見出し画像

『ムーラン・ルージュ ザ・ミュージカル』を見て


煌びやかな光が舞い踊る中、『ムーラン・ルージュ ザ・ミュージカル』の舞台が開演した

まるでタイムマシンに乗り込んだかのような、19世紀のパリが息づくこの作品は、見る者を魅了し続けた───


2024年6月、私は帝国劇場にてムーラン・ルージュ ザ・ミュージカルを観劇しました

今日はその感想について少しだけ書き留めておきます
多少ですがネタバレを含みますのでご注意ください

1899年、夜のパリに瞬く魅惑のナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」。金をかけすぎて経営難に陥り、オーナーは資産家の公爵に新しいショーの主演女優サティーンをあてがうことで投資を引き出そうと考えていた。しかしその女優が舞台作家の青年クリスチャンをパトロンと勘違いしてしまい、それがきっかけで2人は恋に落ちてゆく。

ムーラン・ルージュ あらすじ




これほどまで素直に、愛について語る作品はないと思いました
真っ直ぐに人を愛し、愛を告げ、愛を貫く作品は初めてです

チケットが入手困難な舞台でした
競争率が高く、価格もかなり強気の設定の舞台です
何日も前に事前の抽選に申し込んだのにあっさりと外れる舞台ほど、観劇への思いが募るものですね

今作はジュークボックス・ミュージカルと呼ばれ、劇中歌がオリジナルに書き下ろされたものではなく、全て既存のポップ・クラシック楽曲によって構成されたミュージカル作品となっているのが特徴です

王道のエルトン・ジョンやボン・ジョビ、ケイティー・ペリーやレディー・ガガなど、誰もが聞いたことのある洋楽が完璧なマッシュアップをされて歌われます

私が申し込んだ理由としても、「知っている洋楽ばかり歌われるから」というのと「キャバレーの女性を見てみたかったから」という不純な動機ではありましたが、今では楽曲の完成度もさながらそのストーリーのメッセージ性に強く心を打たれています



"The greatest thing you'll ever learn is just to love and be loved in return."

─人生で知る最も素晴らしいことは、ただその人を愛し、そしてその人に愛されることだ

劇中台詞

「愛している」という言葉をこれほどかという程に聞きました

愛、愛、愛。

大人になると、比喩も偽りもなくただ真っ直ぐに愛を伝えるのは恥ずかしく思いがちですが、100%の「愛してる」はそんな戯言を吹き飛ばすほど力がありますね

素直な愛、美しかったです



好きなシーンの話をします

期待を募らせに募らせた舞台でしたから、やはりオープニングのカンカンを踊るシーンは満面の笑みで手拍子をしてしまいましたね

みなさん歓声を上げて観劇していましたし、合いの手が入れられるほど盛り上がっていたのがより一層本物のキャバレー感を演出していました

幕が開く前から既に舞台に相当手がかかっているのは分かりました

眩いほどの照明、怪しく光る青い象、ベルベットが揺れる真っ赤な舞台の中で煌めく「MOULIN ROUGE」のネオン

この全てがこれからのストーリーを華々しく飾る背景となってしまうのが勿体無いほどに、舞台装置として出来上がっていました


以前も書きましたが、私はメリーバッドエンドが大好きなので、後半は「頼むから主役の二人だけが幸せに死んでくれ…」と祈っていました

愛が重すぎて壊れる姿を見るのが好きです
愛が募ってクライマックスで銃に弾をこめるクリス、アブサンを飲んで緑色のサティーンの妖精が浮かぶクリス、大好きです
金で娼婦の愛を買おうとしたウースター公爵が、思い通りにいかずに怒るシーンも大好きです


ヒロインでもあるサティーンを演じたのは、歌手の平原綾香さんでした

プロに言うのは失礼かもしれませんが、とびきり…とびきり美しい歌声でした
彼女の独唱『firework』に度肝を抜かれて、思わず涙がこぼれ落ちました


1本の映画のような地続きの作品も素敵だと思いますが、ミュージカル舞台のような1幕・2幕と2部構成の劇も大好きです

単純に、クライマックスが2倍あるのはお得ですからね


阿呆の感想を言ってしまいました
感想はこれで終わりです

とにかく、とても豪華で素敵な舞台だったということです
私もこんなにも素直に愛を叫べたらと思います


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?