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生きた証明ではなく

ニコニコ笑う少女

小さな痩せた腕に
記された文字

それは
その子の名前

生まれた落ちた時

彼女の親たちは
彼女の幸せを願い

彼女に
似合う名前を
何日も
何日も
悩みながら
考えたはず

彼女に与えられた
その名前は
みんなの願いと希望が込められた

その名前を
彼女が「生きていた証」と
するために
彼女は細い腕に
名前を書く

名前すらわからない子供達の
重なり合う屍

動かない我が子を抱きしめて
子の名前を呼ぶ親

どんなに呼んでも
もう返事はない

「生きた証さ」

腕に名前を入れた人が言った

自慢気に
名前の入った腕を見せる子供達

彼らの「名前」が
認識のためではなく
生きた証ではなく

親から
貰ったら大切な宝物として
腕に残り続けることを
祈りたい

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