見出し画像

ウェブアクセシビリティは辞書に載ってるのかな?調査

ウェブアクセシビリティに関係する言葉は、一般的にどこまで浸透されているのだろうか。聞いたことがないというかたが断然多いだろう。もっともなことだと思う。

実はWebの仕事に関わっているかたの中にはだいぶ浸透してきているが、知らない人はまだまだ多い。ただ、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が2016年4月1日に施行され、また2020年に控えた東京オリンピック・パラリンピックを前に少しづつ知っていると答える人が増えてきたと感じる。

では、ウェブアクセシビリティに関わる用語は、今の時点で辞書に掲載されているのだろうか。掲載されているなら、どのように説明されているのだろうか。図書館で調べてみた。

掲載の有無を調査した用語

ここでいう辞書とは、インターネット上にあるウィキペディア等のような用語集ではなく、一般的に書店などで販売されている昔からあるような紙の辞書のこと。
掲載有無を調べた言葉は以下の5つ。

「アクセシビリティ」
「ウェブアクセシビリティ」
「ユニバーサルデザイン」
「ユーザビリティ」
「ユーザーフレンドリー」

(なぜか「バリアフリー」を忘れた‥それはまた今度に)

それぞれの用語を簡単に説明すると次のようになる。

アクセス[access]は (場所などへ)近づく、接続するといった意味ですが既に日常の会話の中で使われることも多い馴染みのある言葉のひとつかと思う。
アビリティ[ability]は能力とか才能などといった意味を持つ。
アクセシビリティ[accessibility]とは、access+abilityでアクセスの良さ、近づき良さ、利用のしやすさと考えて頂ければよい。なお、単にそこに到達できるかというだけではなく、そこでの目的が果たせるかまでが含まれる。

ウェブアクセシビリティ[Web accessibility]とは、Webという言葉がアクセシビリティの前についているようにウェブサイトの使いやすさ、目的の達成のしやすさ。例えば航空券の予約をしたいと航空会社のウェブサイトに来た人であれば、航空券の予約できてこそ。

ユニバーサルデザイン[Universal design]とは比較的よく聞くのではないだろうか。UDと略される事も多い。年齢・性別・能力や環境に関わらず、できるだけ多くの人々が使えるように、最初から考慮して、まち、もの、情報、サービスをデザインするプロセスとその効果のこと。
なお私が某省庁に入る前まではバリアフリーという言葉が主流だったようで、当初ウェブアクセシビリティについて職員と話をしているとバリアフリーと意味合いが混同されがちで説明したことが何度かある。バリアフリー[Barrier-free]とは不便の原因になっているバリアを取り除こうという考え方。

ユーザビリティ[usability]とは一般的に「使いやすさ」「使い勝手」と訳される。目的が達成できるだけではなく、快適に使えたということも含まれる。

ユーザーフレンドリー[user friendly]とは、インターフェースが利用者にとって使いやすいこと。設計思想。

ひとつひとつの用語の意味や背景などは、また機があれば‥。

調査した辞書

広辞苑 第七版(岩波出版) 
発売日: 2018年1月12日

新明解国語辞典 第七版 特装青版(三省堂)
発売日: 2017月2月27日

見やすいカタカナ新語辞典 第2版(三省堂)
発売日: 2017年7月25日

広辞苑 第七版(岩波出版)の場合

ユニバーサルデザイン
年齢や能力の如何にかかわらず、すべての人が使いやすいように工夫された用具・建造物などのデザイン。

ユーザーフレンドリー(「ユーザー」の項に)
機器やソフトウェアが利用者にとって使いやすいこと。

※他掲載無し

新明解国語辞典 第七版 特装青版(三省堂)の場合

ユニバーサルデザイン
障害者・健常者・老若男女・国籍・文化の違いを問わず、すべての人にとって使いやすい製品・施設・環境を作ること。「UD」とも

※他掲載無し

見やすいカタカナ新語辞典 第2版(三省堂)の場合

アクセシビリティ
利便性。交通手段の到達容易度。ある地点や施設への到達容易度。利用しやすさ。

ユーザビリティ
有用性。使いやすさ。特にコンピューターで、ハードウェアの使い勝手のこと。ユーザビリティが高いといった場合、利用者にとって作業効率や満足度が高いことを表す。

ユニバーサルデザイン
障害者・高齢者・健常者の区別なしに、すべての人が使いやすいように製品、建物、環境などをデザインすること。またそのようなデザイン。誰もが利用でき、使い方が簡単で、安全性が高く、身体に負担が少ないことなどを原則としている。

※他掲載無し

ウェブアクセシビリティは全滅‥いつかは!!

カタカナ新語辞典はさすがに掲載されていた対象用語も多かったが、一般的に使用される広辞苑や新明解国語辞典では少なく、また全てウェブアクセシビリティは掲載されていなかった。残念‥。

ただ、冒頭に記載したように最近でウェブアクセシビリティは少しづつ広がりが見られており、官公庁や公共機関以外の民間企業でも取り組んでいるところも出てきている。(例 docomo ウェブアクセシビリティ方針 / 味の素ウェブアクセシビリティ方針 / ヤフージャパン ウェブアクセシビリティ方針 など)

先日、たまたまJALのアンケート調査をクリックしたところ次のような説明文が表示された。
「ご案内 これより先は外部サイトへと遷移いたします。外部サイトが"jal.co.jp"と同じアクセシビリティポリシーに準拠していない可能性があることにご注意ください。」

JALは以前からウェブサイトのみならずプライオリティ・ゲストサポート向上の取り組みがされている。アクセシビリティという言葉が認知されてきたら広辞苑や新明解国語辞典などにも掲載されるようになるだろうか。

(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ©moya


この記事が参加している募集

最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。