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アメリカでの子育て

自己紹介

ご覧頂きありがとうございます。新卒で食品会社に就職し、営業職を経験したのちにアメリカの子会社に赴任。約10年間海外駐在しています。
自分自身への備忘録も兼ねてアメリカでの体験や自身の考えをnoteに残していきたいと思います。同じ境遇やこれから海外に挑戦したいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。

はじめに

アメリカに赴任した10年前、二人の娘はまだ1歳と3歳でした。
最初は3〜5年くらいの駐在と思っていたので、ここまで長くなるとは思っていませんでした。その時々の状況に合わせて判断してきましたが、今考えると違う選択肢もあったなと感じます。

アメリカで子育てするメリット・デメリットに分けて考えていきたいと思います。

※自身の経験からの考察ですので、幼稚園から小学校低学年をイメージ頂けると良いかと思います。

メリット

  • 英語が身につく

  • 視野/選択肢が広がる

  • 家族との時間

なんといっても英語が身につくということは大きいと思います。自分自身が英語で苦労してきたところもあるので、本当に羨ましい部分ではあります。
ただ何もしなくても英語が身につくかというと、残念ながらそんなことはなくて、親の関わりが重要となります。

おそらく駐在員を派遣するようなエリアでは、日本人コミュニティが有り、期間限定であればその中だけで生きて行くことができます。そうなると学校では英語で授業が行われるものの、それ以外の時間は日本人の友達と一緒に過ごすことが出来ます。学校に通うだけでもインプットの量はある程度確保できるでしょうが、アウトプットの機会が十分確保できません。

ですので、期間が数年間と限定された駐在員という条件下ではしっかりアウトプットする機会を作ってやることが重要になるかと思います。

その観点で親に求められることは、まず①母国語である日本語をしっかりと身につけさせてやること、そして②日本人以外と遊ぶ機会を作ってやることだと感じます。

英語のために日本語をしっかり身につけさせるということは一見、矛盾しているようですが第一言語が確立しないままで第二言語を学ばせようとするとどちらも中途半端になってしまう可能性があります。
つまり話せても言語として理解できないのです。構造を理解できないということは忘れてしまったら呼び起こせないということです。

そうならないように第一言語である日本語をしっかりと身につけさせてやる必要があります。今は日本語そっちのけで、英語を!という考えは危険です。完全なネイティブスピーカーを目指す必要はないはずです。それよりも母国語の日本語の上に英語でしっかりとコミュニケーションが図れることがバイリンガルにとって重要なことだと感じます。

特に読み書きに関しては英語の方がシンプルなので、英語に慣れてくるとどうしても日本語の読み書きが苦痛になってきます。最近では日本のマンガやアニメも手に入れやすくなっているのでそれらを利用して日本文化に興味を持たせることも有効だと思います。

そしてデメリットで詳細は述べますが、アメリカは基本的に車社会です。そして日本のようには治安も良くないので子供達だけでどこかに集まって遊ぶということがなかなか出来ない環境です。

そうなると親同士が遊ぶこと(プレイデートという)をセッティングしてやる必要が出てきます。子供がアメリカ人と遊べるかどうかは親にかかっていると言っても過言ではありません。子供のために自分自身もしっかりとアメリカ人コミュニティに入っていけるか、子供に英語習得を期待するならそれと同様に親にもその覚悟が重要だと感じます。

子供の吸収力は凄いもので、英語で話す友達さえ出来れば劇的に英語力が伸びますし、自信もついてアウトプットの機会が増えていくという相乗効果が期待出来ます。
そうなるとあとは勝手に英語力は伸びてくると考えて良いと思います。むしろそこからは日本語の心配をした方が良いかもしれません。

英語が話せるようになると極端な話、世界中で仕事ができますし生きていくことができると思います。またいろんな人種が社会を構成しているアメリカではいろんな考えに触れることができます。

そういう意味では日本社会しか知らなかった私から見ると、非常に多くの選択肢が目の前に広がっているような印象を受けますし、大人の私でさえも「そういう考え方もあるのか」と視野を広げられるような経験を度々してきました。

メリットの最後としては家族との時間が挙げられます。
アメリカでは家族との時間を大切にするのは当たり前で、家族のイベントを優先しやすいという側面があります。上司が家族を優先するから、部下たちもそうしやすいという感じでしょうか。もっというと家族を大切にすることが美徳の一つになっている印象です。

だいぶマシになってきたとはいえ、日本ではまだまだ家族を犠牲にして会社に尽くすということが美徳になっているところがあるのではないでしょうか。

ただそのような物理的な家族との時間という意味合いだけではなく、先に述べたように親が子供に能動的に関わっていかなければ子供に十分な経験を積ませることが出来ないというところもあります。

ここはデメリットと表裏一体なのですが、これだけ子供と関わる機会が多ければ(≒子供が親に依存せざるを得ない)、そりゃ親子関係が良好であることは重要だなと感じます。

デメリット

  • 日本語の維持

  • 習い事や課外活動にお金がかかる

  • 家庭教師 兼 マネージャー 兼 運転手

ここからは逆にデメリットを説明していきたいと思います。
やはりなんと言っても日本語の維持です。おそらくは2、3年の駐在であれば日本人補習校への通学でそれなりに維持できるでしょうが、駐在が長くなっていると段々日本語が怪しくなってきます。特に小学5年生くらいになってくると学校での課題も増えてきますので、日本語との両立がさらに難しくなってくると感じます。

娘たちも最初は日本人補習校に通わせていましたが、日本人補習校だと効率が悪い(社会やホームルームもあるので)と塾に切り替えました。しかしながら段々と塾のレベル(日本での受験前提)についていくのが困難になってしまいました。そこで苦手意識を感じさせてしまったのか、日本語の勉強自体が苦痛になってしまったようです。
今となっては高望みせず補習校を続けて細く長く日本語に触れさせてやった方が良かったのかなと思っています。

私の場合は3〜5年くらいかな?と思っていた駐在がズルズルと伸び、いつまで駐在するのかわからないということが大きかったですが、おおよその駐在期間が事前に示されているのであればそこから逆算して、どのような日本語教育を受けさせていくのか考えておく必要があると思います。

デメリット2点目はとにかく育児にお金がかかるということです。
もちろん公立学校に通う限りは高校まで義務教育なのでお金はかかりません。しかしながら、習い事や学校の課外学習費用や寄付などが日本の比ではありません。

アメリカの夏休みは長いのですが、その間に学校外でサマーキャンプなどが開催されます。アクティビティの種類にもよるのですが1週間で200〜400ドルくらいします。
普段の習い事も日本の相場の2〜3倍はする印象です。

そして最後のデメリットはメリットの裏返しにもなるのですが、親の関わりです。関わり自体は悪いことでは有りませんが、相当に時間を取られます。

子供の力だけでは日本語と英語の両立は困難ですし、それを補習校や塾に任せっきりにしてしまうと気付いた時には全くついていけていないというリスクがあります。
毎週末は家庭教師になったつもりで定期的に学習の進捗を一緒に確認して、どこに躓いているのか確認してやる必要があります。

そしてクラブ活動などのような課外活動が日本のようには充実していないために、親が能動的にそのような機会を探してやる必要があります。そして治安も良くないので、基本的に子供を置いてくるということはできません。そういう意味では親というよりタレントに変わってスケジューリングをするマネージャーだなと感じることも多々あります。

そして車社会なのでどこへいくにも車を出してやらねばなりません。
子供が二人以上いて、それぞれに違う課外活動をやっているとなるともうそれこそ分刻みです。

最後に

このような状況ですので、まずワンオペレーションでは到底回りません。両親の育児への積極関与が重要です。

我が子と過ごせる生涯年数は7年6ヶ月という研究もあるようです。そう考えればその時は苦しくとも、振り返った時にあの時間があって良かったねと言えるようになるのではないでしょうか。
私はそう思って日々過ごしていますし、関われば関わるほど子供が可愛くなってくるというのが親というものだと思います。


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