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恋ではないから

恋物語ではない。
しかし、これまでのどんな恋物語よりも記憶に残っている「言葉」の話だ。

何年も前のことをこうやって覚えているということは、よほど嬉しかったのだろうと思ったので、書き起こしてみることにした。

学生の頃、後輩たちが私に手紙を書いてくれたことがある。私はもう卒業間近で、部活はすでに引退していた。
手紙をもらうこと自体嬉しかったが、なかでも忘れられない一通があった。

そこにあった言葉が、今でも私にその手紙を忘れさせてくれない。

「僕は、笑顔が世界で一番似合う女性だと思っています」

このものすごくストレートな言葉に、思わず心を掴まれてしまった。
こんなことを言える素直な心と優しさに、今でも心が温かくなる。

私を1人の先輩として慕ってくれている後輩からの言葉だったが、だからこそ突然の直球な褒め言葉に動揺したんだと思う。

彼のまっすぐさは、きっと私だけでなく多くの人を幸せにしているはずだ。

恋人も恋愛も間に挟んでいないというのが、なんともいえない趣きをもたらしていた。
この言葉以上にときめく言葉にはもう二度と出会えないんだろうなと感じて、怖くてそっと手紙を封筒に戻した。

それなのに、今ここに書いてしまったから、
この先何年経とうと忘れることはできない。

否、忘れたくなかったのかもしれない。


もつなべ


こんなことを書くなんて自分でもびっくり恥ずかしく感じています。みなさんにとっての忘れられない「ときめき」ってなんでしょうか。
そろそろチョコレートを食べて寝ます。

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