卒業
卒業した。
卒業式は信じられないほどつまらなくて、退屈だった。
オトナのための式で、私たちのことなんて考えてない式だった。
卒業証書の受け取りで、特にふざける人もなく、ただ同じことが繰り返される時間がずっと続いた。
音楽も相まって、眠たくなる。
左手、右手、お辞儀。左手に持って振り返る。
めんどくさいルールを何度も練習させられたので、誰もそれを間違えたりしない。
もちろん、私も。
信じられないほど長い校長の話。
時計を見れば10分しか経っていない。友達と話す10分と、校長が話す10分じゃ偉い違いだ。
誰のためなのかわからない合唱を終えて、退場する。
後輩と保護者の拍手に見送られる。保護者の拍手はなんとなく温かみを感じるけど、後輩の拍手には何もない。
ずっと続く拍手。
だんだん、雨の音に聞こえてきた。
変な感じ。でも、なんだか心地いい。
次にカエルの鳴き声に聞こえてきた。
春なのに、夏を感じた。
でも体育館は寒かった。
私も退場する。
隣の人と足を揃えなきゃいけない。
あ、ズレた。
ズレたまま、直せないまま退場した。
長かった卒業式。
長いようで、あっという間だった3年間。
なんだか切なくて、ホッとして、胸がぎゅっとして。
担任の先生が泣いていた。
私は別に泣かなかったけど、ちょっと潤んだりはした。
まぁ、なかなかいい3年だったかもな。
そう、今なら思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?