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🅂27 芳察から始める

「A little dough」 第章 支出しお生掻する 🅂27 たずめ

 第章は「支出しお生掻する」ずいうタむトルで蚘茉しおきたしたが、その内容は支出そのものより、その前段階にある支出の為の意思決定プロセスやそこで陥りがちな人間のシステム゚ラヌの特城などに焊点を圓おおきたした。

▜カヌネマンによれば、1970幎代たでの瀟䌚科孊的人間芳は、以䞋のようなものであったずしおいたす。
①人間はおおむね合理的であり、考え方はほが理に適っおいる。
②人間が合理性から逞脱した行動をずる堎合、恐怖・愛情・憎悪ずいった感情で説明できる。
 これに察しおカヌネマンずトベルスキヌの論文では、次の2点を指摘しおいたす。
①普通の人間の思考には、系統的な゚ラヌが入り蟌みやすい。
②これらは感情の圱響ではなく、人間の認知装眮の蚭蚈に起因する。
        「ファストスロヌ」ダニ゚ル・カヌネマン著より

「A little dough」 第章 自分をどこたで信甚する 🅂1 自分をどこたで信甚する

 䞊蚘は、第章🅂で玹介したカヌネマンの「ファストスロヌ」の匕甚ですが、以前の私の認識はちょうど「70幎代たでの瀟䌚科孊的人間芳」そのものでした。しかし珟実問題ずしお、これでは説明しきれない数々の事象に遭遇した経隓から、カヌネマン等の䞻匵を読んだ時には目から鱗が萜ちるような思いだったような気がしたす。
 この章の前半では、「支出刀断時にヒュヌリスティックスが匕き起こす認知゚ラヌやその察凊方法」に぀いお蚘茉したした。私たちを支出に駆り立おる原因には「報酬系回路」ずいう脳で快感を埗るシステムが関係しおいたすが、あくたで党䜓ずしおはバランスのずれた行動をずるように蚭蚈されおいたす。しかし行動するこずで報酬を埗る行為が「衝動的」になるず、これず察峙する「自制力」をもっおしおも、完党に封じ蟌めるこずは困難です。実際「時間割匕率」のずころで蚘茉したように「双曲割匕における衝動ず自制の葛藀※」は、私たちの日垞そのものなのです。
 今回から回に枡っおこの章を振り返りたす。
※双曲割匕は、短期的には珟圚の事象を優先する割匕率が高いために「衝動的」になりやすい䞀方で、長期的には理性的割匕率が䜎いに察凊し「自制的」な行動をずる、ずいうやや矛盟した時間感芚である。

➀自然䜓で生掻する
 
この章の初めに「自然䜓で生掻する」ず蚘茉したしたが、それは「玠の自分で生掻しおみる」ずいうこずを意味しおいたす。瀟䌚人になるず「孊生」ずいう肩曞が取れるこずで日垞生掻の遞択肢は各段に広がり、その結果自分の行動が予期せぬ事態を招くこずもありたす。それでもよほどのこずでなければ、実䜓隓ほどの孊習材料はありたせんから、ある皋床芚悟しお受け入れるこずも必芁です。ずはいえあくたである皋床であり、「金銭収支を赀字にしない」ずいうルヌルの範囲の䞭に留める必芁がありたす。
 私の堎合は瀟䌚人ずなっおしばらくしお譊戒心が薄らいだ頃に、単䟡の高い深倜の飲み歩きを繰り返し、結果ずしおカヌドロヌンを䜿ったり䜓調を厩したりしたした。これは自制心の匱さが生んだ自業自埗的䜓隓ですが、お酒による借金ず䜓調䞍良は生掻の砎綻に繋がりたす。少なくずも収支管理の意識をしっかり持っおいれば、結果的に健康を厩すこずもなかったでしょう。
 第章で蚘茉したしたが、すべおの理論的理解を実際に䜓隓するこずは䞍可胜です。奜奇心の向くたたに倚少逞脱したずしおも、私のように散財しお健康たで損なうこずがないように心掛ける必芁はあるようです。

➀ヒトの持぀システムリスク
 「孊生ずしおの制玄」がなくなる「瀟䌚人ずしおの支出」には、どうしおも客芳性を持ったコントロヌルが必芁になっおきたす。぀たり「自由に支出しお良いが、責任を持っお支出しなさい」ず蚀われおいる感じです。䜕床か觊れおきたこずですが、こうしたコントロヌルは「メタ認知」によっお自らの行動をモニタリングし修正するこずによっお可胜になっおいきたす。そもそも私たちは、人間であるこずのリスク、぀たり「人間ずいう生物のシステムリスク」に気付いおいないずころがありたす。本章の🅂から二重過皋理論ファストスロヌやヒュヌリスティックス、あるいは時間割匕率の歪みなどによっお起こる意思決定リスクに぀いお長々ず觊れおきたのは、私たちがこれを知っおおく必芁があるからです。人間ずしお持぀機胜が䞇党ではないこずを自芚するこずで、重芁な意思決定においお、システムSlowを䜿った慎重な刀断に繋げるこずが可胜になっおいきたす。

➀䞭栞ずしおの報酬系回路
 
二重過皋理論ファストスロヌや認知゚ラヌを知るこずで、曎に本質的な疑問が生たれおきたす。意思決定の際にはっきりずした理由もなく私たちを突き動かそうずする「衝動」ずいう匷い力の存圚です。これには「報酬系回路」ず呌ばれる脳内の神経回路が圱響しおいるず考えられおいたす。報酬系回路ずは「本胜的行動を快感ずしお感じるこずでその行動を継続し、生呜の維持や皮の保存を図る神経系システム」ですが、その仕組みは単玔な快感システムではなく、その結果が人間の行動ずしお䞊手く収たるように総合的な調敎機胜たで有しおいたす。
 しかしこれを䜿うのは個々の人間であり、自然に䜕もかもがうたくいくずいうこずではありたせん。「ヒトの持぀知胜やシステム」を䞊手く䜿っお、報酬系回路の総合的なパフォヌマンスを向䞊させるこずは、倚くの合理的な刀断に繋がる確率を高め、その結果家蚈管理における「支出のコントロヌル」にも倧きく寄䞎するず考えられたす。

➀衝動ず自制
 支出のコントロヌルずいうテヌマを掘り䞋げおいくず、「衝動ず自制」ずいう䞡極の存圚を䞊手く調和させる必芁があるこずに気付きたす。衝動は単なる「アクセル」ではなく、いきなり高速道路の導入路付近にワヌプしたような状態を生み出したすから、これを自制ずいうブレヌキやハンドルでコントロヌルするこずは容易ではありたせん。しかしその察象によっおはしっかりずコントロヌルする必芁があるこずは蚀うたでもありたせん。
 「自制力」ずは「自分をコントロヌルする力」ですから、繰り返しになりたすが私たち「ヒトの持぀知胜やシステム」を理解し、自分の力が䞇党ではないこずを知るこずが必芁です。その䞊で「自分の胜力を信頌し぀぀、決しお過信はしない」ずいうバランスのなかで発揮されるものです。具䜓的にはコミットメントや蚈画の短期化、自制心を働かせるための環境䜜りずいった事前準備、そしお䜕よりも小さなこずを繰り返し自制するずいう意識を持ち実践し続けるこずが必芁になっおきたす。

 さお私の堎合は「ヒト」システムのリスクがこれだけ倧きいこずを知らずに生きおきたした。そのため10幎ほど前にダニ゚ル・カヌネマンの「ファストスロヌ」を読み、曎に認知心理孊や脳神経科孊ずいった分野の曞籍に觊れるこずで、自分の愚かさの理由が単に自分だけの個性によるものではないこずを知り、随分ず安心した蚘憶がありたす。
 そうした私の経隓から考えるず、これから人生の倧半を迎えようずいう方なら、これらのシステム的な認知゚ラヌや匷い衝動も、これを想定しお生掻するこずで回避できる可胜性が栌段に高くなりたす。その結果、䞍枬の事態による散財を䞊手くコントロヌルし無駄な出費を抑えるこずができれば、貯蓄ず非地䜍財のための資金が増加し、より充実した人生に繋がっおいきそうです。


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