見出し画像

季節をおいていく

ビルの上の赤い点滅ランプが好き

それだけで都会の凸凹の背丈がわかる

田舎にはいちばんないものだから


前から 「 ないもの 」に憧れてた

むかし パイロットになりたかった

夜の滑走路のライトが綺麗だったから
いちばん近くで見たかった



品川の夜景を見てた


自分自身は何も変わっていないはずなのに、
今までなかったのものが周りにあるだけで
自分は成長しているんじゃないか 、と錯覚してしまいそうになった


錯覚してしまいそうになった自分が恥ずかしかった

自分の力だけで東京に来たわけじゃないんだけどなって
後ろめたさを感じてしまった


人はひとりでは生きられないのに
ひとりで生きられるくらい強くならないと
安心できない

誰かに頼って 縋って 生きるのが怖い


この前まで鳴いていたはずの蝉の声は
鈴虫の声に変わってた


そんなことにすら気づけず、季節に置いていかれていた1年前よりは成長できてるのかな

そんなふうに思って

鈴虫のおとにちょっぴり助けられた夜だった

この記事が参加している募集

スキしてみて

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?