けんけんぱ

けんけんぱ

昔懐かしい遊び

散歩中みつけた
大小様々な丸

ふと
懐かしくなり
やってみる

けんけんぱ

片足立ちのバランスが
それて
輪の外に

ふと
空を仰いだ

けんけんぱ

みんなが上手に渡っていく

みんなの背中を追いかけて

みんなの背中が遠くなる

けんけんぱ
けんけんぱ

頑張れ
頑張れ

聞こえた声援

先に行ったみんなが
呼んでいる

けんけんぱ
けんけんぱ

足が痛くて
息が苦しくて

でも
みんなの声が嬉しくて

夕焼けが
影を伸ばしていく

けんけんぱ

もう少し
もう少し

みんなの声援が大きくなる

やっと
辿り着いたみんなの元

頑張ったね！

そんな声が嬉しくて…

何気なく振り返ってみた

そこには
スタートを切れないワタシがいた

不安そうに
自信なげに

私はワタシに言った

頑張れ！
大丈夫！
きっとできるから！

自信なさげなワタシは
大きくうなづいて

一歩前に出た

けんけんぱ…

強い風が吹いて
下を向いた

目を上げた時
私は公園のベンチに座っていた

そこには
私しかいなかった

けんけんぱ
けんけんぱ

風が金木犀の香りを運んできた

私は
さっきのワタシのように
大きくうなづいて

一歩前に出た

もう
迷わない
私は…

けんけんぱ
けんけんぱ

風が優しく吹いた