見出し画像

なぜアメリカ人部下は文句ばかり言うのか

自己紹介

ご覧頂きありがとうございます。新卒で食品会社に就職し、営業職を経験したのちにアメリカの子会社に赴任。約10年間海外駐在しています。
自分自身への備忘録も兼ねてアメリカでの体験や自身の考えをnoteに残していきたいと思います。同じ境遇やこれから海外に挑戦したいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。

はじめに

アメリカに赴任してアメリカ人の部下を持った当初、思うところがあると彼らはすぐに文句を言ってくることに驚きました。彼らの文句は自身の業務にとどまらず、会社の方向性など広範囲に渡り、よくそんなに文句があるなと思ったものです…。
しかし不思議なことに何に対してそんなに不満を感じているのだろうと話を聞いてみると、実際には満足に働いているようで、特に大きな不満を抱えている訳でもありませんでした。

ではなぜ文句ばかり言うのか。
実はこの裏には日米間の上司に対する期待の違いが存在していました。

そもそも文句ではない?

実は彼らは不満のために文句をいっているのではなく、少しでも会社を良くしようと「意見」を言ってくれていたのです。

なぜなら基本的にアメリカでは上司に「問題解決」を期待します。
その認識のもとに彼らの上司である私の前に解決すべき問題を持って来てくれていたのです。

しかしながら私自身に上司に対して問題解決を期待するという発想がそもそもなかったがために、彼らの「意見」が「文句」に映ってしまったのだと気が付きました。

では私は何を上司に期待していたのかを考えてみると、それは「承認」でした。この違いは日米の意思決定の違いによるところが大きいように感じます。稟議書に代表されるようなボトムアップ型の日本とトップダウン型のアメリカでは自ずと問題解決のアプローチも異なってきます。

なぜ日本では意見を言う社員が少ないのか

では、なぜ日本人は上司に対して意見を言わないのでしょうか。
前述の上司に対する期待の違い以外にも理由がありそうです。
日本で働いていた頃の自分を思い出してみると以下3点が影響していたように感じます。

  • 低い自己肯定感
    ⇒ 自分の意見が正しいか自信がない 等

  • 低い心理的安全性
    ⇒ 上司に問題提起することで生意気な奴だと評価が下がらないか不安 等

  • ブーメラン
    ⇒ 「じゃあ君が解決して」「提案して」と仕事を増やされる 等

このような要素があり、上司に対して意見を言うということのハードルが上がってしまっているように感じます。年功序列の企業においては年齢や社歴も大きく影響すると思いますが、私自身としては特に3点目を何度も経験した記憶があります。

最後に

日本では問題提起(意見)とその解決はセットになっていて、自身の発言に対して役職以上の責任が発生することもしばしばです。そのような状況下ではなかなか上司に意見しにくい部分もあると思います。

状況によっては本来の役割とは異なる部分にリソースを割かざるを得ないケースも出て来ます。生産性を突き詰めると分業(=役割の明確化)になりますが、日本の生産性が低いと言われる理由の一つにそういった役割の重複もあるのではないかと感じます。
ただこれらは悪い側面ばかりではなく、現場レベルでしっかりと考える習慣が日本人の基礎能力の高さにつながっていると感じます。

逆にアメリカでは役割が違うからと完全に割り切って、ただの「評論家」「弁論家」になってしまっているケースも見受けられます。
そのような中で部下をマネジメントしていくには、意見なのか文句なのかを見極めるスキルを磨くことも重要です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?