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摂食障害克服に向けて受診を決意/予約するまでが大変

以前、過食嘔吐克服のために精神科を受診した話を書きました。

予約を取るまでが大変だったことにも少し触れたのですが、実際に受診を決意してから病院受診に至るまでの道のりも参考になることがあるんじゃないかな、と思ったので記録しておきます。
受診しなきゃいけないと思い悩んでいる人、自分を責めてしまっている人の力に少しでもなれたら幸いです。


受診を決意した理由

10代から始まって、20代になってもとどまることを知らない過食嘔吐。
憎悪と寛解を繰り返してはいるのですが、社会人になってひとり暮らしを始めてからどんどん頻度が増えているようで、ひどい時は月の半分以上を過食嘔吐してしまうことも
貯金はすり減っていくし、まったく意欲がわかなくなっていて、仕事終わりも休日も1日中何のためにもならない動画を流し見しながら過食する日々。
正直、貯金額は実家暮らしでお小遣いをコツコツ貯めていた学生時代が1番多かったような気がします。
でもひとり暮らしをしている以上、貯金が底をつくわけにはいきません。
この歳になって、過食のせいで親にお金を借りなければいけなくなったり、借金する羽目になるのはどうしても避けたい。
ギャンブル依存に似たものを感じますよね。
今までは「精神科に行ったところで話を聞かれて薬を処方されるだけ」、「結局通院費がかさむだけ」という思いが強かったのですが、自分のお金で暮らすことができないなんて、そんな最悪の事態になる前にどうにかしなければと思う気持ちの方が勝って、ようやく精神科を受診する決心がつきました。
裏を返せば、そこまで追い詰められないと「受診をする」という行動には移せなかったのです。
それほど精神科を受診すること自体が、私にとってはハードルの高いものでした。

受診のハードルが高かった理由

金銭面で追い詰められたことが受診の1番のきっかけにはなりますが、そもそもなぜそこまで追い詰められるまで受診に踏み込めなかったのか。

それは、病院を受診するということは「自分は摂食障害だ」と認めることにもなるからです。

誰が何と言おうと摂食障害ではあるのですが、受診をしてしまうと社会的にもそのレッテルが貼られてしまうような気がして。
それが嫌だから、周りの人にバレることが嫌だから、誰にも言わず心の内に秘めていたのに。
そういう謎のプライドが根本にあったからこそ、受診を拒んでいたのだと思います。
「あなたは摂食障害です」「治す必要があります」と専門家から言われてしまったら、もう逃げ場はありません。
摂食障害である自分をありのまま受け入れる勇気もなかったし、準備もできていなかったのです。

でもお金の問題からは目を背けなくなって、恥ずかしながらその謎のプライドを脱ぎ捨てるほか道はなかったのです。

「どうにかして過食嘔吐から解放されたい」

その思いだけで、藁をもすがる思いで受診しようと決意したのです。

精神科を探すところから

まずは病院探しから始めます。
今までも「何とかしなければ」と思う気持ちが勝って、病院を探すところまでは行動に移したことがあったのですが、結局探すだけで終わっていました。
意外と近所に精神科が少なかったり、あったとしても口コミの評価が低いと良くなさそうだと思い込んでやめてしまったり。
そんなことをしているうちに受診する気持ちが低下して、結局探すだけで終了。
今回はそんなことにならないように、予約をするところまでを目標に動き始めました。
ただ、こうして受診を決意をしてから予約をとれるまでの道のりがとんでもなく長かったのです…。

予約できるまでが大変

今回も今まで探していた時と同じように近所で摂食障害を診てくれる病院をインターネットで検索しました。
何を基準に決めるかは人それぞれだと思うのですが、私の場合は家から通いやすい場所にあること、薬物療法に頼りすぎない治療方針のところが良かったので、ホームページを見ながら雰囲気や理念、口コミなんかも見ながら、なんとなく行ってもいいかな、と思えるところをいくつかピックアップしていきました。
ここで難点だったことが、初診は電話予約のみの病院が多かったところ。
平日のみの診察だと職場の休み時間と病院の休み時間が重なって電話ができないこともあったりで、予約をとるまでのハードルが高いように感じました。

でもここで心折れるわけには行かないので、まずはいくつかピックアップした病院から、メール予約ができる場所からアポをとってみることに。
希望日時をいくつか挙げてメール送信。
そうしたら、衝撃の返信が。

「申し訳ありませんが、摂食障害は診察の対象外です」

もう一度ホームページを見てみると、診察対象に「摂食障害」としっかり明記してありました。
どういうことか全くわかりません…。
拒食症は専門範囲だけれど、過食症は違うのか…?
あんなに時間をかけて病院を探して、せっかく勇気を振り絞ってメールをしたのに、こりゃないぜ…って思いました。
なんというか、見放された気分というか。
誰も自分を救ってはくれないのか、という絶望感を味わったというか。
いつもだったらここで心が折れてもう諦めていたかもしれませんが、今回は予約をとるところまでを目標にしているし、自分の生活がかかっているのでここで終わるわけにはいきません。
むしろ見放されたことで「意地でも予約したるねん」っていう怒りに近い感情を行動のエネルギー源に変換していたような気もします。笑

ただ、他の気になっていた病院は電話予約の場所ばかり。
なんとか仕事の休み時間に電話をしてみたのですが、これまた玉砕。

「初診の場合は火木の午後の時間だけになります。」

こう言われて今月のスケジュールを見てみたけれど、空いている日なんてないんです。
私の場合は不定期で平日休みがあるのですが、お休みだと思ったら病院は休診日だったり、病院側の都合が良くても自分に予定が入っていたり。
こうなってくると、平日にお休みがとれない方はほぼ受診できないことになりますよね…。
初診のハードル高すぎません?って思いながら、どうにも予定を合わせられそうにないのでお断りしました。

2回も心を折られて、途方に暮れて、どうしたものかと考えた結果、最初の病院探しからやり直すことに。
受診しようと決意を決めて行動に移すまでのハードルが高いのに、さらに予約のハードルまでも高いとは…。

近場であることを諦める

これまでは徒歩圏内だったり、定期券内で行ける病院を探していたのですが、全然予約がとれないんだったら、もういっそちょっと遠くてもいいから摂食障害を診てくれる評判の良い病院に行こうと思い直しました
今までも摂食障害の治療で有名な病院は調べてはいたのですが、通うにはちょっと遠かったりして候補には挙げていなかったのです。
今回2件予約ができなかったことで、「実績も少ないあなたたちとはおさらばよ!」という強気な姿勢で近場であることは条件から外すことにしました。笑

ただ、検索ですぐ引っかかるようなところだと紹介状が必要だったり、治療費が莫大だったりとデメリットもあります。
私の場合は近場で紹介状を書いてくれるような病院がまず見つかっていなかったので、紹介状なしでも予約がとれる場所、医療保険内で治療ができる場所を探しました。
そして予約をとろうと思えた場所は、定期券外だけれど家から30分以内で通えて、メールで初診予約ができるところ。
1件目と同じように希望日を書いて送信。

…ようやく無事に予約がとれました…!!

長い戦いでした…。
正直ここまで予約に時間と労力を費やすとは思いませんでした。
行動に移さないと知れないことでしたね…。

予約までのハードルが高すぎる

今までは予約をしようと思っても、結局病院探しまでで終わってしまって、予約をとる過程まで行動していなかったからわかりませんでしたが、予約をとれるまでが非常に長かったです。
これはそれぞれが挙げる病院の条件とか、住んでいる場所とか、スケジュールの関係とか、いろいろな要素があるので一概には言えませんが、予約できるまでのハードルがすごく高く感じます
そもそも予約をしようと行動に移すエネルギーが湧き出るまでに時間がかかるのに、特に初診の場合は予約時間や予約方法に限りがあるので、せっかく予約をとろうと行動に移せたとしても、その結果、壁にぶつかることが多ければ、結局予約を諦めてしまう人も多いような気がします。
摂食障害はちゃんと診てもらえれば治る病気だとも言われていますが、診てもらっている人は非常に少ないそうです。
それは人に言いづらい悩みだと認識していたり、周囲からは気付かれづらいからなんとか生活が成り立っていたり、診てもらっても何も変わらないと諦めていたり、摂食障害を認めることが怖かったりと理由は様々。
診てもらった方が良いと心の奥ではわかっていても、そういう感情が邪魔をして病院に行くまでに至らない場合が多いのではないでしょうか。
最後の最後まで耐えて、結局自分の手ではどうにも負えなくなって、最終手段として病院へ行くことを決意するのに、こんなに予約がとりづらかったらさらに精神的に追い詰められちゃう人もいるんじゃないかな。
私の場合は断られたという怒りに近い感情を行動に移すエネルギーに変えることができたけれど、そのまま「誰も救ってくれない」「私は誰の手にも負えない」「誰にも頼れない」「ひとりで抱えていくしかない」と思い詰めてしまう人も出てきてしまうような気がしてなりません。
精神疾患にかかる人が増加していることも影響しているのかもしれませんが、なんとかもう少し初診がとりやすいように工夫をしてほしいものです。

受診時の様子は別の記事を読んでほしいのですが、受診後数ヶ月は過食嘔吐の症状がなくなりました
ただ、私の場合は通院を継続できないと判断し、その結果、数か月後には過食嘔吐が再発しました。
やはりある程度継続して通院する必要があるのだと思います。
と言っても、どういう治療方針かにも寄りますが、通院にもお金が必要です。
一度受診してみて、支払うだけのお金に見合った分の効果を実感して、継続可能と判断できれば、継続すべきだと思います。

現在の過食嘔吐

精神科を受診したのが約1年半前になるのですが、今の私はここ数ヶ月過食嘔吐をしていません
以前は勤務中も頭の中を食べ物で支配されていましたが、最近はそういう食へ依存した感覚がなくなりました。
少なくとももう数ヶ月は再発しないんじゃないかな、と思えてしまっているのです。
それほど、この過食嘔吐に悩まされた数十年間の中で、今の状態が落ち着いているように感じます。
これは受診したことによる変化ではなく、自力で手に入れた変化です。
色々な情報に溢れた社会の中から、信用できる・自分に必要なものだけを取り入れた結果です。
恐怖心に打ち勝って、食に対する感情を180°変えていった結果です。

こう考えると、受診せずとも克服できるのかもしれないという自信も出てきました。
自信が持てずに食へ逃げていた自分から、ようやく離れられるような気がしています。

ただ、いつ再発するかわからないのも事実。
良い変化を感じ取って、もう少し自分に自信をつけて、発信しても問題ないと思えたのなら、記事にしていきたいと思っています。
もう少し時間をください。

私と同じように摂食障害で悩んでいる方は、一歩前に踏み出せたと思っても、また壁があって振り出しに戻る出来事が多くあるかもしれませんが、行動を起こせたことは前進です。
精神科の予約が取れなかったとしても、予約がとりづらい世の中が悪いです。
あなたはなにも悪くありません。
きっと手を差し伸べてくれる人・場所はたくさんあります。
諦めず、自分を責めず、人に頼って、一緒に一歩を踏みだしていきましょう🌷

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