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大谷翔平の倒し方(物理) 其の①

最近大谷翔平がすごい。野球シロウトなので何がすごいのか、いまいちよく分かってないが、とにかくすごいらしい。国内のみならず海外からの人気もひとしおである。いちコミュ障としてはなんともムカつく話だ。

しかし私は理系である。目の前の問題に対して、合理的な解決策を見つけ出してこその理系である。

...というわけで、これから数回に渡って大谷のホームランをスポーツマンシップに則って、大人気なく、徹底的に、妨害する方法を探求する。

以下に斜方投射した球体の運動方程式を、空気抵抗を考慮して示す。

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ここでCd値は物体の形状で決まる定数であり、ρ[kg/m³]は流体の密度、S[m²]は物体を射影した面積(半径rの球の場合はπr²)である。

上の式を見て、ρが大きくなると飛距離が短くなるのは感覚的に分かるだろう。今回は、スタジアムの空気を別の流体(分子量M)に入れ替えることを考えよう。

標準状態(0℃、1気圧)において1molの分子は22.4Lの体積を持つ。硬式野球ボールの円周は0.232[m]、質量は0.145[kg]、大谷のホームランの打球速度は180[km/h]=50[m/s]とする。打球角度をθとして条件を以下のように設定する。

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よって、上の方程式は以下のように書き換えられる。

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M=28×0.8+32×0.2=28.8(空気)とすると、θ=35°で

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プロ野球ではセンターが122[m]以上あるらしいが、これなら文句なしホームランだろう。では実際にMを変えて、飛距離を122[m]未満にしていこう。

M=41のとき、θ=40°で最も飛距離が長く、

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したがって、流体の分子量を41以上にすれば良いことが分かる。酸素20%と未知の気体80%の混合気体を考えると、

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条件に合う化合物の一つとして、例えばプロパン(C3H8)がある。分子量44.11、常温で気体の天然ガスである。プロパンの爆発範囲(爆発する濃度の範囲)は2.1%~9.5%であることから、爆発はしないので安心して欲しい。しかし、ボールの軌道から考えて少なくとも高度40[m]付近まで混合気体で満たされるため、プロパンの滞留による窒息死には注意しよう。

また、あるサイトではプロパンガスボンベ10kg≒5m³(標準状態)が4400円で販売されており、そこそこ大きい野球場の底面積13000m²×高度40m=520000m³の80%を満たすためには10万3200本で3億7000万円かかる。大谷のホームラン1試合分がこの価値に匹敵すると思う人はぜひ実践して欲しい。(Zengking)

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