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企業活動に変革をもたらすブランディング

この20年間、企業経営において「ブランディング」という言葉はかなり浸透してきたのではないでしょうか。たとえば、日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJ、日経金融新聞/日経ヴェリタスの記事検索で「ブランディング」関連の検索数を見てみると、1998年に検索数がたった3件だったものが、2008年には76件、2018年は209件と大幅に増加しました。その内容を見ると商品ブランドのことよりも、企業経営という文脈でブランディングを取り上げている記事が増えてるように感じます。

ブランディングへの関心が高まってきた背景

このような、ブランディングへの関心が高まっている背景としては、大きく次の2つの要因が挙げられます。
一つは、「市場環境の変化」。つまり、市場の成熟化による競合との差別化対応、消費者のこだわり意識の高まり、グローバルブランドとの競争など、商品やサービスが市場で勝つためにブランドへの意識が高まったことです。
そしてもう一つは、「経営環境の変化」。これは、企業価値経営への移行による無形資産としてのブランドへの注目や、人材獲得競争の激化、また、トップブランドの不祥事によるブランド失墜と経営への大きなダメージなど、企業経営においてブランドへ注目せざるを得ない状況が生じたためだと思われます。

こうした背景をもとに、ブランドの価値を高めることの重要性が叫ばれるようになってきましたが、一方で、ブランディングの対象となる組織も、企業だけでなく、地方公共団体や大学といった非営利組織にまで拡がってきています。

心の中の焼印

そもそもブランドという言葉は、「burned(焼き付ける)」から派生したもので、自分の所有物や作品を他人のそれと区別するために用いた「焼き印」という意味が語源だと言われています。今日ではその区別という機能から品質保証へ、そして信頼や愛着へと機能が拡大し、人々の心の中に認識されるその企業や商品の独自の価値観へと変貌を遂げています。

ブランディングとは、簡単に言えばブランドを作り出し強化していく活動。つまり、競合から識別するための独自性・差別性のあるブランドを開発し、それを、顧客を中心としたステークホルダーにうまく伝達することでブランド価値を強化していく長期的な企業活動といえます。

ブランディングは、企業活動を変革すること

「ブランドを作っていく」というと、ブランドの名称、ロゴやマーク、スローガン、パッケージのデザインなど目に見えるものを想像しがちですが、実はその根底にあるブランドアイデンティティをしっかりと規定することが最も重要な作業になります。すなわち、受け手が価値を置く便益をブランドがどのような形で提供していくのか、どんな世界観やイメージ、ライフスタイルを与えることができるのか(=ブランドのあるべき姿)をしっかりと明確に定義することが肝要で、名称やデザインはそれを伝える手段にしかすぎなません。

そして、開発したブランドを伝え、人々の心の中に強くイメージとして蓄積させるには、受け手とのあらゆる情報接点において一貫したブランド接触がなされなければなりません。広告やパッケージはもちろんのこと、ショールームやパンフレット、社屋やWebサイト、従業員の態度やアフターサービスの仕組みまで、企業活動のあらゆる面でブランド管理が必要になってきます。つまり、ブランディングとはこのような長期的な企業活動の変革ともいえます。

私はこれまで、さまざまな企業のブランドづくりをサポートしてきました。そこで得た経験や視点を、このnoteでも少しずつご紹介できればと思います。


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