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運動器リハ 1.0の教科書✏︎第3章【組織の治癒過程を知る②】


第3章【組織の治癒過程を知る②】では,靭帯・関節包の治癒過程,腱の治癒過程についてまとめていきます。

前回に引き続き,実際にリハビリを行う機会の多い組織たちです。

靭帯と関節包は組織学的には同様の構造と捉えられることが多いので,まとめて理解すると良いです。

腱についてはここでは,腱実質部・腱骨移行部・筋腱移行部の3つに分けてまとめています。腱のどこで損傷するかによって治癒の過程が異なるためです。

リハビリ機会の多い靭帯や腱の解剖・治癒過程が理解できると,バタバタすることが減り,グッと臨床に安定感が出てくると思います。

それではいきましょう!


☑︎ 靭帯・関節包の治癒過程

・靭帯の解剖

 靭帯は骨と骨を連結する線維性結合組織であり,関節運動を制限することで関節に安定性をもたらす。

 靭帯は解剖学的に実質部と付着部に分類される。実質部はepiligamentと呼ばれる薄い膜で覆われている。epiligamentは靭帯の実質部とは異なり,血管に富んでいて,感覚神経を多く含んでいる。靭帯の実質部はコラーゲン原線維,コラーゲン線維,コラーゲン線維束の階層構造をとる。腱も同様の構造をしているが,靭帯との大きな違いはコラーゲン原線維の配列方向であり,靭帯では平行だけではなく斜めや螺旋方向にも配列している。

 一方,付着部はenthesisと呼ばれ,特徴的な構造を有している。Enthesisは線維軟骨性と線維性に分類され,線維軟骨性のenthesisは表層から靭帯・非石灰化線維軟骨・石灰化線維軟骨・骨の4層構造となっている。線維性のenthesisはシャーピー線維と呼ばれるコラーゲン線維を介し,靭帯が直接骨に付着している。線維軟骨性のenthesisは線維性より大きな負荷に耐えうる構造である。



・靭帯の治癒過程

 靱帯組織の修復過程は皮膚組織など他の他結合組織の損傷修復機転と同様であり,炎症期,修復期,リモデリングに大別される。靭帯の修復は年齢,靭帯の種類,損傷の程度など様々な因子が関与するとされる。

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