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Christmas without you


クリスマスといえば、
どうしても忘れられない記憶がある。

かつて大好きな推しがいた。(元推し)
彼のいるグループが、クリスマスにライブをすると知らせがあった。それも学生時代を過ごした街で。
特別感を味わいたい私は、迷わず行くことに決めた。
大切な場所で大好きな人たちに会える、そのときの私にとってはこの上ない幸せだったはずだ。

彼らに会えるのがこれで最後になるなんて
そのときはまだ、知らなかった。


ライブ当日はというと、
クリスマスのコスプレをして恥ずかしげな彼らが出てきたり、色々と素直な気持ちを話してくれたり。
なんだかすべてが愛おしくて、あたたかくて、切なくて
とても幸せ、そんな時間だった。
でもこんな言葉だけでは到底表現しきれない。
終わったあともずっと夢見心地でふわふわしていた。

それからは毎年クリスマスシーズンになると、
その事がふとよぎっては切ない気持ちにさせられた。
きらめく街の雑踏のなかでひとり。

きっとあの日は人生で一番幸せな瞬間だった。
何度思い出してみても。



あれからも毎年変わらずクリスマスはやってくる。
けれど、彼らも私もだいぶ変わってしまった。
私が好きだった彼らはもういないし
彼らを好きだった私も、もういない。
あの街さえも大切な場所なのか今は分からない。

グループはなくなった。
あの日、涙を流しながらメンバー同士抱き合っていたのに。
それが永遠に続くように願っていたのに。


結局、永遠なんて叶わなかった。
すべて粉雪みたいに儚く散っていってしまった。
それでも、どうしても記憶から消すことができない。
夢みたいだった、あのクリスマス。
二度と戻ってこないクリスマス。

せめて綺麗な思い出だけは、大切にしまっておこう。


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