新卒入社半年で退職した。

2020年のある日、私は退職した。

名は全国に知れている、ニュースにもなるような4大卒。

これまでの人生で大きな失敗は経験したことがない。

そんな私が唯一、大後悔をすることになるのが就活だった。

やりたいことは沢山あったけど、どれも上京しなきゃ難しそう・自分の知識では無理そう。

でも、やりたいことを仕事にしたい。

そんな甘い考えで就活に挑み、とりあえず募集人数が多かった小売業を受けてみた。

アルバイトで接客をしていたものの、人に見られることも知らない人と話すことも嫌いなのに、なんでか内定をもらってしまった。

その後いくつかの企業を受けてみたけど、結果、小売業A社だけしか私に内定を出さなかった。

オリンピックを控えた売り手市場の年。

内定が募集人数が多い小売業1社だなんて。

今思えばあり得ない。

もっとやれることがあっただろう。

この記事は、そんな後悔をこれから就活する人にしてほしくない思いで書いていく。

1.小売業のデメリット

私が実際に働いて感じたデメリットは以下の通り。

①シフト制であること

朝から夜中まで開店しているため、従業員は朝番と遅番に分かれて出勤。

遅番の次の日が早番のときは寝不足決定。

基本平日が休みで、連休はないのが当たり前。

1日しかない休みは少し出かけても、次の日の出勤に向けて早めに寝てしまう。

②体力が必要

特に朝は大量の納品作業に追われる。

ドリンクコーナーもあったので、2Lのペットボトルが6本入った段ボールや酒缶などを朝から運ぶのが辛かった。

22歳にしてギックリ腰になりかけたことも。

朝イチ眠いときに店内を重いもの持って動き回るのは、体に鞭。

③変なお客が多い

平日の昼間に来るのはほぼ老人さん。

来店してそのままレジに来て、商品の場所を尋ねることは日常茶飯事。

レジに買い物メモを持ってきて、これくれ、と無言でアピールする人。

カゴいっぱいに酒を買い込む人。

お金を投げてくる人。

理不尽に怒鳴る人もいて、精神的にかなり辛かった。

特にレジでいろいろ言われても、こっちはレジから動けないし、売り場のことは知らんがなという気持ち。

あとは売り場ごとにお客にシフトを渡してもいい決まりがあって、ストーカーみたいなお客もいた。(なぜシフト渡すの許可されてんの?)

④コロナの影響

開店2時間前に出勤すると、すでにマスクを求める列。

マスクはどこ?いつ販売するの?何個あるの?の質問攻め。

個数制限を無視して何個もカゴに入れてくる人(レジで回収するけど、また売り場に戻すの店員ですよ、仕事増えた)、1個ずつ何回もレジに持ってくる人(注意したら逆ギレされた)

イソジンのときなんて、勤務中だからテレビ見てないし、急にイソジンイソジンってなって怖すぎた。

この期に及んでまだ指舐めてからお金を扱う人も、マスクをせずに来店してディスタンス守らない人もいた。

⑤研修制度が整っていない

コロナのこともあって、入社3日目で売り場に出たりレジの対応をしていた。

わからないことだらけだし、出勤しながら覚えること多すぎてわけわからん。

お客には新人をレジにおくなと言われるし…

⑥上司がだいたい中途採用

店長や部長など役職がついている人は私が知っている限り全員が中途採用。

それだけ新卒から人材が育たないということ。

中途採用の現場を知らない人間が本社に座って、現場操ってるって思っただけで怖い。

⑦サービス残業

店長が勤怠を切ってから普通に何時間も接客してたのはさすがに驚いた。

ホワイト企業を名乗っておきながら、実際は勤怠の記録しか知らない本社と、残業するなと言われても作業が終わらない現場…

何故か勤怠を切る機械はレジにあるから、退勤してから店内を歩く→声かけられる→接客→サービス残業の一連の流れができていた。

休憩中も、放送で社員を呼び出すシステムがあったから、何かあったらご飯の途中でも走って店内へ。

その後休憩時間が延びるわけでも無い。

⑧転勤が多い・駅から遠い

勤務エリアが選べたりはするが、最短2ヶ月で他店に飛ばされる。

固定客がつかないから、売り上げ良くならないし、一体何のメリットがあるのだろう…

小売業の店舗は大型のことが多く、駅から離れていることが多い。

社員は大体3年目あたりで車通勤になるのだが、それまでがかなり辛い。

夏や冬は気温、雨の日、そして夜中に一人で歩かなきゃならない。

⑨更衣室・休憩室がない

あるのが当たり前だと思っていたこの2つ。

店舗配属1日目で驚いた。

従業員のプライベートは、30cm×30cmほどの小さなロッカーのみ。

そのため制服は家から着ていかなければならない。

ダサいし、万が一汚してはいけないので、夏でも制服の上に1枚羽織る。

せめてカーテンで仕切りくらい作ってくれればいいのに。

ちなみに休憩室はなく、事務所を休憩室として使う。

そのため、出勤してきた人と鉢合わせることも、仕事中の人の出入りがあったり、会議があることも。

アルバイトのときでも、ロッカーつき更衣室・テレビつきの休憩室があったので驚いた。

⑩掃除は従業員がする

掃除専門のスタッフがいないので、遅番の人が店内を掃除する。

アルコールジェルが床に落ちて、それを踏み散らかされて、床が黒くなっている場合は、ウェットティッシュを持ってしゃがんで手拭き。

トイレはお客と従業員共有。

トイレ掃除のあとフードコーナー担当なんてこともある。(もちろん手はかなり念入りに洗う)


以上が私の思うデメリット。

どの会社にも当てはまるわけでもないけれど、お客として店舗に行った時とはずいぶん印象が違った。

私は勤務中に涙が堪えきれなくて、トイレで泣いたこともある。

入社1日目でもうすでに心は折れて、毎日辞めたいと思っていた。

そんな私が辞める決断をした理由がある。

2.退職を決めた理由

もともと1年勤めたら転職しようと、内定式に出たときから考えていた。

入社前のお知らせメールが夜10時に届いたり、そもそもやりたいことではなかったからだ。

入社前から転職サイトに登録していたし、4月に入社して5月にはエージェント面談もしていた。

そんなとき、体調に変化が起こった。

勤務中、急に目眩がして立って居られなくなり、そのまま早退。

気づけば、入社してから毎日下痢をしていた。

知り合いがかなりのブラック企業に長年勤めており、万年下痢をしていたのに、退職した途端ぱっと治ったという話を思い出す。

私は、精神的にだけでなく、身体的にもストレスを感じ始めていた。

ある休日、朝起きてからご飯も食べられず、気分は落ち込み、激しい腹痛と下痢に悩まされていた。

トイレの回数が増えても食べられない。

体力だけが消耗され、立ってられず。

結局1日寝たきりだった。

そんな私の様子を見た母が、辞めなさいと一言。

どうせ続ける気ないのなら、今辞めても同じだと。

それで、辞める決心をした。

休日までストレスになるような職場は、私に合っていないのだ。

3.退職までの流れ

ネットで何度も退職までの流れや、退職の切り出し方などを調べた。

今日こそ言う。

何度もそう思ったけど、なかなか上司に声をかけられない。

止められたら、何と言おうか。

まず、私は事務所で上司と2人になったときに、

「もしよかったら、今日話せる時間いただけませんか」

と声をかけた。

体調を崩しているのを知っていたからか、すぐに話し合いの場を設けてくれた。

退職の意向を伝えると、そうか、と受け入れられた。

なるほど、小売業の場合、おそらく上司も退職に慣れている。

だから採用人数が多い。

そして上司も雇われの身。

店長などの役職の上にはさらに何人もの上司がいる。

どうやら退職の話し合いはその人たちとするみたいだ。

結局、部長クラスの上司と再び話し合いの場が用意され、休職という選択肢も提案されたが、それを断ると引き止められることもなかった。

手続きのため、直近の上司に意思表示をしてからは2ヶ月後に退職日が決まった。

4.これから

退職前から転職活動を行っていた。

いくつか企業に応募したが、やはり未経験で職歴がない者に転職は難しい。

ごまかして新卒採用に応募しようか、いや、コロナでそれも大変だ…

3ヶ月の人生の夏休み(だと思いたい)を経て、私は地元の役所で事務員としてパートタイムで働いている。

1日7時間勤務。

今のところ、パソコンと向き合うだけで、電話も市民対応もない。

周りで働く方たちのことは、本当に尊敬できる。

ちら、と仕事ぶりを見るだけで、カッコいい。

前職にはそれがなかった。

憧れられる対象がなくて、これから自分はどうなるのだろうという不安ばかりだった。

私には、尊敬と憧れが仕事に必要だとわかった。

いつか正社員として働きたい。

今はやりたいこともある。

けれど、お金や時間などいろいろなものに憚られる。

まだ将来について悩むばかりだ。

でも、決して、新卒半年で退職したことを悔やんではいない。

もし、あなたが本当にやりたいことがあるのなら。

もし、すごくすごく辛くて、涙が出たり、体がおかしいと思ったら。

新卒だとかそんなのどうでもいい。

辞めてもいいんだよ。

自分の体が1番大事。

少なからず嫌な言葉も耳に入るかもしれないけれど、わかってくれる人もいるはず。

自分に正直に生きよう。


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