんだよ。歌謡に対するある種のコンプレックスみたいな…。俺が、というより周り全体ね。そうせざるを

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Back To アメリカン・ポップ

Back To アメリカン・ポップ

クレージーケンバンドの横山剣が会った時、大滝さんの乗っていたクルマはキャデラックのフリートウッド・ブロアムだったそうだ。
それで、というわけではないだろうが、大滝さんがお気に入りだった(と推測される)フリードウッズは1950年代末の男性1人、女性2人のコーラスグループ。
1981年の『NHKサウンド・オブ・ポップス』で大滝さんは「Mr. Blue」「Come Softly To Me」を山下達郎と

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いじわるママさん

いじわるママさん

ずっと欲しかった1枚。アーニー・ケイドゥの「Mother-In-Low」は、言うまでもなくムーン「楽しい夜更し」の元歌。
後年「1曲のネタは最低でも20曲はあるからねぇ」と嘯いていた大滝さんも、ムーンの頃は「ネタがある」ことをひとつのアイデンティティとしてとらえていた節がある。エレック時代(NAL-0002)の本人による曲解説には「ニューオリンズが生んだシンガー、アーニー・ケー・ドゥの名作 "いじ

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泳げキング・クレオール

泳げキング・クレオール

大滝詠一はエルヴィス・プレスリーの曲を全部フリ付きで歌えたそうだ。そのエルヴィスが敬愛していたのがジェームズ・ディーン。本来はディーン主演で撮るはずだったが突然の事故で配役がエルヴィスに回ってきた「闇に響く声(KING CREOLE)」。このテーマ曲「King Creole」はなぜかアメリカでシングル盤が切られていなくて、ヨーロッパと日本だけで出ている。
一時期はかなり高額だったこのシングルをよう

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草津でバカラック

草津でバカラック

1997年、大滝詠一復帰作(笑)として話題を呼んだドラマ「ロングバケーション(※失礼! 「ラブジェネレーション」です)」のテーマ曲のB面が「Happy Endで始めよう」。この曲はイントロからクリスタルズの「Da Doo Ron Ron(https://youtu.be/L0dikX80Ed8 )」なのだが、当時「草津バージョン」と呼ばれた歌詞違いがアルバム「Happy Ending」に収録されて

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「ロンバケはキャロル・キング」論

「ロンバケはキャロル・キング」論

2002年、新春放談での会話。
山下:ぼくこのあいだキャロル・キング特集、自分で三週間やってみて、何がいちばん面白かったかというと、いかに大滝さんがね。キャロル・キングに、とくに『ロンバケ』。ナチュラルにぱっとああいうふうに出したときに。キャロル・キングをいかに大滝さんがよく取っているかと思う。そう思うほどにキャロル・キングがよくわかっているんだなということが、ぼくはよくわかった。だって、聴くとわ

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Back To MONO

Back To MONO

モノラルが録れるエンジニアは優秀だ。
手元にアメリカ60〜70年代のプロモシングルが多数あるが、片面がモノラル、片面が同曲のステレオといった組み合わせが多い。モノラルオンエアの需要が多かったことが伺えるが、それだけではない。モノラルで聴くとその曲の構造がはっきりとわかるのだ。
さて大滝詠一だが、彼のモノへのこだわりは別格だ。この「バチェラー・ガール」は1985年のプロモシングルながら、モノラルミッ

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