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缶チューハイとマカロニとMUSIC

寝たくないから、小説を書いた。
随分と適当な結末になってしまったから、時間ある時に推敲していこうかな。
***

都内のカラオケ、夜は大体大学生の溜まり場。素面ならマイクを持とうともしない子が気取って歌う姿を見れるのが夜のカラオケの醍醐味だ。まあ、カラオケサークルの私たちにはそんな光景見飽きてるんだけど。

「リリ、ちゃんとしてぇ?起きて起きて、うたぉーよー」
「むぅりーできないー寝るの、、、」

なんでこいつはこんなにも元気なんだろうか。その華奢な体の一体どこにそんなアルコールのキャパが存在しているのか、知ったこっちゃない。ナオは今日も相変わらずマカロニえんぴつの恋愛ソングを気持ちよさそうに歌っている。そんな中、憔悴しきった私の体は何本もの缶チューハイの空き缶を横目に、音のない世界に引き込まれていく。、、、

目が覚めると、朝の四時になっていた。あれだけ騒がしかった部屋もあっという間に静けさに包まれて、今度は寝息が室内を完全に乗っ取っていた。こうして穏やかに寝息を立てているこのメンバーは、今年の二月に私とナオで立ち上げた大学非公認サークルに所属する完全内輪のメンツ。同期は私とナオ合わせて4人。”サークルに所属している”という肩書きが欲しいだけの友達を集めた、「名ばかりカラオケサークル」である。サークル名だって『MUSIC』だ。ここまでくると安直すぎて笑えてくる。

とは言え、MUSICがなければ私の大学生活は死んでいたと思う。立ち上げようと提案してくれたナオには感謝しなくてはならない。そしてMUSICは春に新歓を迎えて、新たなメンバーを3人増やした。入ってきてくれたのは男の子が2人、女の子1人だ。公認サークルでもない私達が知り合いのツテを辿ってなんとか迎え入れた彼らはとてつもなく尊く感じたのを覚えている。名ばかりサークルであっても、新しいメンバーは欲しいし、活動を始めてからずっと変わらないメンツでする通常活動のミーティング(ただのカラオケ)にも飽きてきたところだった。

今日のミーティングはナオと私と、新入生のモエ、タカの4人だった。カラオケボックス特有の硬いボックス型ソファに、仲良さげに寝転ぶ3人の寝息を聞きながら誰かが起きるのを待っていた。こうしていつも早く起きて誰かを待つのは、酒に弱くてすぐ潰れる私のいつも通り、だった。

携帯のアラームが鳴った。マカロニえんぴつの「遠心」だ。誰かが起きるのを待ちわびているうちに私は二度寝をしてしまっていたみたいだった。そんな時のために予防線として張っておくアラームは優秀だ。アラームの音、マカロニえんぴつの曲の中で特にみんなが好きだったから、これにしたんだっけ。

と、そんなことを考えながらアルコールの抜け切らない体を起こして、3人のことも叩き起こしにかかる。みんな揃って低血圧で寝起きが良くないから、起こす側としてはかなりタチが悪い。揺らしてもくすぐっても起きる気配ゼロ、困った奴らだ。と思いながら乾いた手で寝ぼけた目を擦っていた。すると



「ままぁ〜?おはよぉ。」



誰かの寝言か。大学生になって可愛らしい声を出すもんだな、、もしかして誰かマザコンなのか。とか思いながら、一旦目を擦る手を止めてみる。



そこには3歳になったばっかりの娘がいた。


「ままぁ?まちゃろにぃーー!!(マカロニ)トーメーテー!」


あ、もうこんな時間か。今日も朝からマカロニえんぴつの曲が家中に響いている。私は遠く懐かしい思い出を夢見ていたようだ。

缶チューハイとマカロニと、MUSIC。
私はいつだって夢見たいな時間の続きを望んでいた。

寝て起きたらなくなってました。ってくらい、
あれは本当に儚い時間だったと思う。


騒がしい夢なら目を覚ましてくれるのか
お願い、もう少しだけこの場所を許して


ああ、もう曲の終盤まできてしまった。まちゃろに、止めなきゃね。
青春は一瞬。気付いたらこうして、あっという間にあの日々からかけ離されていた。

また久しぶりにMUSICのみんなと会って、私は夜に溺れたい。



(初めて短い物語を書いてみた)しゃけ🐟

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