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運動器リハ 1.0の教科書✏︎第2章【可動域制限を知る】

第2章は関節可動域制限についてです。

Q.関節可動域制限と拘縮の意味は同じ?
Q.強直って言葉も聞いたことあるけど何やっけ?
Q.可動域制限には何種類ある?
Q.不動2週間で制限になりやすいのは筋と関節包どっち?


『なんとなく分かっているけど,誰かに説明するには少し自信ない。』っていう方は是非,読んで欲しいです。


関節可動域制限というものは,療法士にとって密接な問題であり,その分だけ頭を悩ます機会が多いです。

でも意外と関節可動域制限について知らないまま治療してしまっているといった方もいると思います。

あまりに当たり前すぎて,働き出してから改めて勉強するタイミングがないのかもしれません。それよりももっと分からないことが山のように降りかかってくるので,なんとなく理解しているつもりの関節可動域制限の知識はそのままで,気がつけば経験年数だけ重ねてしまって,,なんてことも。。

この章では,関節可動域制限の基本を押さえれるように,定義から復習し,拘縮の発生や進行機序,不動の影響,臨床における可動域制限の理解のポイントについてまとめました。

それではいきましょう!

☑︎ 定義と分類

・関節可動域制限

 関節可動域はrange of motion(ROM)の訳語で,関節の動く範囲と定義され,関節可動域制限とは,関節の動きに関与する組織の病変により関節可動域が狭くなった状態と定義される。関節可動域制限は,皮膚や骨格筋,関節包などの関節周囲軟部組織にその原因がある場合(関節拘縮)と,骨・軟骨といった関節構成体そのものに原因がある場合があり,その他としては関節内遊離体や脱臼に伴う骨の偏位,強直などが原因となることがある。

・関節拘縮

 関節拘縮とは皮膚や骨格筋,関節包,靭帯などの関節周囲軟部組織が器質的に変化し,その柔軟性・伸張性が低下したことで起こる関節可動域制限と定義される(整形外科学関係では,拘縮とは可動域制限を生じる関節包外の軟部組織の病変と定義し,リハ医学関係では拘縮とは可動域制限を生じる関節構成体以外の軟部組織の病変と定義している)。

 関節可動域制限をきたす原因のなかでリハビリテーションによって改善が期待できるものは関節拘縮のみであり,関節強直や変形はリハビリテーションの対象ではなく医師の治療対象となる。

 関節拘縮,強直,変形の原因は先天性のものと後天性のものとに大別されており,関節拘縮においては後天性の拘縮は,①筋性,②結合組織性(筋膜,靱帯,腱など),③関節性(関節包,滑膜など),④皮膚性,⑤神経性など,組織別に分類されている(Hoffaの分類)。

☑︎ 関節拘縮の発生・進行機序と病態

 拘縮の発生・促進要因は加齢といった生物学的影響に加え,痛みや痙縮など他の症候あるいは罹病期間などが関与するとされており,これらは身体の不活動を惹起するという点においては共通している。つまり,拘縮を引き起こす直接的な要因は関節の不動であり,その期間が長くなるほど拘縮が著しくなる。

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