無人島

すべてフィクションです。好きな文章からの引用多め。

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すべてフィクションです。好きな文章からの引用多め。

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鮮明な午後

亡霊に囚われているような。 浮いているのに溺れているような。 いつのまにか冬が過ぎていった。 夏は嫌いと言い切ってしまえるけれど、 春はかなり微妙なところだ。 正体…

無人島
5か月前
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鯨の葬式

遊惰。 すべてが白々しくなってしまうことに薄々気付いていながら、祈るみたいに終電を逃していた。 追伸。 写真が嫌いだった。 花火を見ようが祭りの最中にビールを飲も…

無人島
1年前
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フィクションの星

月の底に打ち捨てられた宇宙船を修理している。 いくつか光の輪の中に浮かぶ遊覧船を見付けては見送っている。 その要領で、生きにくさとずっと向き合い続けている。 表層…

無人島
1年前

夏。

あまり「これが嫌い」ということで 自分を語りたくはないけれど、夏が嫌い。 苦手。超苦手。 夏特有の、なにか思い出を作ることを強要されているような空気感。 充実して…

無人島
1年前
鮮明な午後

鮮明な午後

亡霊に囚われているような。
浮いているのに溺れているような。

いつのまにか冬が過ぎていった。
夏は嫌いと言い切ってしまえるけれど、
春はかなり微妙なところだ。
正体をなくした季節が名前を思い出すみたいに、呑気に風の中に溶けてただやり過ごしているだけの時間な気がする。

いくつかの真理。ある種の狡猾さ。それらを引っ提げて、私は随分と心のありかたそのもののかたちを変えてここに立っているように思う。

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鯨の葬式

鯨の葬式

遊惰。
すべてが白々しくなってしまうことに薄々気付いていながら、祈るみたいに終電を逃していた。

追伸。
写真が嫌いだった。

花火を見ようが祭りの最中にビールを飲もうが最果てに取り残されたような気分のままだった。
ぐるぐると同じところを回っていた。
それがいつまで続くのかも分からず雑然とした気分でホームに立ち尽くしていたことが結構ある。笑ってしまうくらいそんなことの繰り返しの夏だった。ひょっとし

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フィクションの星

フィクションの星

月の底に打ち捨てられた宇宙船を修理している。
いくつか光の輪の中に浮かぶ遊覧船を見付けては見送っている。
その要領で、生きにくさとずっと向き合い続けている。

表層を撫でるようなうわべだけの付き合いがどうも肌に合わねぇな、と思っていた。
あまりに人間を愛しすぎている。
見たもの、触れたもの、感じたことをすべて聞かせて欲しかった。

日常を取り込んでは、透き通ったうつわが光を反射するのを眺めていたら

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夏。

夏。

あまり「これが嫌い」ということで
自分を語りたくはないけれど、夏が嫌い。
苦手。超苦手。

夏特有の、なにか思い出を作ることを強要されているような空気感。
充実して他人と過ごさなくてはならないような長い休み。楽しまなくては損だよと言わんばかりの天気の良さ。
気温の高さ。ぴかぴかの太陽。
それを反射するコンクリート。海。海。祭り。
花火。浴衣。他者との触れ合い。
バーベキュー。川遊び。キャンプ。

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