自傷行為の末


鬱状態が続いてからおよそ半年と少し経ったと思う。
先月退院した病院では不安障害、鬱、BPDなどと診断された。人生初の入院だった。

自傷行為はなんやかんや数年以上続いている。

先日、あることがトリガーになって抗不安薬と睡眠薬を一気にODして、いつものようにアームカットをした。
もう色々と限界で、腕を焼いてみたり、ODを試し始めてみたりと酷い状態の日々が続いていた末だった。

思ったよりも深く切りすぎてしまって傷がぱっくりとあいたまま、血が滝のように出はじめた。床は一面血でいっぱいだった。あんな大量の自分の血を見る機会なんて今後そうそうないと思う。それをみて余計悲しくなり泣きながらザクザク腕を切った。

数十分後猛烈な吐き気に襲われて浴室に向かったが貧血を起こしているせいか上手く歩くことができなかった。自分の体なのに自分のものではないようで、大変大変と思っていたら吐いた。何度も。最悪だった。

意識が朦朧とするなか恋人と友人に連絡をとった。呂律も回らず、半過呼吸状態のまま泣きじゃくりながら恋人と電話をした。
恋人は電話越しに病院にいけと説得してきた。恋人は本当に優しくて思いやりのある人だから、私がこんな状態になってからもポイせず一緒にいることを選んでくれる。目の前で血塗れで過呼吸の状態になっても、大丈夫大丈夫、深呼吸して、といつまでも隣にいてくれるような人。

それはさておき、彼らに病院へ行くことをすすめられるが夜中2時ということもあり、一人で行くには気が引けた。何より眠かった。薬のせいで眠気がものすごかった。ちょうど祖父の家に一人で滞在している時だったので、周りに頼れる人がいなかったのも事実だった。
しかし、恋人にこのまま寝たら絶対死んじゃうよ、それが怖いからお願いだから僕のために行ってと言われ病院へ行く決心をした。
というか、死にたい願望がいつもあるにも関わらずここで死ねるよ、こうすれば死ねるよ、という状況を幾度も避けてきているので所詮こんなものなのだろうな、とやけに達観して悲しくなることってよくある。死にたがり、だけど実質死ぬ勇気はないんだよ、怖いもん。

取り敢えずタクシー会社に電話するが互いの勘違いから配車がうまく行かず、電話口でブチ切れられ(私のせいでもあると思う、完全に話し方がおかしかったから)完全に行く気力が無くなり泣きじゃくりながらもう病院なんて行かない!と半狂乱で友人に電話する。
その間も血はだくだくと出続けていた。すごい。アームカットしてから2時間ほど経っていた。

その友人が(アメリカにいるにも関わらず)私のためにタクシーを呼んでくれ、病院に行くことに。
本当に素敵で優しい友人だ。この友人には幾度となく助けられていて彼女ほど思いやりに溢れた人間はいないのでは、と思っているほど。ラブ。

一番近い救急へ付く。仏頂面な受付のオジさんにふらふらしながら状況を伝える。ここは××科のみの救急です、と門前払いを食らう。傷の状態を見てくれたにも関わらず、何故かめちゃくちゃに怒られ(何考えてるの、なんでそんな状態なの!と叱られた。私も知りたいわボケ)違う病院にいけと盥回しにされる。が、体力が限界でまじで死にそうだった。でもここまで来たからには行くか、と投げやりになり4000円払ってタクシーに乗って次の病院へ。

なんやかんやあり、受け入れてもらった別の救急で腕を5箇所縫合してもらった。手術は思ったよりも長くてむずむず脚症候群の私は地獄より辛い時間を味わった。麻酔もなんとなく効いているようで聞いておらず、今すぐにでも医者と看護師らを振り切って駆け出したくなる衝動に何度も襲われた。しかしそんなこともできないので、つま先を動かし靴下を脱ぎ意識を逸らさせたり、少し足を曲げてみたり。少し動くたびに助手の人達に注意された。わかってるよーーーーー!!!
オーバードーズしたせいで全身も痒く、涼しいはずの部屋も暑くて仕方がなかった。空間自体が不快感の塊だった。
段々とイライラしてきて手術中の先生たちをぶん殴りたい気持ちになった。まだですか?まだですか?と聞き続けた。本当に迷惑な患者だったと思う。
とにかく、23年間生きてきた人生で最もしんどかった時間だった。

手術後、こんなことしちゃだめだよ、一人で来るなんて危ないよ、などと医者に小言を頂き処方された薬とともにタクシーで帰宅。
体調はすこぶる悪かったが、血は止まっていた。朝6時半頃だった。朝日が出始めていて空が薄ピンクとオレンジ色だきれいだった。
何年かぶりに日の出をみて、あーなんかもうつかれたや、今後一生自傷行為なんぞしないな、と思った。

そして帰宅後、死んだように眠った。
起きたら貧血でまたぶっ倒れた。鉄分大事。体も熱く全身の湿疹は収まってはおらずその日はベッドから動けなかった。

でもこの日から気持ちは少しすっきりしている。

自傷行為自体に疲れ始めたのかもしれないな〜と思った日でした。