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人の優劣

人に優劣はない、という言い方はしなかった。
優劣はある。
そして劣った者ほど、自分の弱さを隠すために他人を攻撃し、ちっぽけな自尊心を満たそうのする。
本当に優れた人は、劣った人々の言動に付和雷同せず、自分に恥じない誠実な生き方をするものだ。

福井晴敏さんの著作「終戦のローレライ」は文庫で4巻分冊の大作です。
僕の大好きな作品ですが、その中の一節が上です。
物語の主要人物のひとりと、その祖母とのやりとりの回想の場面です。

ネット上には今日もたくさんの誹謗中傷が溢れていると思います。
ネット上に限らず、誰かを攻撃する刃がそこかしこに光っているように感じます。
他者との競争は、生きていくための本能です。
でも、正攻法ではなく後ろから刺すような攻撃は、ちょっとどうかなとも思います。
ゼロにはできないにせよ、なるべくない方がいいのかなと思います。
武士道的観点からもね。
綺麗事かもしれませんけれど。
「誠実な生き方」というのも、定義やマニュアルがあるわけではないので、自分自身で決めるものと思います。
ただ、自分の持っている物差しが、誠実さの観点で、精度ある目盛りを持っているのかは自分にも誰にも分からないものです。
色々な価値観があり、色々な価値観を認めるべきという時代の要求もありますが、そこに個々が、優れた自分でありたいと考え、優れた自分という理想像に対する健全な価値観が必要なのだろうと思うのです。

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