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〈ラッコ先生が聞く!〉セキララトーーク! vol.3 : 空間デザイン会社を経営をしているご夫婦のお話

実際に妊活や不妊治療を行なったご夫婦に、インタビューをしに行くコーナーです。不妊治療のきっかけや、実際にどんな病院に行ったのか、気になるお金のお話まで…なかなか表には出せないセキララに伺った貴重な体験談をシリーズ化してお届けします!
 *当時のお話なので、現在と病院や制度、値段など異なる場合もありますので、参考としてご覧ください。

第三回目は…
 長野県諏訪市で会社経営をしているご夫婦のお話です。

 
 ラッコ先生は新幹線を乗り継ぎ、メディア「うふふの古瀬夫婦と一緒に長野県へ出張にやってきた。

 古瀬夫婦「ラッコ先生って、海から離れても大丈夫なの?」
 先生   「水筒に海水を入れてきたから大丈夫なんだよ」
 古瀬夫婦「ヘェ〜海水を飲めば、陸でも自由に動けるんだね」
 先生  「そうそう、うまいことできてるよね!」

駅に降り立つと、長閑な街並みが続いていく。
少し歩くと、何やらステキにリノベされた古い建物が目に飛び込んできた。

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素敵な空間の中に入るとあちこちに古道具や古材が並べられ、1階はカフェになっており、そこで東野ご夫婦が迎えてくれた。
華南子さんのお腹は大きく、現在妊娠9ヶ月目に入っていた。

 今回、お話を伺うのは諏訪市で空間デザインユニットmedicala(メヂカラ)、そして建築の古材などを扱うReBuilding Center JAPAN(リビセン)を経営する東野唯史さん、華南子さんご夫婦のお話。

ーーー早速だけど、不妊治療を始めたきっかけは?

華南子さん 20代後半の頃、ゲストハウスで働いていた時に、友人の大工さんが不妊治療をしていて、その方は当時30代半ばくらいだったと思うんだけど、色々と話を聞くと「そっか、子どもって簡単にできることではないんだ…」って改めて知ったことがきっかけだったと思う。
 わたしたち結婚して1年くらい経ってて、諏訪マタニティクリニックで不妊治療のセミナーに参加したんだよね。初診予約して3、4ヶ月待ちっていう間に夫婦で講習会に出たんだけど、参加費500円でサンドウィッチとジュース付きだった。

ーーーサンドウィッチとジュース付き…!(先生のお腹が鳴る)
諏訪マタニティクリニックへ、その後通い始めたの?

華南子さん そうなんだけど、結局2、3回通ってフェードアウトしちゃったんだよね…とにかく仕事楽しい時期になんで子どもを作らなきゃならないんだろうっていう気持ちと、でも早い方がいいだろうという気持ちとの葛藤があったし、実際働きながら定期的にクリニック行くのは難しい…っていう迷いがあって。

ーーー働きたい気持ちとの戦い…決断なかなか難しいよね。
メヂカラや、リビセンでのお仕事はしばらく忙しかったのかな?

唯史さん ここ諏訪だけでなく、あちこち移動しながら働いていたのだけど、リビセン設立して2年間経ってひとまず落ち着いてきたんだよね。

華南子さん そう、それでそろそろ本格的に不妊治療しようかなと思っていた矢先に、その前に子宮の検査を受けようと思ってクリニックに行ったら、子宮頸がん検査に引っかかってしまって…

ーーーそれはショックだったよね…すぐ手術をしたの?

華南子さん 症状とかは特になかったんだけど、高度異形成のレベル3の診断で、あともう一歩で上皮ガンになりかけていたみたい。妊娠するとホルモンの影響でガンが進行するから、すぐ手術しようってなった。結果、術後に切除した箇所を調べたら、ガンになっていたとわかったの…
 
あと切除し過ぎると頸管が短くなって、流産リスクが上がってきてしまうので、シロッカー手術もしたよ。

ーーー大変だったよね…でも無事に回復して本当によかったね…!
そういえば今、妊娠9ヶ月(2019年当時)って言ってたけど、シロッカー手術は妊娠中にしたのかな?どんな手術なの?

華南子さん 妊娠初期の段階に、子宮口を縛って出口が開かないように固定しておくの普通は頸管って50mmあるはずが、わたしの場合は12週で28mmだったのね。頸管短くて絶対安静で入院とかになってしまうと、お仕事もできないし。どんどんお腹が大きくなって子宮頸管が押されて短くなるリスクを回避しておきたくて。シロッカー手術してもしなくてもいいって言われたけど、安心に越したことはないしね。

ーーーそっか、じゃ今は心置きなくお仕事もしながら妊娠生活を送っているんだね。でもやっぱり怖かったよね…

唯史さん 簡単な手術って言ってもやっぱり怖かったし、他のリスクもあるからね。ガンの治療も自然治療と現代医学との狭間で揺れてたよね…特に妻は自然治療派だったし。結局手術して切除したけれど、なるべく薬とかも使わず、より自然に治療できる手段もあっただろうけど…

華南子さん そうだね。でも妊娠後のシロッカー手術は前向きに決断できたよ。長期入院を回避できたし、こうして働けているからね。

ーーーガンの手術後のお話に戻ってしまうけど、その後すぐ不妊治療を再開したの?

華南子さん そう、術後すぐ再開してそれからすぐ妊娠に繋がって、一見スムーズに見えるんだけど、やっぱり不妊治療に進むまでの過程の方が長かったかも。

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ーーーもう少し深掘りして聞きたいんだけど、どんな葛藤があったのかな?

華南子さん 子ども本当にいるのかな…って、いらないんじゃないかっていうのを行ったり来たりして。子どもがいないとダメって思ってしまう自分が怖かったり、周りの不妊治療をしてきたみんなの辛そうな状況とかを見てきたから、望んでも叶わない可能性がある治療をする中で、子どもが欲しいって願うことが辛かった
 かれこれ4年くらいこの気持ちとの葛藤が続いたと思う。あとは治療のために仕事を断ってしまうことの後悔とか考えると、なかなか決断できなくて。でも、その間に夫とも大喧嘩を繰り返して…「大変なのは華南子だから、華南子が決めれば」っていう大事なことを1人で押しつけられたような言葉を言われてズルいって激おこだった(笑)

唯史さん 男側からすると、いつかできるだろうっていう想いもあったんだよね。僕に15歳下の弟がいて、1番身近な高齢出産経験者がいたり、友人に40歳初産で子どもができたってSNSなどで情報だけ見ていると、「まだ大丈夫」って思ってしまって、危機感がない状態だったんだよね。
 あと、大変なことを妻に強要するのは嫌だって言ったんだけど…そのあと、最後の大喧嘩になって。サポートするから、頑張って欲しいっていう話をして、改めてそこできちんと話ができたのがよかったよね!

ーーー2人で話し合って前向きに不妊治療へ進めたんだね。クリニックに改めて通い始めてどうだった?

華南子さん 子宮頸がんが発覚して治療後、諏訪マタニティクリニックに行った時に先生が「今が一番若いから、努力が報われる時期だよ。例えば2年治療する期間って決めて、今から2年後でも35歳でしょ?35歳から治療するのと、今頑張って治療するのとは違うんだよ」ってポンと先生が背中を押してくれた。

ーーー葛藤がある中で、先生が道を示してくれたのはありがたいね!

華南子さん でも、実は他の先生にめっちゃ怒られたことがあって、ガン治療後にまだ踏み出せずにいて「今のままでも幸せだし、(子どもいなくても)いいかなと思うんですけど…」って言ったら、「そんな中途半端な気持ちでここに来るな!」って言われたの!めっちゃ怖かった…(泣)

ーーーそんなこと言われたら泣くよね…(遠い目)
でもカツを入れられて、期間を決めて走り出すことになったんだね!

華南子さん 2年って決めないと、沼にハマりそうだなと思って…やめ時もわからないし、やめ時で苦しむのも辛いし…
でも、意を決してクリニック通いがスタートした。

ーーークリニックは待ち時間とか長いよね。どんなシステムだったの?

唯史さん オンライン予約取りは自分の役割で、朝6時10分から携帯で受付開始するんだけど、1分遅れるだけであっという間に30番目になって。かなり混雑するクリニックで、アプリ上で順番を管理していたよ。

華南子さん あと待ち時間長いのに、診察の時間は5分とか短かったかも、1組に時間をあまりかけられないというか。着床率が高いクリニックで全国から患者さんがやってくるからかもね。

ーーーそんな待ち時間はどう工夫していたの?

唯史さん クリニックに行く前にスタバに寄ってコーヒー買ってから、クリニックの6階へ食堂みたいな場所に2人で行ってたよね。

華南子さん 普通の食堂みたいな場所なのだけど、パソコン開いてコワーキングスペースみたいに使ってた。誰もいなかったし、夫と待ち時間中に仕事しながら過ごしてた。非生産的な時間の過ごし方はしたくなかったから、待ち時間をストレス軽減できてよかった。

ーーー不妊治療中はいろいろなストレスに苛まれるよね。2人でうまく乗り越えていったんだね!

唯史さん 帰りに美味しいお菓子買ったり、美味しいお昼ごはんを食べて帰るとか、楽しくクリニックに通う工夫をしてたよね。

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ーーーなるほど!ちなみに具体的な治療や費用はどうだったかな?

華南子さん わたし生理周期が少し長くて、40日週期だったのね。あと卵子の数が少なくて、39歳の人と同じくらいしか残っていないって言われて…幸い卵の質は同年齢(当時33歳)だった。

唯史さん あと、そもそも原因もわからなかったから、一緒に検査もしたけど、それでも結果わからなかったよね…そういえば、華南子が卵管造影をしたんだけど、その時薬疹が出ちゃって大変だったね。

華南子さん そうそう、子宮内腔の状態と卵管の通過性を調べる検査で大変だった。でも半年くらいは妊娠率が上がるゴールデンタイムを迎えるから半年間タイミング法をやってダメだったら、人工授精へステップアップする段取りでスタートした。費用は確か1周期3〜4回通って、1回/4,000円くらい、詳細の検査などは1回/1万円だったかな?全部合計すると大体20万円くらい。

ーーー卵管造影検査って痛いっていう口コミを見るけれど、実際はどうだった?

華南子さん わたしは全然痛くなかったけれど、友人は痛かったって言ってたよ。多分卵管の詰まり具合にも寄るのかもね、普段の生理痛の方が痛い印象。

ーーーその後、ステップアップしたの?

唯史さん 2回くらいタイミング法でやって、年末年始に入ってクリニックが休みに入る時に「そういえば、生理来ていないよね?」って気付いたんだよね。

華南子さん 気持ち悪くなってトイレで吐いて…「これってもしかして!」ってなったよね。

ーーーなんだかドラマみたいだね…!!
クリニックで検査して結果がわかったの?

華南子さん 検査薬で妊娠してるってわかった。
女の人は1人で検査薬と孤独に向き合うよね。夫の知らないところで過去20〜30回負け続けてて、1人でドキドキして1人で落ち込むの…このストレスは辛かったよ…

唯史さん そういうの言って欲しいなぁ〜…

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ーーーふむふむ…夫婦でのコミュニケーションで、今回のこの不妊治療を通していろいろ試行錯誤したことはある?

華南子さん 5倍増しにして伝えることかな。こちらが伝えているつもりでも、思っている程伝わらないんだってわかった。

唯史さん 2人の価値観をすり合わせて来たと思う〜例えば、友人の妊娠した話は妻にとっては悲しいことなんだけど、自分自身にとってはそれが「悲しい」とは思わなくて…わたしたちは先に結婚していて妊活しているのに、それを超えられてしまったことに手放しで喜べない自分を責めてしまう…そんな時にどんな言葉をかけてあげられるかって、何が妻にとって嬉しい言葉なのか…を学んだかな。

華南子さん そうだね〜何が嬉しいとか、何が悲しい、辛いとかは先延ばしにせずに伝えたと思う。結婚して4年くらい経っても、やっぱりお互い「別の生きもの」だということが改めて知った上で、きちんとコミュニケーションをとろうと思った。

唯史さん 結果、お互いオープンにすること、正直が1番…家訓になったよね。

ーーーお互いコミュニケーションをどうしたらいいか常に考え続けて来たんだね、家訓もステキだ…!
 最後にこれは伝えたいってことあるかな?

華南子さん 妊活もそうだけど、何事も不安でストレスが大きくなる前に、不確定要素をなくして予めライフプランを練っておくといいなと改めて思ったので、この話が参考になったら嬉しいな。あと、不妊治療がもう少しオープンに話せる社会になるといいなと願うばかり。


ーーーご夫婦の生き方など、改めて考えるきっかけになりそうだね!
今日は貴重なお話、どうもありがとう〜!

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 取材後、2階の古道具など販売している店内をうふふの古瀬夫婦と買い物ツアーをして新幹線に再び乗り込んだ。すっかり暗くなった外を流れる星の光が印象的な帰り道だった。



 そして、華南子さんは2019年10月に無事にご出産。改めておめでとうございます!東野唯史さん、華南子さん、この度は貴重なお話、どうもありがとうございました!

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〈東野ご夫婦の会社紹介〉
✔︎ ReBuilding Center JAPAN 
住所 : 〒392-0024 長野県諏訪市小和田3-8
   上諏訪駅から徒歩10分
電話 : 0266-78-8967
営業時間 : 11:00〜18:00
定休日: 水・木曜日

✔︎ medicala


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〈取材同行させていただいた古瀬ご夫婦のメディア紹介〉
✔︎うふふ

✔︎うふふ / 東野さんご夫婦のインタビュー記事


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〈東野ご夫婦おすすめコミックのご紹介〉

✔︎妊活夫婦

✔︎透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記




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