見出し画像

目標は『いじわるばあさん』になる事

次は私の番ね

同級生のお母さんが癌で亡くなった時、
母が他のお母さん達と話していた。

そんな事、言わないで
子供達はそう言って、母達を責めた。

あの頃の母と同じくらいの歳になって
あの頃の母の気持ちがなんとなくわかるようになってきた

私達は生まれ落ちた瞬間から「死」に向かっていると言ってた人がいた
そのためによりよく生きるのだと。

歳を取ればあちらこちらと悪い所が出てくる。そうなると、死を意識してしまう。
母達は闇雲に「死」の話をした訳でなく、
次は自分かもしれないと恐れていたのではないかと思う。

同級生のお母さんは、30代だったと思う。
まだまだ、これからだった。
子供達はまだ、小学生と中学生だった

その様子をみて不安になったのかもしれない。

下血して、病院で大腸カメラをやり、
大きめのポリープが見つかった時、
私はポリープが取れたと喜んだ。
悪いものが取れた、これで安心と。

ところがだ
病理検査の結果
初期の大腸癌である事が
わかった

目の前が真っ暗になり
「死」を意識した。

そして何より
先に浮かんだのは家族の事だった

私がいなくなっても
なんとか生きていけるだろう
だけど…
まだ、しっかり独り立ちできていない子供達の事が心配だった。

人一倍、私の体を気遣う夫は大丈夫だろうか?
あー見えて繊細だから、色々考えてしまうだろうな…

くるくる回る思考の中で

「初期だったため転移はないです。病巣はしっかり取れましたから」

その言葉に何度も
「本当に大丈夫ですか?間違いないですか?」

とDr.に詰め寄った。

大丈夫です!ただ、定期的にカメラを受けてください

後、少し遅かったら…

死の恐怖を味わった瞬間だった。

夫はネットで調べたらしく
生存率を知っていた。

私が明るく大したことないよ、と言っても
不安そうで、Dr.の話をしたら、やっと、安心してくれた。

母の「次は私の番かも…」がチラッとよぎった。

母はまだ生存している
義母も…

私が先に旅立つわけにはいかない。

占いを信じるわけじゃないが、
私はご先祖様や神様に守られているから
何かあると助けられるらしい。

小さな時、交通事故にあったが、軽い怪我で済んだ。

そのおかげで生き延びてこれたのだろう。

次は私の番…じゃない!
私はまだまだ生きてやる!

順番来たら
あかんベーして逃げてやる

私の目標は
「いじわるばあさんになる事」
愛ある意地悪をする婆になるのだ!

だから
生きて生きて生き抜いてやるんだ!

この記事が参加している募集

スキしてみて

今こんな気分

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?