【イベントレポート】デザイナーとPMで考える!プロダクトを成長させるデザインとは
こんにちは!LayerX FinTech事業部デザイナーのsaikoです。
「企業のプロダクトデザイナーが、普段から他職種とどのように連携してるかをプロダクトマネージャーと一緒に掘り下げてみるのはどうだろう」
こんな会話をきっかけにして、先日noteさんと共にイベントを企画・開催しました。
この記事では、2024年3月19日にnote社のイベントスペースにて開催した「デザイナーとPMで考える!プロダクトを成長させるデザインとは」のイベントレポートをお届けします。
デザイナーがプロダクトを成長させるために
よりよいプロダクトをつくるために、企業のプロダクトデザイナーはどんなことを意識しているのでしょう。
様々な課題と向き合いながら、他職種と連携しあうデザイナーにはどんなスキルが求められるのでしょうか。
こういった悩みは、たとえ企業が違っても、似た状況下で一度は考える共通の悩みごとなのでは、と私たちは考えました。
本イベントではどんな企業・組織にも共通するデザインの悩みについて、note、LayerXの2社が登壇し、実務での具体的な工夫ポイントと考えをLT形式で発表しました。
よりリアルな話をするために、デザイナーだけでなく両社のプロダクトマネージャーも登壇して、互いに言葉を交わしながらの発表となりました。
1. 泥臭さの先にある、顧客体験も効率的なオペレーションも諦めないプロダクトづくり
LayerXのLTでは、FinTech事業部からプロダクトマネージャーの西井 大翔さん、デザイナーの高橋 彩子(筆者)が登壇して、二人が携わっている個人向け資産運用サービス「ALETRNA(オルタナ)」での実例を発表しました。
※オルタナは、デジタル証券(ST:Security Token)を活用することで、今まで機関投資家に投資機会が限られていた都心の大型不動産や物流施設、発電所といったインフラなど安定的な賃料等収入が期待できる実物資産に、スマートフォンで簡単に、10万円からの小口単位から、利回りを目的に投資できる個人向けの資産運用サービスです。
https://alterna-z.com/
オルタナはちょうど1年前にリリースしたのですが、プロジェクトメンバーとリリース前後まで議論に議論を重ねたのが「口座開設画面」でした。
口座開設申込完了までにかかる手間や時間を減らして利用者に効率の良い体験を提供したいプロジェクトオーナーの思い、口座開設に関わる社内業務効率もふまえたフローにしたいプロダクトマネージャーの思い、効率に振り切ってオルタナとして大事にしたい世界観を無くしたくないデザイナーの思いなど様々な思いが交錯する中で、どのような進め方でリリースするに至ったかを話しました。
西井さんと私で共通の考えだったのが「関わる領域にディープダイブできるマインドセットの必要性」でした。
西井さんは、口座開設に関わる一通りの業務を把握していたため理解度が高く、体験と業務効率のバランスを考えるならこうしたらいいのでは、と全体を俯瞰した解像度の高い提案ができます。
私の業務の理解度は当初そこまで高くありませんでしたが、西井さんと共に反社チェックなどの口座開設業務を経験して、提案の背景をより理解できるようになり、画面上の要素や一連の体験の中での優先度が見えてくるようになりました。
その結果、体験や業務効率を大きく劣後させずにサービスの世界観を出すために、デザイナーとして何ができるかも考えやすくなりました。
「デザイナーだから」と肩書きにとらわれず、自らの職域を超えて領域に関する知識を深められるかは重要で、地道で泥臭くても諦めず向き合い続けることが、結果として良いプロダクトづくりに繋がると話しました。
2.「あえて遠回り」することで、みんなでつくるデザイン
noteさんのLTでは、CDOの宇野 雄さん、プロダクトマネージャーの浅子 拓耶さんが登壇して、note社内での取り組みの事例を発表しました。
「この中でnoteを記事を書いたことがあるひと🙋♂️」
と優しく問いかける宇野さんに会場の人が手を挙げて、和やかな雰囲気で始まりました。
この有名な言葉を例に挙げ、デザインをデザイナーのものにせず、エンジニアやプロダクトマネージャーも含めたみんなでデザインをできるようにするのがnoteだと話します(デザインの丸投げはもちろんしない)。
とはいえ、併行して複数のプロジェクトや課題に向きあっていて、1つの課題だけに向き合うことが難しいため、まずは「100点を目指すことを前提にしつつ、まずは最速で60点の結果を出す」のを意識しているそうです。
ここで重要なのが、「100点を目指すこと」が前提であるという部分。
なぜなら、単にスピードだけを重視した結果生まれた60点と、「100点を目指している過程」の60点では、同じ60点でもその後の成長に大きな違いが出るからです。
後者は100点がどんな状態であるかを想像し、そこに向かっているため、60点をあくまで通過地点として、さらによい状態を目指していくことができます。
結果、60点を取るまでのスピードは少し遅くなったとしても、より早く100点の状態に到達できるのです。
その意識はnote社のバリューの体現からきているそうです。 6つあるバリューのうち、「すばやく試そう / Try First」と「おおきな視点で考えよう / Think Big」を意識して、短期的なスピードは大切にしつつ、それが中長期的な成長スピードにもつながるかを常に考えていると話していました。
では、この意識や活動を支えているものは何でしょう?と問う宇野さん。
取り組みの事例として、「CDOオープンドア」「ステートメントシート」「デザインディスカッションチャンネル」の3つがあり、中でもステートメントシートは、
(プロダクト or チーム)は、(顧客 or サービス)の
(欲求・困りごと)を(手段)で(どういう状況にして解決する)
の()の中を埋めることで、何を為したいのかを書くシートだそう。
自身の考えを客観的に見るのにも使え、自分の状況を整理し周囲に共有するためにも活用できるそうです。
他にも、CDOオープンドアやデザインディスカッションチャンネルで、皆がデザインに関するやりとりを知ることも、遠慮なく意見したりフィードバックすることもできる仕組みを作って、活動に取り入れやすい取り組みとして実践しているそうです。
最後に、無償で公開中のイラスト素材集・制作ツール「JOY」も紹介されていました。
Figmaのコミュニティファイルで提供されているためFigmaユーザーにとって大変使いやすく、noteで記事を書く際の記事中の良さげな画像としても活用できるそう。取り入れやすいテイストのイラストやアイコンも魅力的です。
パネルディスカッション
イベントの後半は、モデレーターとしてLayerX FinTech事業部執行役員の丸野 宏之さんにご登壇いただき、2つのLTで登壇した4名に向けて様々な質問を投げかけていただきました。
noteさんのLTでの内容に触れつつ、「様々なプロジェクトが併行して動く中で、優先度の考え方やタスクマネジメントをみなさんの組織ではどうしていて、どのような工夫をしていますか?」といった質問から始まり、「KPIは企業にとって大事な指標ですが、短期的なKPIにはヒットしないけれど大事にしたいこだわりもあると思います。実際のところ、どのようなバランスで企画・制作していますか?こだわりの比率が高い場合は、どうやってチームに納得してもらっていますか?」という悩ましい質問もあり、登壇した4名それぞれで思い思いの回答をしていました。
パネルディスカッションの後半では、「お話を聞いていて、チームメンバー間の相互理解がとても大事だと感じたのですが、互いの考え方のベースを理解・共有し合うために、具体的にやっていることはありますか?」の質問に「普段から遠慮せずに発言し合うようにしている」「飲み」といった回答が出たり、「今後はどのようなことをやっていきたいですか?野望みたいなものがあれば教えてください!」の質問に、それぞれで悩みながら答え、その答えを丸野さんがさらに掘り下げたりと、和やかな雰囲気の中で話がされました。
交流会
パネルディスカッション後は、イベント参加者同士で軽食やお酒を飲みながら意見を交換し合いました。
似た課題感を感じていたり、難しい状況においてどう判断して優先度を決めたりチームとのコミュニケーションをとるべきかといった悩みを話したりと、登壇者も混ざって語りあっていました。
交流会の終わりに、noteの宇野さんから「四ツ谷駅周辺で二次会におすすめの居酒屋」を紹介していただきました。
「とても名残惜しいですが、交流会の時間で収まらない話はぜひ二次会で!」とnoteの記事と一緒に説明してくださり、会場の方々もQRコードを撮って詳細を読みながら「どうします?」といった話をしながら会場を後にしていました。
イベントのまとめ
「企業のプロダクトデザイナーが、普段から他職種とどのように連携してるかをプロダクトマネージャーと一緒に掘り下げてみるのはどうだろう」
という話から今回のイベントを企画・開催するに至りましたが、デザイナーだけでなくプロダクトマネージャーと一緒に登壇したことで、実例をもとにした現実味のある課題へのアプローチについて話を深めることができました。
また、今回登壇したLayerX、noteが異なる取り組み方・チームのあり方を持っていたこともあり、それぞれのチーム内コミュニケーションの特徴も見えた機会だったと感じています。
参加者アンケートでも、テーマや内容に触れて「良かった・これがより聞きたかった」などたくさんのお言葉を寄せてくださり、企画側としても気づきと学びのある有意義な機会でした。
イベントにご参加いただいた皆様には、こちらで改めて感謝を申し上げます!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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