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連載 #夢で見た中二物語 40

ある日、メディア取材の為に行き先秘匿の調査旅行を依頼された秘境探検家の女性とその連れの少女は、目隠しをされたまま車に乗せられ調査先へと向かった。

目的地に着いて目隠しを取ると、そこにはどう見ても秘境で行なわれているとは思えないような工事の重機がたくさん入っていて、削られた岩肌の露出する無惨な姿にされた自然の山々が存在していた。

初めの内は気付かなかったが、この秘境は以前女性たちも来たことのある場所で、たくさんの山々が連なり中心には見事な美しい霊峰山があって、一種の神聖な雰囲気が周囲に漂う地であったはずだった。

近くには綺麗な海もあって、昔からこの地に暮らしてきた者達が平穏に暮らしていたはずだったのだ。



女性が工事責任者らしき人物に事情を聞くと、この秘境に存在する小さな村の村長に依頼されたと言うが、女性はその村長を知っていたのでそんなはずがないと思う。

村長は年々減っていく村人の状況に危機感を抱いていたが、この秘境の自然はそのままに人口の減少をくい止めるためにと色々考えを巡らせていたはずなのだ。

そこで主人公の女性は連れの少女とと共に例の村に向かったが、そこに村長の姿はなく、以前より更に少なくなった村人の一人が驚くべきことを教えてくれた。

ある日現れた、都会から来たという身元不明の人物に村長が騙されて、この秘境の地を全て買いたたかれ追い出されたのだという。

自分達は何が起こったのか分からずに抵抗もしなかったので放っておかれたが、村長をはじめ早々に事情を知ってしまった者達はそのまま何処か遠い場所に連れて行かれたらしい。

それを聞いた主人公は憤り、再び工事責任者の元に向かって話をしようとするが、耳も傾けられずに完全に無視され、工事は冷静に淡々と続けられていた。



今や見る影もなく破壊され尽くされた自然を見て、次第に主人公は怒りよりも虚しさを感じるようになってきた。

そしてそこから立ち去ろうとした時、一緒に連れていた少女の様子が妙なことに気付く。

少女は工場車両の方をじっと見据えると、突然未知の力を発揮して自然の植物を武器にその勢力を広げ始めた。

少女は工事車両や重機、更には工事関係者達までをもその勢力の中に飲み込むと、自分自身の存在を消し去った。



主人公がその少女を拾ったのは、実はこの秘境近くにある遺跡の跡地だった。

周りに親らしき者の姿は見えず、先程の村に連れて行っても誰もそんな少女は知らないと言われそのまま引き取ったのだ。

主人公は少女が使った自然の力の残滓がジャングルのようになっているの中をしばらくさまよい歩いていたが、ふとそこを抜けると見覚えのある自分の故郷の街中に着いていた。

振り返っても例のジャングルは既に姿を消していて、まるで時空移動でもしたかのような感覚だった。

その後、主人公がいくら例の秘境を見つけ出そうとしても叶わず、その噂を聞くこともなく、結局例の少女に再会することも生涯なかった。


☆☆☆

今回は、つい最近見た夢物語。

この舞台である秘境の地は、実際に自分が一年半くらい前に見た場所によく似ていました。

もしかしたらその続きの話で、自然破壊の恐ろしさと自然そのものの驚異を教えてくれていたのかもしれません。

でも、ただ単純に「自然破壊はいけない」というような内容でもなかったような気がします。

人間も自然の一部ではありますが、ふとした拍子に今まで深く足を踏み入れてこなかった自然の領域に入り込みすぎた時、何か招かれざるべき事が起こるのかも、なんて思ったり。


中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。